今日の画像は、スイスアルプストレッキンのスナップ『アイガーグレッチャーに向かう登山電車からのスナップ』、北大路欣也主演の『藤沢周平原作・三屋清左衛門残日録』、奥穂高から難関ジャンダルムを超え西穂高にトライする麻莉亜』。そして、ハンガリー・ブタペスト『王宮丘のスナップ』です。私が訪れた中欧で3番目の都市です。ずいぶん前に訪れましたが、プラハと比べると道路上の物乞いの人の数が多かった印象を受けました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■■『ただごとでは済まんぞ。石見守さまは徳川の直参、将軍家の旗本だ』

『だからこうしてひそひそ話をしている』

と佐伯は言った。

 

『遠藤派にしても、うかつに大声は出せんさ。しかしそれにしても、もし事実なら朝田派の狙いは何だ』

『それはわからん・・・』

清左衛門は、これまで誰にも言わなかったことを、洗いざらい佐伯に話したくなっていた。

『それはそうとして、去年の暮にやはりここで飲みながら、成瀬喜兵衛がボケた話をしたのを覚えておるか』

 

一刻ほどして、2人はべつべつに『涌井』を出た。佐伯が用心のためにそうする方がいいと言ったのである。しかし花房町の出口あたりで、それとなくまわりをたしかめたが、清左衛門が誰かに跡をつけられている気配はなかった。

 

――紙漉町に曲がって行くか。

清左衛門はふとそう思い、途中で道を逸れた。時刻はかなり遅くなっていた。さて、そろそろおひらきにするかと佐伯が言い、2人が立ちあがった時に、高林寺の鐘が四ツ(午後10時)を告げたのを覚えている。

 

歩いても、時折り遠くに提灯の灯を見かけるくらいで、行き合う者はいなかった。暗い晩だった。これでは

『涌井』で提灯を借りなかったら歩くのに苦労したろうと思いながら、清左衛門はもうひとつ角を曲がって、目指す紙漉町に入った。

 

すると、暗く湿った夜気の中に、いい匂いがする場所があった。路上にたまっている匂いの正体は、どうやら牡丹の花のようである。清左衛門は寝静まった町の、とある垣根の外にしばらく立ちどまって牡丹の匂いを嗅ぎ、また歩き出した。

 

――中根は、寝たかな。

と清左衛門は思った。寝ても不思議はない時刻である。そんな深夜に道場をたずねようとしている自分に、清左衛門はいつもと違う深酔いを感じている。

 

■■<TSMCとは何者かⅨ 『ナノの10分の1、オングストロームの時代』>人通りがほとんどない日曜日の新竹科学園区で、そこだけが活気に満ちていた。TSMCの新工場の建設現場だ。せわしくダンプカーが行き交う。来年には最先端の『2ナノ』半導体がっこから世界中に出荷される。

 

半導体は、刻まれる回路の線幅が細いほど性能が高い。2000年代初めに『ナノ』の世代に突入。TSMCは、ナノの10分の1にあたる『オングストローム』世代の研究開発に取り組んでいるとされる。

 

TSMCに詳しい台湾のジャーナリストによると、『これからの20年は問題ない』と見通したという。他社に追いつかれることはないという意味だ。

 

建設現場から少し離れた本社近くに『台湾創新館』という施設がある。TSMCの技術や歴史を紹介している。創業時の1985年に張氏が作った事業計画書のコピーがあった。すでに『FOUNDRY』(受託製造)という言葉が記されていた。設計と製造を別々の企業が担う。今の半導体業界の原点がここにある。

 

どれほど成長しても、TSMCが自ら半導体の設計などの分野に手を出すことは『絶対にない』と、あるTSMC社員は断言する。顧客である設計会社との間で蓄積したノウハウを使い、顧客のライバルになることは『裏切り』になるからだ。

 

ただ、TSMCが変わらなくても、TSMCを取り巻く環境はめまぐるしく変化している。家電から兵器まで、その性能を左右する半導体は今や『戦略物資』とされる。経済合理性を飛び越え、経済安全保障の考えが浸透しつつある。

 

とりわけ、TSMCに対しては、米国、日本、さらには欧州が、多額の補助金を用意して工場誘致を働きかけてきた。その、米アリゾナ工場の開所式で張氏は『グローバリゼーションは終わりに近づいている』と警句を発した。2年前のことだ。

 

■■<大塚HD『迫る特許期限切れ、3.100億円減収危機』>大塚HDは6月、2028年度を最終期限とする5カ年の中期経営計画を発表した。次期主力薬10製品の販売拡大などで、5,600億円の増収目標を掲げるなど成長に意欲をみせる。一方、足元では主力薬の特許切れで3,100億円の減収危機が迫るほか、新薬開発は失敗続き。計画達成は簡単ではない。

 

『主力製品の特許切れの影響を吸収し、売上収益、事業利益ともの23年度を大幅に超えていく』。記者会見した樋口CEOは強調する。28年12月期の連結売上高は23年12月期比24%増収の2兆5千億円、本業のもうけを示す事業利益は25%増の3,900億円の目標を掲げた。

 

しかし市場の反応は鈍く、新中計発表後には株価は50円安の6,413円だった。大きな理由は24年末に特許が切れる抗世嗣新病薬『エビリファイメンテナ』、25年に特許が切れる腎臓病治療薬『ジンアーク』という計4,000億円弱を稼ぐ製品が消えるためだ。『短期的な大幅減収は避けられない』というのが大半の見方だ。

 

追い打ちをかるのが次期主力と期待した新薬開発のつまずきだ。14年に35億3,900万ドル(当時のレートで4,200億円)で買収した米アバニアファーマシューティカルズが開発した認知症の行動障害抑制薬『AVP―786』が失敗に終わった。19年に臨床試験の失敗を発表していたが、開発を継続。しかし今年2月に再び最終治験の失敗を発表。5月に開発の断念を発表した。結果として、23年12月期に1,000億円、24年12月期にも1,000億円と計2,000億円の減損を計上することとなtt。あ

 

住友ファーマと共同開発し、大型化が期待されていた統合失調治療薬『ウロタトント』も23年7月に治験の失敗を発表。その後大塚HDが単独で開発する方針を打ち出したが、開発の成否は不透明のままだ。

 

特許切れによる収益の崖・クリフの克服と新薬候補の補填には新たなM&Aや大胆なコスト削減策も欠かせない。変化の波が激しい世界の医薬品市場で、今回示した中計達成に向けた次の一手をどう示すのか。試練の数年間になりそうだ。

 

◆やっぱ『ポカリスエット』だけでは大塚HDの経営を支えるわけにはいかないのだねえ、当然ではるがなあ。

 

■■<中古品市場急成長『12年間で2倍』>車や衣料品などの中古品販売額が2022年に6兆2千億円となり、10年からの12年間で2倍近くに急拡大した。中古品販売の拡大の背景には、インターネット上で売り手と買い手を直接結び付ける『eマーケットプレイス・電子市場』の台頭がある。消費者の節約志向とも合致し急成長した一方、トラブルは後を絶たず、犯罪の温床化を指摘する声もある。

 

『1万5千円の新品が6,980円で出品されていた。安くてありがたい』。証券会社に勤める女性(46)は7月、夏祭りで着る浴衣をメルカリで購入した。『ネット通販のアマゾンや楽天よりも商品点数が多い』と普段からメルカリを重宝する。

 

メルカリの2023年の流通取引総額は1兆400億円と、19年に比べ2倍弱に伸びた。同じ出品者の複数商品を購入依頼できる『まとめ買い』、最短15秒で出品可能な『かんたん出品』などの機能を充実させ利用者を獲得してきた。

 

LINEヤフーも中古市場で存在感を示す。同社が手掛ける『ヤフーオークション』と『ヤフーフリマ』、『ゾゾタウン』で扱う中古品の合計となる『国内リユース取り扱い高』は23年度に1兆円と突破。19年度比で1.2倍となった。『ヤフーフリマが右方上がりで伸び、全体の成長をけん引している』と話す。

 

ただ、市場拡大に比例しフリマアプリに関するトラブルは増加傾向だ。国民生活センターによると、全国の消費生活センターへの相談件数は23年度に7,950件に上り、10年前に比べ9倍近い。『スニーカーを買ったら偽物が届いた』『中古のスマホを購入したら使えない不良品が届いた』など落札者からの相談が多い。出品者側からも『商品が偽物だと言われた』といった声が相次いでいるという。

 

運営企業は原則、利用者間のトラブルに介入しない姿勢を貫く。国民生活センターは『個人同士のトラブル解決を求められるが、当事者間で解決できない場合は運営企業に相談し、協力を得られないか相談してほしい』と話している。

 

◆私も中古品を扱うヤフオクの利用者である。主にカメラグッズだ。カメラレンズなどは、素人の私にしたら、程度のよい中古品で十分であり、ほとんどヤフオクから手に入れている。高値のイチデジでも、2モデルほど新機種が出るのを待つと、ほぼ新品価格の半値以下で買える。素人の私には、常にハイエンドなカメラを持つ必要はないから、これで十分である。また、いらなくなったレンズや程度のいい中古品なども出品して落札をしてもらっている。これまでトラブルはほとんど経験していない。第一、落札品が届いてから、正しいものであれば『受け取り済み』をヤフーに連絡すると、代金決済に進むので、間違い品であれば直接出品者に通知して、返品すればいいだけのものだ。送料って、たったの1,000円以内だからねえ。それほど心配することはないが、衣料品など微妙な部分があるから、トラブルは起こりうるだろうなあ。でも、時代は変わった。