シニアライフ・相続研究所 30代から考える老後設計 金澤宏冶 -10ページ目

シニアライフ・相続研究所 30代から考える老後設計 金澤宏冶

シニアライフ(セカンドライフ)や相続の問題について書き綴ります。
年金、退職金、少子高齢化、健康保険、後期高齢者医療、介護保険、
相続、終活、老後破産(老後破綻)に備える方法などについての考え方
を読者の皆様と共に考えていきたいと思います。

 日本人の寿命が延びています。

 第2次世界大戦直後の平均寿命は50歳から60歳だったのが、現在では男性約80歳、女性約87歳にまで伸びています。

 平均寿命は今後も伸びると予想されており、人生100年時代も夢ではないかもしれません。




 定年を迎え、60代後半に入ってもまだまだ健康な方は多いですね。

 そういった方々が暇を持て余している姿をよく見かけるようになりました。

 自宅でテレビを見ていたり、散歩をしたりと孤独な余生を過ごされているのは社会にとって大変損失ではないでしょうか?

 シニア世代は現役時代と同じようにバリバリと働くことは無理にしても、まだまだ社会に必要な人材なのではないでしょうか?

 シニア世代も社会から求められるのであれば現役時代に取得した特技を生かして就労の機会を与えられるべきではないでしょうか?

 セカンドライフではそういった特技を生かしてゆったりと働くことが生きがいに繋がるものと思われます。

 シニア世代はそれぞれ知力、体力、経済力、時間的余裕度は個人によって様々です。

 それぞれに合った柔軟な働き方でセカンドライフを充実させてほしいと思います。




 チームを組んでワークシェアリングなどを始めることも有効です。

 フルタイムで二人必要な仕事をシニア世代の方、五人でこなす。

 そうすれば体力的にも楽で万一誰かに急な用事ができても代わりを務めてくれる方がいるはずです。




 あるいは現役時代に培った特技で小さな仕事でもいいから初めてはいかがでしょうか?

 特技を生かして現役世代の方にコンサルティングなどができればいうことはありません。




 セカンドライフは基本的に

 「働く」

 「学ぶ」

 「遊ぶ」

 「休む」

 の四つの状態をバランスよく組み合わせて設計することが大切です

 60代は「働く」ことを中心に、残った時間で「学ぶ」、「遊ぶ」

 サードライフともいうべき70代以降は「働く」ことを減らしつつ、「休む」ことを重点にしていく。



 このようにセカンドライフ・サードライフを自分の置かれた環境や健康状態に合わせて柔軟に設計していくことが「生きがい」に繋がるのではないでしょうか?

 張りのある生活を送れば、人生に活気が生まれます。




 一番大事なことは健康寿命まで元気で「働く」「学ぶ」「遊ぶ」「休む」です。

 人生の最期まで社会とかかわりを持った「会社員」ならぬ「社会人」でいようではありませんか。

 1990年代の金融自由化によって各金融機関で取り扱える金融商品が種類が増えて、私たちの選択肢は大きく広がりました。

 その一方で、過剰な運用リスク(価格のブレ)を抱えてしまったために金融危機などによって大きな損失を抱えてしまった例も増えています。

 金融商品取引法、金融商品販売法や消費者契約法など、消費者保護の法律が整備されてきているものの、資産運用の世界において自己責任の原則を忘れてはなりません。

 リスク許容度が低くなる老後においては、現役時代より慎重な資産運用を行うことが大切です。




 老後の資産運用では、まず運用リスクに対して、自分がどのくらいのリスク許容範囲やリスク対応力を持っているのかを確認することが肝心です。

 老後資金が少ない場合、資産運用をせざるを得ない場合がありますが、商品によっては大きなリスクが生じる可能性もあるので自己責任で商品を選ぶということを認識することが重要です。




 退職後のライフスタイルを重視して、リスク許容度に応じたポートフォリオ(資産の組み合わせ)作りに徹するように心がけましょう。

 また、預金保険機構のペイオフ制度を前提とした預貯金の分散、安全性・流動性・収益性のバランスも考慮しながら組み立てていきましょう。




 老後の生活に必要となる「生活資金」、万一のときのための「予備資金」、人生を楽しく暮らすための「ゆとり資金」の三つに老後資金を分けて確保しておき、それぞれの目的に合った商品を選ぶことが大切です。

 1.生活資金

  第二の人生を送るための基本となる資金です。

  公的年金をはじめ、企業年金や個人年金保険、退職一時金などでしっかりと確保しましょう。

  基本となる生活費のほか、自宅のリフォーム費用、自動車や電気製品等の耐久消費財の買換え費用なども見積もっておきます。

  必ず使うことになる資金なので、低リスク商品での運用を心がけましょう。




 2.予備資金

  死後整理費用や高齢になり寝たきりになった場合の医療・介護費用などの万一のときの準備資金です。

  これらの費用はすぐには必要でないものの、老後の安心のために確保しておきましょう。

  この資金は中程度のリスク、つまり、安全性と収益性のバランスが取れた商品での運用を心がけましょう




 3.ゆとり資金

  第二の人生を楽しむための旅行費用や趣味・創作活動の費用などの使途自由資金のことです。

  資金にゆとりがあれば、子どもや孫たちの住宅資金・結婚資金や教育資金に使ってもよいでしょう。

  ゆとり資金であれば、高リスク商品を、一部利用することもできます。

  また、目的がはっきりしている場合は使う時期や目的に合わせた商品を検討することが大切です。




 このような老後資金三分割法を使って資金の区分けをし、それぞれに見合ったリスクと期待収益率をコントロールしながらポートフォリオを組むことが老後の資産運用において大切なのではないでしょうか?

 個人型確定拠出年金(iDeCo)が今注目を集めています。

 というのも今年の1月から法改正によって大幅に加入対象者が増えたからです。

 従来は個人事業者か企業年金のない会社員しか入れなかったのが、ほぼ全ての会社員、公務員、国民年金第3号被保険者(専業主婦・専業主夫)にも加入対象が拡大されたからです。

 なぜ、拡大されたかは、私見ですが公的年金(国民年金、厚生年金)が将来的に縮小せざるを得ない状況に陥っていることにあるのが原因の一つだと思います。

 個人型確定拠出年金(iDeCo)も用意した、少額投資非課税制度(NISA)も用意したということで政府としては公的年金を補完する制度に入って自己責任で老後資金を準備してくれという意図を読み取るのは私だけでしょうか?




 メリットとしては既にあちこちで紹介されていますが、もう一度おさらいしますと

 1.掛金全額が小規模企業共済等掛金控除の対象となり、所得税・住民税が安くなる。

 2.運用益は非課税。

 3.年金資産への特別法人税(年率1.173%)は現在課税を凍結されている。

 4.受取段階では年金の場合は公的年金等控除、一時金の場合は退職所得控除が適用される。

 5.60歳まで引き出せないので取り崩すことができない。生命保険のように契約者貸付という制度もないので積み立てた資産が運用以外の要因によって毀損することがない。

 といったところでしょうか。




 デメリットとしては

 1.急な資金が必要になっても引き出すことができない。積み立てた資金を担保にお金を借りることもできない。

 2.元本確保型といっても各種手数料が高いので評価損が生じることがある。

 3.投資信託や不動産投資信託(J-REIT)のように元本が保証されていないものについては運用損が生じることがある。

 などが考えられます。




 このようなメリット・デメリットを踏まえて、私たちは加入する選択をしなければならないときがあります。というのも最初に申し上げたように人生100年時代に退職時の老後資金が十分でない場合、他に方法がないともいえるからです。

 そんな時、一番に迷うのは

 1.金融機関(運営管理機関)をどこにするか。

 2.運用商品はどれを選べばいいのか。

 ではないでしょうか。

 1.については150以上ある金融機関(運営管理機関)から1社を選ばなければなりません。私の考えでは手数料が安いところ、コールセンターの営業時間の長いところが優先度が高いです。ただ、各社特徴があり、低コスト商品に絞り込んでいるところ、豊富なラインナップを揃えていることろ、厳選したわずかな商品で勝負しているところ、投資信託全商品をアクティブファンドとし他社と差別化しているところ、新興国株式の品揃えを充実しているところ、預金商品の種類が多いところなど様々ですのでそういった性格で選ぶのも方法です。

 2.運用商品については信託報酬の安い投資信託が優先度が高いです。ただ、安かろう悪かろうの商品をつかまないようにしなければなりません




 いずれにしてもこれから先、国や会社におんぶにだっこでいられる状況ではありません。

 人によっていくら老後資金がいるかは様々ですが何千万円単位の老後資金を貯めるには早いうちから、できれば30代から始める必要があるでしょう。

 個人型確定拠出年金(iDeCo)は自己責任の世界です。

 しっかりと投資について学習し、納得のいく結果を出しましょう。




 本稿は情報提供のみを目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。

 投資に関する最終決定はご自身の判断で行われますようお願いいたします。