地元仙台のロックカフェPeter Panへ。



本来、年明け早々店へ寄る予定でいたが、元旦の能登半島地震、その翌日の羽田空港滑走路における日航機衝突事故により、まだ行く気にはなれなかった。


また、この時期、旧暦で祝う台湾の正月を、我が家でも過年菜(おせち料理)を作り、例年祝っていたが、上述の理由により当分祝い事は封印。



早いもので、あの震災から一ヶ月以上経過し、今回ようやく、やっとこさ店へ訪れた。


奥の棚にはレコード盤がびっしりと居並び、年季の入ったテーブルと椅子は、オープンしてから51年という流れた歳月の長さを感じる。



高音質のアンプから流れる数々の名曲。実に耳心地がいい。



年季の入ったテーブルでいただく、わたくし好みの濃いコーヒーとアーモンドクッキー。至福の時だ。


入店したら、細野晴臣さん1975年発表のトロピカル•ダンディーが流されていた。YMOが結成される3年前のアルバムだ。


マスターによると、細野さんは過去3回店へ訪れている。


当ブログで何度も書いているが、昨年他界した教授(坂本龍一)やユキヒロ(高橋幸宏)の分まで、細野さんには、うんと長生きしていただきたい。



我々が来店してから程なく、次々に客が訪れ、あっという間に満席になる。


その中には、香港人男性2人組が来ていた。見たところ、歳の頃は2人とも35歳前後だ。


マスターがまず英語で彼らに声をかけると、香港人であることを告げられ、我々に紹介してくれた。


英語、広東語が、からっきし話せないわたくし。ならばと思い、北京語で話しかけると、彼らも北京語で返してきた。三十数年前、わたくしが香港へ訪れた当時とは違い、今の香港人は北京語も理解できるのだ。


観光で来仙している彼らは、インターネットでこの店の存在を知ったとのこと。


で、気づいたのは、彼らは自らを決して中国から来たとは言わなかった。「中国人」とも言わない。


それがわたくしには、強権、覇権主義中共への無言の抵抗のように見えた。


香港が中共に組み込まれているとはいえ、彼らがいかに中共と距離をとっているのかがわかる場面であった。


第一、媚中派や親中派以外、中共に帰属意識はない。


わたくしも、香港人イコール香港人であり、中国人だとは思っていない。


習近平政権以降、民主自由への締め付けが一層厳しくなり、中共に侵食されつつある香港。香港が香港でなくなるのは見るに耐えない。


カナダへ亡命している香港自由の女神•周庭さんは、中共が内部崩壊し、民主化が訪れない限り、香港へは生涯戻ることはないだろう。



さて、彼らとは政治の話は一切しなかったが、香港が待ち受ける未来を案ぜずにはいられなかった。


彼らに幸あれ、香港に幸あれ。


最後に彼らへ、仙台の旅を存分に楽しんでくださいね。と伝えて店を後にした。