映画「ミックス。」を観る | 世日クラブじょーほー局

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 かつて天才卓球少女だった多満子(新垣結衣)も今ではすっかり普通のOL。ただ28歳となり、片付いていく友人を尻目に焦る毎日。そんな中、ひょんなことから同じ会社の卓球部のイケメンエースである江島(瀬戸康史)と急接近し、二人は付き合い始める。長かった冬が過ぎ、ようやく春が訪れたかとニヤケ顔の多満子だったのも束の間、クリスマスの晩、江島の部屋で新入社員の美人卓球選手・小笠原に江島が寝取られる現場に遭遇。怒り心頭に発した多満子はヤケ酒をあおり、その勢いのまま退職して、田舎の実家に舞い戻ってきた。

 

 実家に帰ってみると、そこには亡き母(真木よう子)が経営していた卓球クラブが、多満子の友人の弥生(広末涼子)によって細々と営まれていた。ただ、父(小日向文世)はそろそろクラブを畳もうかという。ところで、多満子が天才少女と呼ばれるまでになったのは、母親の度を超えたスパルタ教育によるものだった。多満子にしてみれば、思い出すことさえ苦痛のトラウマ状態で、母の死後、ラケットを握ることすらなかったのだ。

 

 そんな折、江島・小笠原ペアの活躍ぶりを伝えるテレビ映像を偶然目にし、メラメラと闘志が燃え上がった多満子が、二人の打倒とクラブの再起に向けて立ち上がる…。

 

 「ミックス」って、何のことはない、卓球の男女混合ダブルスのこと。ストーリーも取って付けたようなもので、ガッキーファンのための作品と言えなくもない。そう言う当方もTBS日曜劇場「空飛ぶ広報室」以来、ガッキーファンを自任するが、ただ回想シーンでのセーラー服姿の彼女には、さすがに「オェっ」ときた。失敬。本作の醍醐味は、やっぱり登場人物の濃すぎるキャラとそのキャスティングの妙だ。真木よう子の鬼母ぶりも面白いし、遠藤憲一のひ弱で気のいい農家の主人もいい。広末涼子の元ヤンのセレブ妻も味がある。わけても超ウケたのが、中華料理店の中国人ホール係に扮した蒼井優。超荒っぽいサービスと中国語なまりの日本語で、端役ながら存在感たっぷり。中国人の店主役の森崎博之とのコンビもぴったりだ。しかし彼女よーやるわ。

 

 おっと、もう一人の主役を忘れたらいかん。多満子とペアを組む元プロボクサー萩原役の瑛太。彼は当方のこれまでの印象としては、イケメンだけど線が細いなというイメージしかなかったけど、本作では多満子がじわじわと心惹かれていくように、男前ぶりが際立ついい俳優になったなと。彼が発する「不器用でも一生懸命生きている奴を馬鹿にするな!」のセリフは、本作の中核的メッセージでもある。もっとも今回、漫才師トレエン・斎藤さんとの長い絡みはイタかったけど…。それはそうと、彼のこれからの活躍にも期待したい。

 

 最後に、イマドキの男女の愛情表現を映してか、人目も憚らず抱きしめ合って、「ブチュー」とやるシーンに一言、「欧米か!!」

 

(出演)

新垣結衣、瑛太、広末涼子、瀬戸康史、永野芽郁、佐野勇斗、蒼井優、森崎博之、山口沙弥加、真木よう子、斎藤司、鈴木福、谷花音、中村アン、吉田剛太郎、生瀬勝久、田中美佐子、遠藤憲一、小日向文世、ほか

(監督)石川淳一