『関ヶ原』(上)、『歴史人』(7月号)を買ってみた。 | 戦国未来の戦国紀行

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 ──映画『関ヶ原』の感想を、TVで1回観ただけで書いちゃあ、あかんやろ。

 

と反省して、原作本を買ってきました。

 まだ数ページしか読んでいませんが、冒頭の石田三成(十代のはじめ頃)と豊臣秀吉の出会いの「三献茶」の話は『武将感状記』にあり、「500石より宇治川、淀川の川岸の荻、葦の採取権を」という「淀川の荻葭咄」は、『古今武家盛衰記』にあり、石田三成が20歳前後の時の話だと、きちんと区別されていました。つまり、「100石よりも琵琶湖畔の・・・」という話は、多分、脚本家の創作であり、司馬氏は天国で怒っているものと思われます。(原作と異なる箇所が他にもありそうな予感。)

 先日(6/3)、映画『関ヶ原』の感想を書いた時に、「100石よりも琵琶湖畔の・・・という話は、500石より宇治川、淀川の川岸の・・・が元ネタでしょ?」で止めておいてよかったです。さらに「司馬氏は勉強不足」と書いていたら、司馬氏のファンに「お前の方が勉強不足。まずは、原作を読め」と炎上していたところでした。危ない、危ない。

 なお、本のタイトルの「関ヶ原」の正しい表記は「関ケ原」だといいますが、古文書では「關原」です。

 

 

 ──雑誌『歴史人』「保存版特集 本能寺の変の真実」

 

 はい、真実に迫る新史料が発見されるまで保存します。

 私が買った理由は、「出自から信長に出会うまでの半生に迫る! 最新研究でわかる謀反人明智光秀」が読みたかったからです。

 

>西洞寺跡(現白山神社)に墓がある。(p.73)

>生存伝説にもとづく五輪塔の下に遺体があるとされる。(p.73)

 

おいおい、違うだろ。

「お墓がある=寺、または、寺跡」という先入観が働いちゃったのかな? お墓は、お寺以外にもありますので。それに、生存伝説に基づけば、「桔梗塚」の五輪塔は、「墓石」ではなく、「供養塔」なので、遺体は埋まっていません。

 

 

 

 

 土岐基頼は、「城田寺城の戦い」で切腹したことになっているが、実は城田寺城を抜け出し、中洞に隠れ住み、土豪・中洞源左衛門の娘・お袋多と結婚して生まれたのが土岐光秀だという。で、土岐基頼が亡くなった時、遺言により、中洞源左衛門が、土岐光秀を、長山城主・明智光綱のもとへ連れて行くと、嫡男がいなかった明智光綱は、土岐光秀を気に入って嫡養子・明智光秀にした。

 

 土岐基頼が隠れ住んでいた屋敷があった場所の地名(字名)が「古屋敷」で、中洞氏居館跡の北にある。この洞(狭間)の最も奥まった場所に位置する「古屋敷」(地名)に建てられたのが白山神社で、明智光秀の墓は、この白山神社の横の岡の上にある。

 つまり、正しくは、

 

>土岐基頼屋敷跡(現白山神社)の横に墓がある。

 

である。では、「西洞寺跡」はどこにあるかと言えば、「山中」である。

 

 

 

 

白山神社境内の案内板。

右下をアップすると・・・

 

 

 

 

 墓の矢印は西、庵の庭の矢印は南を指している。

 

 西洞寺(通称。正しくは仏光山西光寺。住職は、明智光秀の孫)は、明智光秀が生まれた場所であり、明智光秀が「本能寺の変」後に隠れ住んだ場所であり、明智光秀の死後、母・松枝(お袋多)が尼になって住んだ庵があった場所であり、今は「庵の庭」と呼ばれている。

 

 

 

 観光マップは大雑把。

 

 

 標識から南へ行き、西に折れ、北へ進むと登山口がある。

 

 

 「庵の庭」の案内標識は各所にあり、それらに従って歩いていくと、「庵の庭」は、観光マップにあるように、1つめの山を越え、2つめの山の山頂付近にある。

 

 

 

 

 到着。ここに住むとなると、横に渓流(小滝)があるから水には困らないと思うが、食べ物を里から運ぶのは大変だと思った。寺に参詣する村人が運んでくれたのであろう。

 

 ところで、明智光秀の遺体であるが、生存伝説では、この地に逃れてきた明智光秀は、関ケ原に向かう途中、川で溺死し、遺体は流されたので「無い」。

 「ある」のは「明智光秀埋蔵金伝説」である。伝説の地は全国に3ヶ所。ここはその1つで、古文書に埋蔵金のありかを示す辞世をもじった暗号文が載っており、そのありかが「桔梗塚」だと思われたので、掘ってみたところ、埋蔵金も、遺体もなく、川原石と割れた茶碗が出てきた。「川原石は、遺体の代わりに埋めた溺死した場所の石で、茶碗は生前に使っていたものであろう」という。

https://secret.ameba.jp/sengokumirai/amemberentry-12418703696.html

 

 本に間違ったことが書いてあれば、第2版から修正されるが、雑誌にはそれがない。出版社のHPとか、次号に正誤表を載せるといいと思う。(こうやって間違いを指摘しちゃうと、校正(校閲)者は減給されちゃう?)

 

https://www.city.yamagata.gifu.jp/shisei/kouhou/book/2019/pdf/1901_04-07.pdf