台北市信義區松勤街
繁華街のど真ん中にしては似つかわしくない異空間。ここは、かつての外省人居住地「四四南村」。
国共内戦に敗れ、台湾に逃げ渡って来た国民党政府軍らの外省人。老外省人たちに言わせると、逃げて来たわけではない。大陸反攻するための一時遷都だという。
中華民国の首都は南京であり、台北は臨時首都というのが彼らの主張。だが、大陸反攻は、もはや実現し得ない夢物語であり、今となっては老外省人たちの、ささやかな心の拠り所にしか過ぎない。
台湾各地に外省人専用の居住地があるが、この居住地は最も古く、1948年から彼らがここを住処とした。
国民党政府軍、以外国府軍と記す。国府軍四四兵工廠の隊員とその家族が住むことから「四四南村」と名付けられた。
元々は、日本統治時代の軍倉庫を改装して住居用にしたので、日本家屋の様式が色濃く残っている。
都市開発計画により1999年住民立たちは立ち退いたが、家屋は歴史的価値があるとして保存され、今は展示室、売店、喫茶店などに利用されている。
台北101ビルがこんなにも間近に見える。新旧入り混じる街並は、さながら漫画アキラを彷彿させる世界。
台湾には古いものを遺す気風がある。廃墟寸前のものまでしっかり修繕して後世に伝えていく。日本家屋が数多く見かけることができるのもその一例。
実は、101ビルも日本建築技術により建造されたジャパンクオリティ。日本家屋とのコントラストが目を引く。
新旧ジャパンクオリティが入り混じる異空間。