カウンセリングサービス代表の平準司です。
草食系男子という言葉がありますが、男女を問わず、「いつまでも少年や少女のままでいたい」と思っている若者が日本には多いようです。
私の外国人の友だちに言わせると、「日本人はただでさえ幼く見える」とのことなのですが、さらに、AKB48などのアイドルを見ると、「まるで、大人になれない女性のようだ」と感じてしまうそうです。
東南アジア、アフリカなどの発展途上国では、子どもたちは「早く大人になって、いろいろなことをしてみたい」と思うようで、小学4年生ぐらいになると、もう一人前に仕事をしている子どもたちはたくさんいます。
日本人の感覚では、「なんと、かわいそうな‥‥」と思ったりしますよね。
しかし、彼らにしてみると、仕事をし、稼ぎ、そのお金を両親のもとに持って帰れるのがうれしくてしょうがなくて、自分たちのことをかわいそうなどとはまったく思っていません。
一方、昨今の日本の若者は、よい大人の見本が少ないからか、大人の世界とはやりがいのあるものだ、とはなかなか思えないようです。
夏休みになると、よく高校生たちが、課題考査の一環らしいのですが、カウンセラーという仕事の取材をしに私どもの会社にやってきます。
で、いろいろと質問を受けるわけですが、その中には、まるで自分たちが迷子になっているかのような質問も少なくありません。
「なにをすればいいのか、どこに行けばいいのかがわからない」といった質問が非常に多いのです。
彼らはどうも、「大人として生きるのは厳しく、つらく、ガマンすることだ」、「社会とは、容赦なく、熾烈な世界だ」などと思っているようなのです。
子どものころ、おとうさんといえば、家族の中でいちばん力持ちでタフな存在だと感じていた人は多いでしょう。
ところが、あれだけ力持ちでタフなおとうさんが、月曜日には帰るなり「ああ、疲れた。とても疲れた」などと連発するわけです。遊んでもらおうと思っても、「だめだめ、パパは疲れてるんだから、また、週末にね」などと拒絶されたりしてしまいます。
すると、子どもたちは、「こんなにたくましいパパを疲れさせる社会とは、どれだけハードなのだろう?」と考えてしまったりするわけです。
日本人のくちぐせでものすごく多いものの一つが、「ああ、疲れた」なのです。
それとは逆に、もしも、おとうさんたちがいつも、「ああ、楽しい」と言っていたらどうなんでしょうね?
「ああ、楽しい。あまりにも楽しすぎて、もう、遊ぶ力もないぐらいがんばっちゃった。悪いけど、とうさん、会社が楽しすぎて、おまえと遊ぶ余力がないんだよ」
このぐらい言ってくれたとしたら、日本の子どもたちは、「なにが楽しいのかわからないけど、早く社会人になって、その楽しい経験をしてみたい」と思うことでしょう。
もちろん、日本のおとうさんのすべてがつらく厳しい日々を送り、疲れ果てているわけではありません。
あるいは、日本のおとうさんたちが、「オレはこんなにがんばってきてるんだぞ、家族のために」と言えればいいのかもしれませんね。
そのかわりに、ついつい、「疲れた」と言ってしまうために、こんなふうになってしまったのかもしれません。
私たちは、どうも、「いやなことでも、がんばってやらねばならない」と思っているようです。
しかし、もしも、仕事も恋愛も結婚生活も、“楽しみ”を土台にすることができれば、あなたはもちろん、あなたの家族にも好影響をおよぼすことができるのかもしれませんね。