「それじゃここからは手首を使ってOさんの肩の違和感を、佐山さんに何とかしてもらいましょう。きっと上手くやってくれると思います。」

貴史先生の一連の施術の後に今先生から指名を受け、今日から学び始めたOさんの肩痛の操法をする流れになりました。

「うわぁー!きたー!」という緊張する思いがありながらも、私にとってはとても大切な時間になりました。

今先生、貴史先生、皆さんこんにちは。佐山です。

冒頭の続きです。

去年の8月の授業中にその出来事はありました。それは冒頭と同じような流れがあり「この部位の施術を……(沢山いる受講生を見回す今先生)佐山さんにやってもらおうと思います。」と指名がありました。

私はその瞬間に「えっ?嘘でしょ?信じられない…」という暗い気持ちと、「こんなに大勢の前で操法を上手くできなくて恥をかきたくない。」という、つまらない自己保身の気持ちや自分をさらけ出せない弱さがありました。

その内向きの感情が表情になっていたのでしょう。でも指名されたからには、やらなければいけないと思い直し一歩を踏み出した瞬間に「佐山さんは本当にやりたくなさそうなので〇〇さんに交代してもらいます」と今先生が笑顔で言われたのです。

私はその時に何てバカな事をしてしまったのだろうと思ったのです。逆に恥ずかしくて情け無い男だと思いました。自分の精一杯を出して、考えて施術を行えば良いだけだったのに、人間的な感情論に流されて素直に受け取ることができなかったのです。

そんな些細な出来事だったのですが、私は自分のちっぽけさが嫌になりました。なのでもし今度同じような流れがきたら、気持ち良く自分なりの操法で応えていきたいと思っていたのです。

そして「その時が来た」と素直に思え、気持ちを内観し落ち着いた感じで、気になっていた「小さなトゲ」を抜く事ができました。

授業と関係ないことを長々と書いてすみません。

授業の内容は
1.貴史先生の施術
2.皮膚操法


1.貴史先生の施術
右肩の違和感と可動制限がある医学院生。座位で視診をすると左右の大腿部内側の張り感がが違う事に気付く。また右の鎖骨下の圧痛点と右膝裏のシコリを確認する。

耳の後ろを指で心地良い方向に優しく皮膚をズラす感じで触れる。すると唾液が反応して出てくるようになる。本来の大腸の役目に消化はないけど、唾液が不足していて消化活動が不十分なまま食物が大腸まで送りこまれてきているから仕方がなく消化の仕事をしていた。

唾液が出てくると大腸の緊張が解けて、それぞれの違和感が大きく軽減する。


2.皮膚操法
今回の授業の大部分は皮膚操法だったと思います。授業の冒頭でのリクエストでも皮膚をやりたいという意見も出ていて、貴史先生の施術、その後の私が指名された手首の操法や手首を回す天城流のやり方を含め、後半の背中の皮膚操法も面白い内容でした。

手首をシッカリと把持し左右にリズミカルに回す天城流の手技とは真逆の優しい皮膚操法。手首を優しく包み内回しか外回しかを確認。上下のベクトルや回す圧力の強さも確認する。また手首の部分か前腕の中間位か肘周辺かが良いかは人によって心地良さが違ってくるのでそこも確認する。

背中の皮膚操法教えてもらいました。座位の患者さんの背後に立ち不自然な体勢にならない程度の距離を測り、優しく両手の手掌を肩甲骨の上というか背中に置く。約5秒くらいそのままにしていると服を上からですが手の皮膚が馴染みシューっと背中にくっつくようです。

その手掌を上と下にズラしてどちらが良いかを確認します。今先生曰く上に挙げた方が良いという感想がとても多いと言っていました。私も上側が気持ち良かったです。

すると体が前後や振り子にように揺れてくるようになり、後は倒れるなり自由に動いてもらうと良いようです。倒れた後に足首や足指の揺らしの練習もして実技は終わりました。


感想
「痛い痛いと言いたい人は深呼吸をしたい(したかった)人なんだよ」と授業冒頭の質問に今先生が答えていました。カラオケで大声で歌うことも同じことになるとも言っていました。

また貴史先生が、今の世の中は多くの情報が溢れていて何をどの基準で選択すれば良いのかが不明瞭になっているから、多くの情報に踊らされないようにテレビで偉い先生が言っていようとも「その情報は嘘だよ」とズバッと言ってあげることも大切だと言われました。

その後に私たちが症状を軽減させて信頼と安心を感じてもらいながら、患者さん自身が少しでも自立していくような形で関わる事が大切だというニュアンスで語られていました。

操体法の息、食、動、想、環のお話を今先生が新しい生徒もいたので黒板で説明しているのを聞きながら、深呼吸の息や、情報の選別に必要な想、唾液不足の食など、技術はもちろん多くの考え方や発想などをもっと学べるようになりたいなぁと改めて感じました。

以上です。

今先生、貴史先生、ご一緒に参加された皆様ありがとうございました。