人生に道二つ。「奇跡」を信じる道と信じない道。奇跡とは、科学では解明できない不可思議な出来事や現象。もし信じない立場に立つならば、これらはすべて”偶然”として片づけられるのみ。
主人公である主婦クリスティ・ビームの次女アナ(小学生)は、突如、原因不明の腹痛に襲われる。病院でCTを撮っても異常は見つからず、医師も途方に暮れる始末。アナはやがて胃腸が働かなくなって、下腹部が不自然に膨らみ、襲い来る激痛と戦う日々を過ごすことになる。
しばらく経って、鼻から管を通してはいるが、薬の効果によって、屋外で姉と遊ぶことも叶ったアナに、今度は不慮の事故が襲う。しかし、この事故こそ奇跡の始まりだった。
娘の病気が元で、教会から足が遠のき、信仰を失いかけたクリスティだったが、ラストシーンでは教会の多数の信者の前で、ビーム家に起きた”奇跡”の顛末を証言する。その中で、彼女は確信をもってこう語る「奇跡とは優しさ。奇跡とは愛。奇跡とは神」と。
奇跡は、何も大仰なことではない。世の中は奇跡に満ち溢れている。ただ、奇跡の目に見える現象面は、その一部にすぎない。本作は奇跡が起こる背後に、精一杯の優しさを注ぐ人たちがいたことを描く。そして、その人たちも恩恵としての感動と喜びと平安を得るのだ。なお真の奇跡とは、無神論者であった者が、自らの意思で教会へと足を運ぶようになること以上のことがあろうか。身内に降りかかった不幸を恨みとすることなく…。
(出演)
ジェニファー・ガーナー、マーティン・ヘンダーソン、カイリー・ロジャーズ、ブライトン・シャービノ、コートニー・ファンスラー、クィーン・ラティファ、エウヘニオ・デルベス、ジョン・キャロル・リンチ
(監督)パトリシア・リゲン