lec286.愛され上手は愛し上手 | カウンセリングサービス 仙台オフィシャルブログ

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カウンセリングサービス代表の平準司です。

 

いまの時代は男女ともに、なかなか自立できない人が多いといわれます。

 

その第一の背景は、少子化かつ豊かな時代の日本にあるといえるでしょう。

 

そんな環境の中で育った青年たちは、与えてもらうことに慣れすぎており、反対に自分がだれかの役に立つという経験はあまりすることができません。

 

自立心や自信というものは、自分でなにかを作りだしたり、自分がまわりに貢献することで育まれていくものですが、その機会もあまり得られないというわけです。

 

たとえば、東南アジアの子どもたちは、それこそ10歳前後でなんらかの仕事をして、両親のもとにお金を持って帰ったりします。

 

その過程で「家族のために、自分は偉大な貢献をしている」という実感が作られ、それが自信にもつながっていきます。

 

さて、その日、ご相談にみえたのは、お嬢様育ちのある女性でした。

 

彼女は、それまでの人生のほとんどすべてを親が敷いてくれたレールに乗り、安全に生きてきた人でした。

 

中学受験こそがんばったのですが、それ以降はエレベーター式に大学まで進み、卒業後はおとうさんのコネで、それなりの企業に入社したわけです。

 

当然のことですが、社会人ともなれば、自分で判断し、実行するということがしょっちゅう求められます。

 

ところが、彼女はできないことがあると、「だって、教えてもらってませーん」というタイプでした。

 

入社1年目のころは、そんな彼女をおもしろがってくれる人もいたのですが、次第に会社の中でウザがられる存在になっていたのです。

 

2年目、3年目となっても決断し、実行するということはできるようにならず、さらに後輩ができても、面倒見のいい先輩になることは到底できませんでした。

 

つまり、彼女はいつまでたっても、自信をもつことができなかったのです。

 

男女関係においても、彼女のボーイフレンドはいつも、よくいえばリーダーシップのある人、悪くいえば、独善的なわがままタイプの男性ばかり。

 

ですから、はじめのうちはよくても、わがままな彼女ともっとわがままな彼なので、二人の間には必ずケンカが起こり、うまくいかなくなってしまいます。

 

ところが、あるとき、彼女の会社に“スーパーお坊ちゃま”の後輩がやってきたのです。

 

それはすごいヘタレっぷりで、「もっと上手に教えてもらわないとわかりません」、「言われていないので、できません」と、入社当時の彼女を彷彿とさせるようなタイプでした。

 

しかしながら、そんな彼の中に、ガタガタ震えている子犬のような部分があることを、彼女は昔の自分に重ねて見ることができたのです。

 

そして、周囲から「なんなんだよ、あいつ」と見られている彼を、一人キレたりせず、「そうよね、教えてもらわないとね。間違うのはヤだもんね」などと上手に励ましてあげました。

 

いつも与えてもらうばかりだった彼女が、よりダメな後輩が登場したことで、与える側にまわることができたのです。

 

人一倍、周囲から大事にされてきた彼女は、これまで自分が愛してもらったのと同じように、その後輩を扱ってあげることができました。

 

以来、会社にこのようなタイプの困ったちゃんが現れると、彼女はその指導教官を指名されるようになったわけです。

 

で、いまでは“モンスター使い”とか“珍獣ハンター”などという異名を取るようになっています。

 

心理法則の一つに、「人は、自分が愛されたように、人を愛する」というものがあります。

 

いまの若い世代のように、愛されるばかりで自分から愛する経験をあまりしてこなかったという人も、いったん愛する側にまわると、大きな愛を発揮することがあります。

 

それまでの甘えた態度を見ていた人にとって、彼らに信頼できるポジションを与えるのは躊躇することかもしれません。

 

しかし、愛されて育った子どもは、意外と愛し上手になるものなのです。