カウンセリングサービス代表の平準司です。
生まれ変わりたいと思う私
感情表現が苦手だという人は、日本人にはとても多いようです。
自分の気持ちを隠すことは非常に上手なのですが、自分の感じていることや好きという気持ちを表現することが恥ずかしく思えるのですね。
しかし、気持ちを隠すということは、隠さねばならないものには、”あまりよくないもの”というイメージがあります。
そのため、自己表現が上手にできず、自分を隠すことばかりしている人は、次第に自分というものに対しても、「あまりいいものではない」というイメージをもつようになることも少なくありません。
すると、「こんな私は人のことを好きになってはいけない」とか「こんな私に好かれる人はかわいそうだ」などと、自分をひどく扱ってしまうこともあるものです。
また、自己表現やアピールが上手な人を見ると、強い嫉妬の気持ちが湧いたり、批判したい気分にもなったりもするものです。
当然ですよね。
自分が禁止していることをその人は自由にしているわけですから。
といっても、自分を抑圧するタイプの人にはとてもいい人が多いので、嫉妬したり、人を批判したりすることで、自分のことをさらに嫌いになってしまいがちです。
そして、その自己嫌悪や自己攻撃が強まると、「こんな自分なんか、いなくなればいい。死んでしまえ」という思いにとらわれてしまうこともあるわけです。
このあたりで私どものところにご相談に来ていただければ、まだまだいっぱい打つ手はあるのですが、さらに悪化すると、とにかく「死にたい」、「死にたい」、「死にたい」としか思わなくなってきます。
心が喜ぶようなこともなければ、人生や日々の生活を楽しもうという発想も浮かばなくなります。
当然、恋愛なんてものも、自分の人生の選択肢にはまったく入ってこなくなるわけです。
しかし、私たち人間が「死にたい」と思うとき、心がほんとうに思っているのは死ぬことではなく、「生まれ変わりたい」ということであるようです。
人生の糸がもつれにもつれ、これをもう一度元に戻すのにはすごく時間がかかるし、たぶん不可能だろうと思うと、私たちはすべてをリセットしたくなるわけです。
そう、多くの場合、人の「死にたい」という思いは、じつは「生まれ変わりたい」という欲求だとみることができるのです。
心理療法的にいうと、このような状況のときは、「死にたい」という口ぐせを「生まれ変わりたい」に換えることが有効です。
カウンセリングやワークショップにおみえになる方々にも、「死にたい」と思うたびに、「生まれ変わりたい」と声に出して言ってもらうようにしています。
そうすると、心というのは不思議なもので、「生まれ変わったら、なにをしたいか」ということを考えはじめます。
そして、「死にたい」と思ったり言ったりしていたときにはまったく出てこなかった発想やイメージが、「生まれ変わりたい」といった途端にさまざまに出てくるようになるのです。
同じようにパートナーシップでも、「もうダメだ、別れるしかない」と感じるときがあるものです。
こんなときは、「もう一度、やり直したい」とか「もう一度、ロマンスが欲しい」と思ってみてください。
それだけで心の指向性が変わり、ポジティブなイメージが湧くようになって、それがいまの状況からの出口になることもあるようです。
私たちはついつい、無意識にネガティブな言葉を使ってしまうことがありますが、それが指向の方向まで決めてしまうことがあるのですね。
だからこそ、使う言葉を意識して換えてみることで、状況を天と地ほども変えられることもあるのです。