今日の画像は、スイスアルプストレッキンのスナップ『アイガーグレッチャーに向かう登山電車からのスナップ』、北大路欣也主演の『藤沢周平原作・三屋清左衛門残日録』、奥穂高から難関ジャンダルムを超え西穂高にトライする麻莉亜』。そして、今年の『パリオリンピック開会式Ⅴ』です。雨が降り出したのは残念でしたが、豪華壮麗なる船のパレードがその雰囲気を打ち消しました。

 

オリンピックでの日本の活躍が目覚ましいです。フェンシングや馬術、そしてセーリングなど最近のオリンピックで日本の活躍などがなかった種目でのメダルが目立ちます。一心不乱の努力の国日本の誉れですねえ。

 

 

 

 

 

 

 

 

    <セーリング混合470級で銀メダルの、岡田奎樹、吉岡美帆>

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■■突然に朝田家老は言った。顔に、がっくりと疲れたいろがうかんでいる。

『こちらはこちらで、今夜にも頭株を呼んで話をまとめることにいたおう。いや、お使いごくろうでござった。殿には仰せのごとくかしこまると申したとお伝えしてくれ。いま粗茶を進ぜる。少しくつろがれよ』

 

家老は廊下に出て人を呼んだ。そして茶を言いつけながら部屋の中の2人を振り向き、近頃夜道が不用心ゆえ、帰りは供をつけてやろうと言った。

 

四半刻ほどして船越と清左衛門が玄関にもどると、土間に男が1人立っていた。それがお供らしかった。しかしその顔を見た清左衛門は、突然に身体の血が泡立ったような気がした。男は村井寅太だった。

 

一度だけ、町奉行所のそばでその男を見たことがある。今のが直心流の村井寅太だと、その時一緒だった奉行の佐伯が言ったのだ。

 

清左衛門の頭に、冷酷な策謀家という朝田家老に対する日頃の評判がもどって来た。説得出来たというのは甘い考えで、家老はわれわれを斬って捨てて遠くにいる藩主にやるならやってみろと圧力をかけ、事をあくまで闇に葬る腹を決めたのではあるまいか。

 

さっきの長い沈思は、窮鼠が逃げ道を探るためのものだったとも考えられる。あり得ないことではなかった。説得を受け入れてしまえば、家老が生きている間に朝田派に日が射すことは望めないのである。

 

『折角ながら・・・』

と清左衛門は言った。

『お供はご辞退申し上げる。提灯はあるし、われら2人。格別帰り道を心配することはござるまい』

『いやいや遠慮は無用』

家老は野太い声で言った。こけた頬が灯火に濃い影をつくり、髪の白髪が逆立つように見えた。

 

『普請組の者が町の入口あたり一帯に掘り返したのを見られたろう。先日も近くの者が、夜分穴に落ちて大怪我をした。さようなことのなきよう、案内させる』

『いや、恐縮にございますな』

 

何も知らない船越喜四郎が言った。やむを得ず、清左衛門は口をつぐんだ。しかし門を出る前に、清左衛門はひそかに鯉口を切った。

 

粘りつくような闇の濃い夜だった。空は厚く雲っているとみえて、一点の光もなかった。提灯を持った村井が前を行き、その後に清左衛門と船越が続く。村井はまったく無言だった。

 

■■<『朝日歌壇』>

 どちらかを選ばねばならぬアメリカと

   選べぬ日本とどちらが不幸か (朝霞 男性)

 二階級特進しても『上等兵』

   伯父の墓標を蟻這いのぼる (神戸 男性)

 意味不明なりし政権放送を

   真面目に必死に手話通訳者は (八王子 男性)

 辺野古にも南西シフトにもふれず

   首相は追悼すませ帰京す (宇都宮 男性)

 島よ帰れ島を還せと鐘鳴らす

   海霧ふかき納沙布岬 (仙台 男性)

 

 傘寿まで『ご新造さん』と呼ばれてた祖母は

   身近な明治であった (さいたま 女性)

 単三が十本あれば我が余生

   全て刻める柱の時計 (枚方 男性)

 引っ越して白髪も増えて歌詠んで

   あなたの知らぬ今のわたくし (豊中 女性)

 この世には何も持たずにやって来て

   何も持たずに去って行くだけ (筑紫野 男性)

 『C線上のアリア』から目が離せない

   私も言ったセリフ飛び交う (千葉 女性)

 

■■<カップヌードル、『どん兵衛など価格拘束か 独禁法違反の疑い』で日清食品警告へ> 即席麺最大手の『日清食品』(大阪市)が、スーパーなど小売店向けのカップ麺5品目で小売価格を不当に引き上げさせていたとして、公正取引委員会は独占禁止法違反(再販売価格の拘束)の疑いで警告する方針を固めた。物価高が続くなか、販売価格を制約しないことや再発防止策などを早期に求める。

 

関係者によると、警告の対象は、カップ麺の主力商品である『カップヌードル』やシリーズの『カレー』『シーフードヌードル』のほか、『日清のどん兵衛きつね』『日清焼きそばU.F.O.』の計5品目。日清食品ホールディングスは取材に対し、『公取委から調査を受けているのは事実で、誠意をもって調査に協力している』としている。

 

日清食品はカップ麺や袋麺の希望小売価格について、2022年6月に約180品目、23年6月に約170品目で5〜13%引き上げ、『カップヌードル』(78グラム)は2年間で税抜き193円から236円に上がった。このうち5品目について、同社は全国のスーパーやドラッグストアなど小売店数百社に対し、値上げ額を指定して小売価格を引き上げさせ、店頭の商品価格をカメラ撮影するなど、徹底的な価格指示をしていた疑いが持たれている。

 

◆日清食品は、2018年に日清食品創業者『安藤百福と妻仁子』の成功物語としてNHKの朝ドラに登場して好評を博した。戦後の食糧難の時代、なんとか庶民の空腹を満たすものは、と研究実験を重ねての、まさに艱難辛苦の物語であった。このドラマで小学生の長男もこの仕事を手伝う場面があったが、それが今の日清食品の社長安藤宏基である。父百福は、庶民の味方を自ら任じた人物だが、この宏基は違うらしい。青少年のスポーツ活動支援基金に大枚をはたいた百福と異なり、日清食品の陸上部の活動がちょっと陰りが見えたら即廃部。小麦の値段が上がったらその何倍かもの製品値上げをする輩、守銭奴になっている。この公取委の摘発はまことに時を得たもので、日清食品に『創業者安藤百福の起業精神に戻れ』と、天から安藤百福と仁子が叱責しているの図、となった。まさしく天からの雷ではある。

 

■■<山我浩著『アメリカの大罪を裁いた三淵嘉子「原爆裁判」(上)>NHK朝ドラ『寅に翼』のモデル、裁判官『三淵嘉子』の異色ぶりを書いた『原爆裁判』を手に入れた。未読なれど、今新潟に赴任して、新潟裁判所の裁判官と親しくなっている。実話はこの男性、最高裁判所長官の息子だそうだ。一般的な三淵嘉子の本は出ているが、山我浩が書きたかったのは、アメリカの大罪を真正面から切り込んだ『三淵嘉子』だそうだ。以下。

 

三淵嘉子をモチーフにしたNHKの連続テレビドラマ『寅に翼』が話題となり、視聴率も最高記録を更新するなど、好評を博している。主人公、三淵嘉子とは一体、どのような人物だったのだろうか。

 

すでにドラマで演じられているように、裕福な家庭に育ち、女子に唯一法学の門を開いていた明治大学専門部女子部法科に入学、卒業生代表を務めるほどの成績を修めた。そして1940年、女性蔑視の日本社会において最初の女性弁護士となった。

 

終戦後、新憲法が発布され、嘉子はこの草案を読んだ。家族制度にかかわる条文が削除され、妻の無能力制度も廃止、婚姻の自由、夫婦別産制、均等相続制度などの内容が織り込まれていた。『女性が家の鎖から解き放たれ、自由な人間として、すくっと立ち上がったような思いがして、息をのんだものです』と嘉子はこの時の感動を生涯忘れなかった。

 

戦後、国は『家庭の幸せ、子供や少年少女の幸福が国の幸せに通じる』を信念とし、家庭裁判所を新設した。裁判官として任命された三淵嘉子は、戦災孤児の対策、保護、救済などに熱心に取り組んだ。『家庭に光を、少年に愛を』『家庭裁判所は「愛の裁判所」である』と訴え、その発展に生涯を捧げた。

 

新潟家庭裁判所所長、浦和家庭裁判所所長、横浜家庭裁判所所長を歴任、嘉子が『日本最初の女性家庭裁判所所長』『家庭裁判所の育ての親』と呼ばれる所以である。(前坂俊之静岡県立大名誉教授筆)

 

◆まさに、男女平等、人権擁護の道をまっしぐらに歩んだ三淵嘉子ではある、な。素晴らしい!