「あっ、いい風が吹いている…」
先週は授業を所用でお休みし、その前の木曜日は祝日だったので医学院がお休みでした。2週ぶりに医学院に来る感じがちょっと嬉しく、玄関に一礼し入ってみると、新しく受講される方が2名加わっていました。

季節はこれから冬ですが、新しいフレッシュな雰囲気の中で今日の授業は始まりました。

皆さんこんにちは!
佐山義和です。

内容は
1.新しい受講生に操体法を体験してもらう
2.操者の意識で相手のコリが変化する触り方
3.仰臥位での上肢の疲労をとるセルフケア


1.新しい受講生に操体法を体験してもらう
始めに腕の動診をしてもらいました。肩の伸展可動域は右腕がほぼ一杯の50°、左は40°くらいでした。一見すると可動域の少ない左上肢に違和感やハリ感があると考えがちですが、可動域の多い右の肩の方に重さがありました。この部分も実は今先生から注釈があり判明したことでした。聞いてみないと分からないと。

可動域と違和感は別物。

また手掌の外旋動作をすると前腕部や上肢全体が痛み辛いという症状がありましたが、小胸筋と大円筋部を今先生が何気なく剥がすと、痛みはほぼ消失しました。

回内回外動作を受けるのは肩部周辺。なるべく遠くの部位から視診触診していくと良いようです。


2.操者の意識で相手のコリが変化する触り方
「膝裏に触る時のコツを教えますね。膝裏を触れるんですけど、相手の顔を見ながら触れる場合と、コリを探ろうとして膝に意識と視線を持っていき触れるのとでは全然違う結果が出てきます。操者の意識の違いです。」とコンタン先生が言われました。

「相手の問題でもあるけど、触れる側の意識の問題でもある」と言う不思議でユニークな着想が素晴らしいなぁと思いました。

剥がしも同じで、剥がしてやろうとして剥がすのと、剥がしに掛からないで剥がすと上手く剥がれるという事です。度々操体法の授業に出てくる「矛盾した世界観」の概念。面白いです。

また相手の体は操者の手から伝わる意識を瞬間的に感知してしまうようです。治してやろうという意識では良くないと言われました。


3.仰臥位での上肢の疲労をとるセルフケア
・ベッドに膝を立てて仰向けになります。
・手の掌を下(上肢の内旋位)にしてお尻の下に差し込みます。
・手にお尻の圧(抵抗)を加えながら手首を内外旋します。
・良い運動方向を確認したら、その心地良さを維持しながら上肢を上下にスライドします。
・腕の上下運動は両手が同じ方向でも良いし、右が上方で左が下方という逆方向のベクトルでも構わない。

手の掌背屈をする時は、手首を軸に指先を上げ下げするのではなく、力点を指先にし作用点が手首になるようにする。手首の側屈も同じで手首を軸に橈尺屈するのではなく、指先に軸を置き、手首を左右に動かす。するとシューっと体全体が連動しやすくなります。


感想
「知識は少しずつ覚えていけばよい。骨と言えば先ずは大腿骨、上腕骨、脛骨くらいから。知識で治す訳ではないから大丈夫。」と全く解剖学的な知識のない新しい受講生に対して、授業の始めに今先生が言われました。

今回の授業でもいつの間にか私も教える側の立場的になってしまい、山形来たSさんに拙い私なりの操体を少しばかり伝えさせて頂きました。

4月末に入学し8ヶ月が経過しています。一体この期間にどれだけ成長できているのだろうと考えると、まだまだ操体法の感覚とかコツ、奥深さや基本的な部分さえしっかりと身についていないように感じる時があります。

思考と感覚。知識と実技とも言えると思います。微かな動きや変化を感じ取る部分が成熟していなく、見当違いのテクニックや言い訳ばかりが先行してしまっている自分がいます。

ガチガチの思考型の人間に、感覚重視型の操体法が身につくのだろうかと、いつも心の隅で考えてしまっている私が新しい人に教えていいのだろうかと。

でも今回の授業でもそうでしたが楽しさと気付きがあるのです。今先生やコンタン先生の言葉の中や所作、発想や着眼などを通してわたしの本心が喜んでいるのを感じるのです。

もっともっと自分自身の感じとる感覚や、オリジナリティを啓蒙していけるように、新しい方々と共にブラッシュアップしていきます!