恵隆之介著「誰も語れなかった沖縄の真実」(WAC)を読む | 世日クラブじょーほー局

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誰も語れなかった沖縄の真実 ――新・沖縄ノート/惠 隆之介

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 すごい本が出たなと思った。目からウロコの連続だった。帯には、

「私は殴り殺される覚悟で本当の沖縄を書いた!」とある。

著者の恵氏は、沖縄県コザ市(現沖縄市)出身だが、故郷である沖縄に対して、歯に衣着せぬ辛らつな言論で知られる。

 日本には、やってもいない自らの戦時の犯罪行為を今や訴追の惧れなしと、まことしやかに触れて回り、悦に入る手合いや、わが国の政治家の失言を手ぐすね引いて待ち構え、かかったとわかるや、その言葉尻を針小棒大にして、われ先に中韓にご注進することを使命と任ずるマスコミなどが存在し、そのドMぶりには唖然だ。

 そういう輩と恵氏が違うところは、先の大戦で、敵軍である英国将兵400人以上を救助した駆逐艦「雷」艦長、工藤俊作中佐の物語を描いた著書「敵兵を救助せよ!」(草思社)改題して、新装出版された「海の武士道」(産経新聞出版)からもあきらかだ。

 この著書で、先の大戦中、最も難しいシチュエーションにおいても武士道精神を貫いた工藤中佐のような高潔な軍人が存在したことを驚愕をもって知らされる。これは全国民必読の書といえる。

 さて、昨今は普天間問題がクローズアップされ、先の宜野湾市長選挙で、保守系の佐喜眞氏が当選したが、普天間の県外移設を主張し、辺野古へはノーだ。この選挙結果について、世界日報2月27日付「ビューポイント」で、沖縄大学教授の宮城能彦氏は、

「戦争に反対してさえいれば平和が保たれると思っている県民は実はほとんどいないのであり、防衛の重要性についても理解している。県民の怒りは、本質論を欠いたままの金の力で目先を誤魔化すような政策に向けられているのだ」と書いたが、果たしてそうか。

 守屋元防衛事務次官によれば、本来、橋本政権で米側に提起された普天間基地の移設案は、キャンプシュワブ演習場への移転だったそう。それを沖縄側が辺野古沖に変えさせたと。なんとなれば、埋め立ての方が、経済のパイが大きくなるとの理由からだったそう。

 沖縄といえば、戦後タブーの象徴だったといえる。薩摩の琉球侵攻から始まり、先の大戦では、唯一の?地上戦が行われ、悲惨な集団自決も起きた。戦後は、本土復帰まで米国施政下にひとり取り残され、また今日、在日米軍基地の78%?が沖縄に集中している。低生産性、高い失業率や離婚率なども一連の流れからの必然の帰結のように捉えられてきた。そのひとつひとつが本土の人間にとっては、原罪のようにつきまとってきたといえる。

 先の大戦で、沖縄海軍司令官太田実中将は、「沖縄県民かくたたかえり、後世格別のご高配たまわらんことを」と打電したように、県民による立派な涙ぐましい戦いがあったことは銘記すべきだ。しかし広島長崎はいうに及ばず、東北地方や、東京は絨毯爆撃で焼け野原となったのであり、樺太や、満州において在留邦人に対するソ連軍の侵攻による猖獗を極める惨劇や、さらに一説に100万人ともいわれる日本人将兵のシベリア抑留も起きた。

 北方領土はロシアに今も不法占拠されたままだ。また戦艦大和の出撃も菊水作戦のもとに、沖縄救援のためだったのだ。「歴史通」2010年9月号には、大和には、歯ブラシや女性用品の美顔クリームとメンスバンドまで搭載していたことが証言されている。大東亜戦争は、総力戦であったのであり、本土も同じように苦しんだことも知るべきだろう。沖縄だけが捨石になったということは断じてない。

 しかし、戦後沖縄は、マスコミや、左翼の煽動も相まって、被害者意識に凝り固まり、それを否定するものを排除した。集団自決が軍命によってなされたなどとするのがその典型だ。恩を仇で返すこと、ここに極まれりだ。(詳しくは鴨野守著「あばかれた『神話』の正体(祥伝社)など参照のこと)

 そして、「基地問題を担保にして国政に発言力を持ち、同時にさらなる振興策を引き出そうとする沖縄流の政治手法」を繰り返してきた。

 もし、戦後の日本全土が同じメンタリティで、自助努力を欠いたのなら、世界が驚愕する奇跡の復興は成し遂げられなかったと断言する。

 仲井真知事の姿勢も問題だろう。

「(仲井真)知事は中国帰化人の子孫であることを誇り、北京に平身低頭し続けているのだ。そのビジョンの根底に、国益を求める姿勢など微塵も見えないのである」と恵氏。

 これこそが、中国が悪びれもせず、狼藉の限りを尽す余地を与えているのである。

 中国共産党機関紙「人民日報」系の「環球時報」は、2010年の沖縄県知事選挙を前に、「中国は琉球独立運動を支持すべき」とする記事を掲載し、その中で、終戦間際に日本政府が現地軍に県民の皆殺しを命じたとし、

「米軍占領の直前に日本軍は26万人を殺し、虐殺の規模は『南京大虐殺』に次ぐものとなった」

「1972年の本土復帰後、日本政府が沖縄を“国内植民地”として扱った」

などとありもしない歴史を振りかざし、沖縄と本土の対立を煽りに煽った。
 
 沖縄は、基地問題に関して、まずいかんともしがたい自らの地政学的立場を冷静に確認すべきだ。かつまたマルクス主義史観から、本土との対立構図にアイデンティティを見出す僻み根性を矯正しなければならない。そして虚心坦懐に戦後の日本の復興を見つめれば、その当然の帰結として、「自助」を基調として、今日の県を取り巻く内外の厳しい状況を克服すべく県民一丸となって、奮励努力あるのみだ。北京からのあらゆる工作に断固「ノー」でなければ、その行き着く先は、チベットやウイグルの今であることを知るべきだ。

 沖縄県民は、胸に手を当て、中川八洋氏の以下の悲痛な叫びを聞け。そして本書を精読、熟読の上、仲井真知事以下、顔を洗って出直されよ。

「彼らは、鹿児島の知覧や鹿屋から、沖縄を救わんと飛び立った二十歳前後の若者が、沖縄近くで撃墜されて、海に屍をさらしていることに涙することもないし、その偉大で美しき倫理行為を一顧だにしない。知覧や鹿屋で慰霊祭を催したことがない。沖縄の極左人士らの『反軍』は、マルクス主義の『反・人間』から生まれており、人間憎悪と倫理否定の唯物論に立脚している。」(中川八洋著「山本五十六の大罪」(弓立社)あとがきより)

海の武士道―The Bushido over the Sea/産経新聞出版


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