日本ていい国? 子どもの自殺について思う | 世日クラブじょーほー局

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 2月24日付、読売「くらし欄」の連載、「防げ若者の自殺」の第5回(最終回)は、全国で我が子を自殺(自死)で亡くした親が自助グループをつくり、同じ境遇の親たちが集い語りあうことで心の傷を癒し、また若者の自殺防止のための発信活動も手掛ける様子を紹介した。

 

 そのグループの一つである「あんじゅ」を立ち上げた、横浜市の南山みどりさんは1996年に次男(当時21歳)を亡くした。その経緯はこうだ。次男は暴走族とのトラブルに巻き込まれた4人の子を助けたことで逆恨みをされて、リンチを受け、大怪我を負った。警察への相談後も「家族にも報復する」と脅され、次男は次々とトラブルに巻き込まれた。南山さんが「しっかりしなさい!」と叱責をすることが増え、約2か月後に自ら命を絶ってしまったという。

 

 川崎市の篠原真紀さんは10年、当時中学3年生の次男をいじめによる自死で失った。いじめられている友人をかばっているうちに自身が標的になり、その遺書には「困っている人を助ける。人の役に立ち優しくする。それだけを目標に生きてきました。友だちのことを護れなかった」と綴られていたという。

 

 そして親御さん自身が二重被害に遭う実態も。神奈川県の40代の女性は、いじめを受けていた高校1年の長男を12年に自死で亡くした。インターネットで前述の「あんじゅ」の存在を知り、「わらをもつかむ思い」で参加したという。この母親いわく、「自死に対する社会の偏見は根強い。『子どもを死なせた親』と言われ、どんなに頑張っても自分の存在を否定されているような感じがして、人と関わるのがつらい。ここは同じような立場で本音を語り思いっ切り泣くことができ、素の自分になれる」のだそうだ。

 

 自殺を余儀なくされた若者は誰しも心優しく、正義感が強かったが、それを認めて、一緒に戦ってくれる人間が周囲に一人もいなかった。両親以外には…。親が手塩にかけ立派に育てた息子であったのに。この暴風雨を乗り超えれば、将来は人望厚い指導者となったであろう貴重な人材を、鬼畜のごとき連中の毒牙に抗しえず失ってしまった。またその陰惨極まる人間失格の連中に息子を奪われた悲痛の涙も乾かぬ間に、あらぬ誹謗中傷を周囲から受け、二度殺されたような立場で立ちすくむ親御さん。その無念たるや察するに余りある。

 

 先進国で若者の自殺が増えている国は日本だけ。一体、今の日本ていい国か?正直者がバカを見る社会ほど唾棄すべきものはない。ただ、わが国で人の命の尊さの裏付けを保証するものがないのも事実。本来、誰しも指一本触れることのできない神から預かったこの上ない尊き命だということ。ま、神が存在しなければ言うだけ無駄だが…。

 

 それはともかく、この憂いを共有する者がともに立ち上がって、罪の芽を未然に摘み、社会悪に立ち向かって少しでも地域社会を、故郷を、わが日本をよくしていこうではないか。お為ごかしでない、子どもたちと日本の未来のために少しでも役立つ実践を。

 

あんじゅ公式サイト http://www.anjyu.net/