「与兵衛沼窯跡 蟹沢地区南地点」では、沼北岸際の沼底から、窖窯(あながま)13基と瓦製作工房1軒が発見されました。ここで奈良時代中期(8世紀中頃)、国府多賀城の第Ⅱ期の建物、陸奥国分寺・尼寺創建当時の建物の屋根瓦などが製造されました。昨年訪れた色麻町の「日の出山瓦窯跡」より新しく、与兵衛沼北西側の「与兵衛沼窯跡 新堤地区」よりも古い時代になります。
多賀城政庁の南門は第Ⅱ期建造なので、当時の南門の瓦はここから運ばれたということになります。完成した新しい多賀城南門のガイドに是非とも加えて欲しい項目だと思います。
発掘調査後は遊歩道や東屋、釣り人のためのデッキが整備されています。窯跡は埋め戻されて、沼底で静かに眠っています。