今日の画像は、スイスアルプストレッキンのスナップ『アイガーグレッチャーに向かう登山電車からのスナップ・ユングフラウの氷河』、北大路欣也主演の『藤沢周平原作・三屋清左衛門残日録』、奥穂高から難関ジャンダルムを超え西穂高にトライする麻莉亜』。そして、『雨に咲くトケイソウ』です。本当にかわった形をした面白く美しい花ではあります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■■清左衛門が目をひらくと、道場のほぼ中央に、半分に折れた木剣をにぎる甚之丞が立ち、その前2間のところに青眼に構えた中根が立っていた。中根の顔面から、汗が滴り落ちるのが見えた。よほどの急場を切り抜けたものと見えた。

 

『負けたな』

ぽつりと甚之丞が言った。夢からさめたように、一歩しりぞいて頭をさげると、半分だけになった木剣をほうり出し、ゆっくりと入口の方にもどって行った。

 

甚之丞は腰に刀をもどしかけ、一度音を立てて床に刀を落とした。なぜか、手早く刀を差せなかった。緩慢なしぐさで打飼いを背負い、杉戸をあける甚之丞に、中根が声をかけた。

『甚之丞、手当をして行かぬか』

 

その声に、納谷甚之丞は刺すような目をむけた。しかし無言のまま上がり框で草鞋をつけると、外に出た。

『勝ちましたな』

清左衛門が言うと、中根弥三郎は顔をしかめて、さて、どんなものでしょうかと言った。

 

『これをごらんください』

中根は稽古着の片袖をぬいで、清左衛門に右胸を見せた。蝋燭の光でも、肋が上の方がはやくも赤く腫れているのが見えた。

 

『はじめの打ち合いでやられたのです。骨に罅ヒビが入ってたかも知れません』

『これは大変』

と清左衛門は言った。

 

■■<ノーベル賞 本庶佑『オプジーポ・小野薬品との係争・Ⅲ』>重い決断を下さざるを得なかった。2020年6月、長年の共同研究でがん免疫治療薬『オブジーポ』を製造・販売する小野薬品工業に対し、262億円の支払いを求めて訴訟を起こした。

 

『PD-1』分子を使ったがん免疫治療には大きく分けて3つの特許があった。物質そのものに対する特許、免疫の仕組みに関する特許、そして薬につながる用途特許だ。いずれも私と小野薬品とが特許権者になっている。

 

小野薬品は米メダレックスと共同開発するにあたり、特許権の独占使用権を認めるよう私に求めてきた。特許権の持ち分やロイヤルティーの料率を決めなければならないのだが、科学者にとっては疎い分野で相場がどの程度あんおかは分からない。正直、あまり関心もなかった。

 

実は当時、抗体の多様化に関する研究がピークに近い状態だったのだ。研究室メンバーである村松正道君ガクラススイッチをつかさどる遺伝子『AID 活性化誘導シチジンデアミナーゼ』を発見したことで、こちらの研究に弾みがつき多忙だった。

 

小野薬品との交渉は、京都大学にいた大手製薬会社出身の知財担当者に全てを任せた。今振り返ると、この判断によって10年以上たった後に、小野薬品との係争に発展してしまったように思う。

 

オプジーポの臨床試験はすこぶる順調に進でいた。そんなある日のこと、学会の場で友人が岸本忠三がこう言ってきた。『本庶さん、一体いくら入るんや』。

 

おおまかな契約内容を伝えると、画期的な関節リウマチの薬をメガファーマのロシュと共同開発した経験を持つ岸本はあきれたように言い放った。『あんた、それめちゃめちゃ。低すぎるわ』。(本庶佑筆)

 

■■<ブームから一転、『危機に直面する日本ワイン』>ブームと言われてきた『日本ワイン』が一転、危機に直面している。生産者の急増と需要の頭打ちによる需給バランスの崩れに、若い世代のアルコール離れ、ブドウ栽培農家の高齢化が追い打ちをかける。醸造所の閉鎖を余儀なくされる生産者が出てくるなど、淘汰の時代が始まる気配も出てきた。産地や個々の生産者は危機をどう乗り越えようとしているのか。

 

◆『衝撃的なニュース』 サッポロビールは7月10日、国内の2つのワイン製造拠点のうち山梨県甲州市のグランポレール勝沼ワイナリーを来年5月までに閉鎖すると発表した。同時に、所有する3つのブドウ園のうち長野市の長野古里ぶどう園を来年5月までに閉園することも明らかにした。『グループ中期経営計画に基づく将来を見据えた最適な製造体制の構築と経営資源集中のため』と同社は説明。勝沼ワイナリーの事業は岡山県に所有する岡山ワイナリーが引き継ぐ。

 

市場シェアは輸入ワインと国産ワインが圧倒的に多く、日本ワインのシェアは全体の数%しかない。しかし、2010年代前半の第7次ワインブームや地方活性化策の一環として2008年に導入された『ワイン特区』の追い風に乗り、小規模生産者が次々と誕生。全国の生産者数はこの10年でざっと倍増し、推定で500を超えた。認知度も急速に高まった。

 

だが実際の販売量は、生産コストの高さに起因する割高な価格や販路の確保などがネックとなり、認知度の高まりほどは増えなかった。さらに2010年代後半からは、少子高齢化やデフレ経済の長期的影響に加え、新型コロナの感染拡大を契機とした健康志向の高まりなどでワイン全体の消費量が頭打ちとなり、日本ワインもその影響をもろに受けた。この需給バランスの崩れが第1の危機だ。

 

第2の危機は20代を中心とする若い世代のアルコール離れ。ニッセイ基礎研究所の2022年11月のリポートによれば、週3日以上、飲酒日1日あたり1合以上飲む成人の割合は、1999年から2019年の間に、男性20代ではほぼ3分の1、男性30代ではちょうど半分に減った。他の年代も減っているが、20代、30代の減り方が際立っている。女性は大きな変化は見られないが、20代だけは半減した。

 

第3の危機はブドウ栽培農家の高齢化だ。日本のワイナリーは、国が第三者による農地の購入を法律で厳しく規制してきたため、ブドウ畑まで所有するいわゆるドメーヌ型のワイナリーが海外と比べて非常に少ない。原料ブドウは零細なブドウ農家から購入するケースが大半だ。

 

ワイン用ブドウからシャインマスカットなど高値で売れる生食用ブドウに切り替える農家が増えているという話も最近よく聞く。原料ブドウの調達難はただでさえ高いワイナリーの生産コストをさらに押し上げかねない。

 

国税庁が昨年6月にまとめたワイナリーへのアンケート調査によると、33.3%のワイナリーは税引き前当期純利益が赤字、9.5%は同利益が50万円未満にとどまった。『ワインは造るのは簡単だが、売るのは大変』と山梨のある生産者は苦笑交じりに話す。『日本のワイン産業は早晩、淘汰の時代に突入するのではないか』。こんな囁きも最近、耳にするようになった。

 

5月に取材で訪れた米カリフォルニア州では、多くの生産者が農業学で有名なカリフォルニア大学デービス校やシリコンバレーのハイテク企業の協力を得て、再生型農業の実証実験や、二酸化炭素の排出量削減、農薬の使用量削減などに取り組んでいた。

 

『アルガブランカ』のブランド名で人気の甲州市の勝沼醸造はナチュラルワインの生産に乗り出した。ナチュラルワインは一般には、有機栽培ブドウを使い、発酵は市販の培養酵母を添加するのではなく醸造所などに住みつく天然酵母を利用し、酸化防止剤や清澄剤を原則使用しないなど、昔ながらの手法で造られたワインを指す。独特のジューシーな味わいが特徴だ。

 

日本ワインの品質は一昔前と比べると格段に向上している。海外も含めた生産者同士の情報交換などを通じた栽培・醸造技術の向上に加え、気候の異なる日本各地でワインが造られるようになった結果、どこに何を植え、どう栽培すればよりおいしいワインができるかが経験上、徐々にわかってきたためだ。

 

山梨でも今は、代表品種の甲州から造る白ワインが国際コンクールで次々と入賞したり、もともとフランスの赤ワイン用品種であるシラーやプティ・ヴェルドから本場に引けをとらないと思わせるような高品質のワインが造られたりしている。

 

こうした取り組みを産地全体に広げて品質を底上げし、消費者にアピールしていくことも打開策の一つとなるに違いない。

 

◆私の日本産ワインに対する感想は『高い』の一言。とにかる我も我もと雨後の竹の子のごとくワインやビール醸造に乗り出している。投資した醸造所設備は近代的だが、高い。ワインの歴史のあるフランスやアメリカの醸造所はほとんど設備費は償却済みで、安いワインが作れる。その差が市場でもまれるうちに、味や品質に見合わない『日本産ワイン』の実像を作りだしたと、私は思う。広島県でも三好ワイナリーがワインを出しているが。高い。そんなワインを飲むのなら、日本酒の大吟醸を飲む方が得策だ。先般、南魚沼の吟醸酒『八海山』を飲んだが、同じ価格帯の日本ワインよりよほど美味しかった。

 

■■<イスラエル『止まらぬヨルダン川西岸地区占領拡大』>オランダ・ハーグにある国際司法裁判所ICJは19日、パレスチナ自治区ヨルダン西岸地区などでのイスラエルの占領政策は国際法違反であり、『占領をできるだけ早く終結させなければならない』との勧告的意見を言い渡した。半世紀以上に及ぶ占領政策は国際法上認められないとの立場を明確に示した。

 

法的拘束力はなく、イスラエル側は強く反発しているが、イスラエルへの国際的圧力はさらに強まるとみられる。

 

ICJは、入植地の拡大などの占領政策は『事実上の併合』とし、国際法違反と結論づけた。その上でイスラエルは新たな入植活動の停止や入植者の退去、占領地域で生じた損害への補償の義務を負うとした。各国にも違法な占領から生じる状況を合法的なものと認めない義務があるとした。

 

◆イスラエルの首相は、合法だと主張しているが、世界はユダヤの歴史的愚行だと正しく認識している。まさに、西欧から『ユダヤ』と蔑まれた、また『ベニスの商人』に書かれた冷酷無比なユダヤ人が、全世界から疎まれることは必定である。なさけないユダヤではあるなあ。社会正義、国際正義をないがしろにして、ユダヤ人の将来はない、と言える。

 

■■<ハリス副大統領、支持率でトランプ氏を2%ポイントリード>ロイター/イプソスの世論調査から、11月の米大統領選に向けて民主党の大統領候補となる見込みのハリス副大統領の支持率が、共和党の大統領候補に指名されたトランプ前大統領をリードしていることが分かった。

 

調査は22─23日、登録有権者1018人を含む全米の成人1241人を対象にオンライン上で実施され、ハリス副大統領への支持は44%、トランプ前大統領は42%となった。

 

1-2日の調査では、トランプ前大統領がハリス副大統領を1%ポイントリード、115─16日の調査で両氏の支持率は44%で拮抗していた。

 

バイデン大統領は21日、選挙戦からの撤退を表明し、ハリス副大統領を民主党の大統領選候補として支持すると述べた。一方、トランプ前大統領は先週の共和党全国大会で、同党の候補指名を正式に受諾した。

 

調査からは、登録有権者の約56%が、ハリス副大統領(59)がW精神的に鋭く、困難に対処できる』とし、トランプ前大統領(78)については49%となった。高齢不安が募っていたバイデン大統領(81)はわずか22%だった。

 

さらに民主党支持者の91%がハリス副大統領を好意的と見ているほか、4分の3の同党支持者が民主党と有権者はハリス副大統領を支持すべきと考えていることも分かった。

 

また、無所属で出馬している弁護士ロバート・F・ケネディ・ジュニアを加えた場合の支持率は、ハリス副大統領がトランプ前大統領を42%対38%でリードしている。

 

◆まだまだ迷走中のアメリカ大統領選だねえ。だけんど、このハリス副大統領といい、共和党のヘイリー元国連大使といい、移民2世で、アメリカの中枢舞台に上がれること自体、すばらしく開けた国家だといえるねえ。日本ではとても考えられない様相ではあるなあ。