今日の画像は、スイスアルプストレッキンのスナップ『夕暮れのラウターブルネンの滝』、北大路欣也主演の『藤沢周平原作・三屋清左衛門残日録』、奥穂高から難関ジャンダルムを超え西穂高にトライする麻莉亜』。そして、私が歩いたサンチャゴ巡礼路『ピレネー超え③』です。本当にこの日の歩きはしんどかったです。重いパックに慣れず、所どころでパックを投げ出し、草原に体を投げ出しました。でも、今ではとってもいい思い出になっています。NHK・BSで何回かこのサンチャゴ巡礼を放送しましたが、見る度に本当に懐かしさがこみ上げてきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■■それにしても、恐るべき執心だな』

と清左衛門は言った。

『30年前の試合に、そこまでこだわるとはな』

『気持はわからぬでもありません』

 

中根は言ってから、つぎを言おうかどうしようかと、少し逡巡する様子を見せてから続けた。

『実はその試合は、今のわが女房を争う試合でもありまして、いや、執心したのは甚之丞の方でした。しかし先代は、甚之丞の心情に一点心を許せぬものがあると申されて、それがしとの試合を命じたのです。

 

『なるほど』

それが納谷甚之助の執心のみなもとかと、清左衛門は納得した。清左衛門は若いうちに家督をついで道場をはなれたために、中根が言うようなことは今はじめて知ったのだが、事情がそういうものであれば、納谷甚之丞はその試合で恋と剣士の誇りを一度に失ったことになるだろうと想像は出来た。

 

清左衛門の脳裏に、中根の妻女のもの静かな細面の顔が浮かんでいる。若い頃の美しさを、今も面影に残光のように残している妻女自身は、当時の男たちの争いをどう見ていたのだろうかと、ふと思ったが、清左衛門はいそいでその想念を振り払った。

 

『それで、申し込みを受けるつもりなのかの』

『はあ、やむをえません』

『しかし理不尽といえば理不尽な申し込みだ。気がすすまぬなら、わしから藩の方に話してしかるべく処置をしてもらってもいいぞ』

 

『いえ、そのようなことは何とぞご無用に・・・』

中根は不意に鋭い目を清左衛門にあて、ゆっくりと首を振った。

 

■■<TSMCとは何者かⅠ 『黒子に徹する半導体の王者』>台北から新幹線に乗る。出発から35分。新興の街、新竹に着いた。

 

新竹は1980年代以降、ハイテク産業の発展とともに成長した。当局が整備した新竹科学園区には、台湾中のITや電子部品メーカーの本社や工場が集まっている。日曜の午後、静かな科学園区は、この一角だけが張り詰めた緊張感をまとっていた。

 

科学園区の中心部に、巨大な建物群がそびえ立つ。敷地を囲む植え込みが途切れた通用口に、人の背丈ほどある緑色の標識が立っている。『紅外線系統啓動監控中』。日本語に訳すと『赤外線で監視中』。公道からカメラを向けると警備員が鋭い視線を向けた。

 

台湾積体電路製造、半導体受託製造の世界トップに君臨し、『TSMC』の4文字で知られる。ここが、その本社や主力工場、研究開発拠点が立地する本拠地だ。

 

TSMCの半導体はスマホから兵器まで多くの電子機器に使われる。TSMCから調達できるか否かは、ビジネスの成否にとどまらず、軍事力をも左右する。世界に500以上の顧客を持ち、その中にはアップルやエヌピディアなど、時価総額で世界十指に入る先端企業が並ぶ。

 

TSMCは、他社が設計した半導体を工場で製造する『受託生産』を生業とする。世界シェアは6割近い。生成AIなどに使う最先端の分野では、ほぼ独占的な立場にある。

 

87年の創業から40年足らず。『TSMCはなぜ、ここまで強くなったのか』。TSMCと取引が長い台湾最大手の材料商社『崇越集団』トップの郭智輝に尋ねた。郭は、頼清徳新政権で経済部長(大臣)に就任し、台湾の半導体産業を引っ張る人物だ。

 

『小籠包は食べましたか?』。郭は切り出した。『1千個の小籠包を蒸すと、いくつかは皮が破れたり、肉汁が漏れたりするでしょう。多くの店は700個しか売り物になりませんが、TSMCは950個を完璧に作ります』。

 

半導体はウェハーに回路を焼き付け、細かく切り分けてつくる。不良品がほとんど出ない精緻な製造技術こそがTSMCの強みだという。

 

■■<AIブーム『英領アンギラに巨万の富』、マスクも米メタも>米フロリダ州マイアミから南東に2千キロ。1,5万人が住む島『英領アンギラ』は伊豆大島とほぼ同じ面積だ。『カリブ海で最も美しい海』と呼ばれ、海岸沿いには五ツ星ホテルが林立。浜辺には大勢の観光客でにぎわう。

 

カリブ海でも有数のリゾート地だが、コロナ禍で島の財源は枯渇した。それが突然、地名のお陰で歳入が急増。住民向けに医療費の一部無料化まで打ち出した。ウェブスター首相は言う。『まるで神からの贈り物です。「アンギラ」という地名をつけてくれた祖先に感謝しないと』と話す。

 

『金の成る木』は、アンギラという地名に基づいたネットのドメインにある。『.ai』だ。ネット上のドメインには『.com』や『.jp』が必要で、トップレベルドメインTLDと呼ばれ、1980年代後半から各国に割り当てられた。

 

島の形から、ラテン語系の言語で『ウナギ』を意味する言葉から派生して名付けられたとみられる『アンギラ』。『国家』ではなく、英国が世界に計14持つ海外領土の一つだ。

 

このアンギラに割り当てられたTDLが『.ai』だ。AIといえば、ほとんどの人が人工知能を思い浮かべる。AIを取り扱う企業にとって、『.ai』はのどから手が出るほど欲しいドメインなのだ。

 

『.ai』が割り当てられた当初は『放置』していたが、使用する権利を2011年から売り始めた。対話型AI『ChatGPT』が登場した22年末以降に申請が急増した。今年の4月中旬現在で42万7千件。イーロン・マスクが所有する『X.ai』、米メタの『meta.ai』などが含まれる。日本からも2千件の登録があるという。

 

使用料は当初、2年間で100ドルだったが、インフレで140ドルに値上げした。アンギラは現在、『.ai』の使用量で年に3,200万ドル=51億円を稼ぐ。年間予算の3割に当たる額だ。25年には年7,200万ドルに倍増するとの見込みもある。

 

政府は新たに得た歳入で、アンギラの移住や観光を促進する施策に取り組んでいる。島内の経済を一段と活性化させるためだ。そして、まずは70歳以上の医療費を無料にした。新たな学校の建設も始め、固定資産税の徴収をやめた。

 

『.ai』が割り当てられたのは、幸運以外の何物でもない。だが、幸運だけで終わらせてはいけない。アンギラをさらに発展させるための布石を打ち、将来的には独立したい。ウェブスター首相は意気軒昂だ。(アンギラ=縫部理人筆)

 

◆まあ、よにも幸せな国があったものだねえ。幸せな国といえば、石油が噴き出る新興国を指していたが、今やネットの時代。ドメインによる青い鳥が訪れる時代なのだねえ。とっても面白い、なあ。

 

■■<舛添要一、石丸氏の国政進出をバッサリ『通用しません』>東京都知事や参院議員を務めた国際政治学者の舛添要一(75)が10日、YouTubeチャンネルを更新。7日投開票の東京都知事選で落選した前広島県安芸高田市長の石丸伸二(41)の国政進出に厳しい見方を示した。

 

舛添は今回の都知事選の結果を受け、3選を果たした小池百合子知事のほか、上位に入った3候補の戦略や、戦術ミスについて解説。蓮舫を抑えて2位に躍進した石丸については『(広島安芸高田市長時代は)いろいろ市議会と問題があって、ちょっと問題児だと言われていた。だけど今回、SNSを駆使して一気に発信力を強めた。それが面白いから大マスコミが拡散する。こういう相乗効果がありましたね』とし、3期目となる小池氏や、国会議員を長く務めた蓮舫らと比べてフレッシュなイメージもあったことから、変化を求める若い層を中心とした有権者の票が集まったと分析した。

 

一方、石丸が都知事選に出馬したことに伴い、7日に投開票された広島安芸高田市長選で、石丸の政治手法を批判した無所属新人の元郵便局長、藤本悦志(51)が初当選したことにも触れつつ、『「石丸みたいなむちゃくちゃなやり方じゃだめだ、安芸高田市はカンカンになって怒ってる、あんなのが東京行くようだったら、東京は壊滅するぞ」そう言われている』と、石丸に対する一部の否定的な意見にも言及。

 

『やっぱり、石丸さんの問題は政策がはっきりしない。何を言われてもはぐらかす。相手をバカにする。“石丸構文”で何もかもはぐらかす』と、選挙特番などでインタビュアーにつっかる返答を繰り返したことからSNS上でも話題になっている独特の論法についても指摘し、『今、急にライジングスターで昇ってきて、「次は国政で広島1区で岸田と対決する」みたいなことを言っていますけど、ただ、この政策内容、このしゃべり方、この答弁の仕方、これ国会で通用しません』とバッサリ。『ですからものすごい批判が巻き起こっていますね、非常に私は危ういと思います』と私見を述べた。

 

◆まあ何と申しましょうか、乱世には一種のきちがいじみた人物が、台風の目になることもあるんよねえ。彼が国会に出ても、孤軍奮闘で、何にもできないし、首相にはなれない。国政は政党政治だから、な。たんなる遠吠え犬になるだけ、だ。