礼文島の朝は、午前4時半、全島に流れる有線放送で始まります。
「組合から漁業者の方にお知らせします。本日はウニ漁を行うことになりました。時間は午前5時半から午前7時…」
漁期の中でせいぜい月に10日、1時間半だけとって良いという制限で礼文島のウニ資源は護られているんです。この日の朝は小雨ながら波は穏やか、出漁です。
軟弱な私は、雨が上がるのを待って歩き始めます。
スタート地点は礼文島最北端のスコトン岬。
礼文島西海岸にはいくつかの漁村が点在し、北海岸とそれぞれの集落を結ぶ車道はあるのですが、西海岸を縦断するには自分の足で歩くしかありません。
でも、尾根に上がり、浜に下りを繰り返すこの道沿いが礼文島随一の景色なんです。
鮑古丹の浜を通り過ぎ、左に見えるゴロタ岬に登っていきます。
ゴロタ岬頂上近くから振り返るとスコトン岬から続く海岸線とお花畑。
エゾカンゾウ(蝦夷甘草)が鮮やかな黄色の花をつけ、
チシマフウロ(千島風露)が、朝の雨粒をまとっています。
海の上ではウミネコ(ゴメ)が鳴きながら群れ飛び、
礼文固有種の、レブンシオガマ(礼文塩釜)が群生を作ります。
ゴロタ岬を下ると今度は鉄府の浜。
エゾカワラナデシコ(蝦夷河原撫子)が咲き乱れます。
礼文島は花の島として知られますが野鳥もいっぱい。
この日、迎えてくれたのはノビタキ♀
鉄府の浜からまた尾根に登ります。
夏の草原に目立つのは、高さ2~3mにもなるシシウドの仲間たちや、
オニシモツケ(鬼下野)の群生。
鋸のように切り立った岬を脇目に見て、峠を越えます。
西上泊の澄海岬が見えてきました。
ここは車で来られるので、礼文一周のツアーバスが立ち寄る定番の岬。
気軽に西海岸の風景を垣間見ることができる人気スポットです。
西海岸縦走ルートは「8時間コース」としてこの先も続くのですが、今日はここからは車道を歩いて船泊に戻ります。
船泊の浜に戻ってきました。遠浅の船泊湾にはきれいな砂浜が広がります。
ずっと沖合に小さく見える黒っぽい物体は…
魚介類の豊富な礼文島近海はゴマフアザラシたちにも絶好の漁場。
浅瀬で数十頭のゴマちゃんのお父さんお母さんたちが休憩中です。
スコトン岬から4時間ちょっと、岬めぐりコースのゴールです。
波打ち際に打ち上げられた大量の貝殻。その中にまんまるに穴の開いた貝が混ざってます(通称:穴あき貝)。ツメタガイという貝が、他の貝を捕まえて穴を空けて食べた跡なんですが、この浜にはいっぱい落ちてます。
※この記事の写真は7/12に撮影したものです。
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(この稿おわり)