「ホタルの母」とは‘特攻の母’といわれ、特攻隊の出撃基地となる鹿児島県知覧にて「富屋食堂」を営む女主人、鳥濱トメと若き特攻隊員との切なくもはかない交流を描く物語。「靖国で会おう」と散った隊員たちは、いつしかトメの元へ光り輝くホタルとなって帰ってくるのでした。竹丸師匠は鹿児島出身だそうで、当地の登場人物の鹿児島弁も臨場感たっぷりに聞かせてくれました。
実は当方も故郷が鹿児島なのですが、失敬ながらこの噺家を知りませんでした。高座は枕の部分以外、本題に入ってからは、‘笑い’は一切ありません。そっち方面だけを期待するとガッカリかもしれませんが、やがて落語の奥深さを知ることになります。
同じ題材で、石原慎太郎製作総指揮による映画「俺は、君のためにこそ死ににいく」がありましたが、落語の演目としては、最初かなり辛気臭いなとも思いました。しかし、最後まで聞き終えて、逆に落語だからこそ伝わってくるものがあるんだと感心すること頻りでした。日本の話芸ここにあり。
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