今日の画像は、スイスアルプストレッキンのスナップ『急峻な場面の下山道』、北大路欣也主演の『藤沢周平原作・三屋清左衛門残日録』、徳島県の岩島・大辰巳島の『前人未踏の辺境クライミングルートを登る麻莉亜』。そして、プラハ『朝のカレル橋』です。ヴルタヴァ川にかかるプラハ最古の美しい石橋。カレル橋にはいつも世界各国からのツーリストがあふれている。早朝故、しんみりと。全長520m、幅は10mもあり、両側の欄干に並ぶ30体の聖人像が目を引きます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■■『少し間を詰めた方がよくないか』

清左衛門がささやくと、平松はこのまま、このままと言った。そしてつけ加えた。

『大丈夫です。成瀬のご隠居はもう気づいています』

 

成瀬喜兵衛は河岸の道に出た。ひろいその道に出るのを待っていたのだろう、後ろの人影が一斉に走って成瀬に追いつくと斬りかかった。

 

成瀬が投げ捨てた提灯が燃える間に、白刃がきらめき、無言のはげしい斬り合いが行われた。成瀬喜兵衛の姿が、地を摺るようにして走ったかと思うと、次には高く跳躍し、きびきびと刀を揮うのが清左衛門の眼にはっきりと見えた。

 

襲撃をかけた男たちのうち2人が倒れ、1人が足を引きずりながら辛うじて逃げた。

『驚きました。すべて峰打ちです』

と平松がささやいた。

 

『出番がなかったな』

『はあ、出番なしです』

『とんだボケ老人だ』

 

清左衛門は、深刻な顔で成瀬がボケたと言った佐伯熊太を思い出して笑いを噛み殺したが、事情を知らない平松は怪訝そうに言った。

『え? どなたのことでしょうか』

 

河岸の一角に、船着き場の常夜灯がある。霧は川底から湧いて、河岸の道を低く這い回っていた。その白い霧を蹴散らすように、足早に遠ざかって行く成瀬喜兵衛の後ろ姿が見えた。

 

■■<ポイント経済、勝者は誰だ② 『消費動向を左右するポイント』>23年のポイント発行額が約6,500億円相当と国内最大の経済圏を持つ楽天グループは4月『楽天ポイントカード』とスマホ決済の『楽天ペイ』、電子マネー『楽天Edy』のスマホアプリを統合すると発表した。楽天ポイントをスマホ決済でも使いやすくするのが一つの狙いとされる。

 

使い勝手で先行するのはPayPayだ。スマホ決済しているだけでポイントがたまり、支払いでも使いやすい利便性で支持を集めるl。

 

野村総研NRIの調査によると、民間企業のポイント・マイレージの発行総額規模は22年度に1兆2,342億円にのぼる。約300兆円の家計最終消費支出に比べると規模は小さいが、消費行動を左右する大きな存在となっている。

 

共通ポイントは5大陣営がサービスにしのぎを削るが、ここにきて巨大なライバルが登場した。5月9日、JR東日本が始めたデジタル金融サービス『JRE BANK』に申込者が殺到し、当日の口座開設の受付が早めに打ち切られた。

 

利用者はインターネットで専用口座を開設すれば預金や住宅ローンなどのサービスに加え、JR東グループのJREポイントをためられる。都内の企業に勤める女性(33)は『電車は日常的に乗るもので、特段何かを買ったりしなくていい。日常の生活でポイントがためられるのは魅力的』と話す。

 

特典も利用者を引き付ける。資産残高などJREバンクの利用状況に応じ、新幹線を含む片道運賃を年10回まで4割引きにする。グループ会社が手掛けるホテルの宿泊料金を最大20%引きとし、駅ビルでのポイント還元も充実させた。

 

上々の滑り出しにJR東日本の伊藤敦子常務は『社内の想定を上回るロケットスタートだ。なるべく早く100万口座を目指したい』と手応えを感じている。『グループ各社のサービスとの接点をつくり、ポイント経済圏を生み出していく』。

 

NRIの冨田グループマネージャーはポイント業界について『利便性や楽しみを提供する「心地よさ」がより重要になる』と予測する。金融サービスとの連携や生成AIの活用により、利便性を上げることがカギになる。

 

■■<岸田首相が『渋沢栄一になるためには』>7月から新しい1万円札の顔となる渋沢栄一にはどうしても訪ねてみたい場所があた。孔子のふるさととして知られる中国山東省の曲阜である。渋沢は1014年に、まだ辛亥革命の混乱が続く中国を訪問している。すでに74歳だった。高齢を押して異国への旅に出たのは理由がある。

 

『目的の一つは曲阜にある孔子廟の参拝でした。この機を逃したらいつ行けるか分からないと思ったのでしょう』。渋沢が居を構えていた東京都北区の飛鳥山公園にある渋沢資料館で、館長の桑原功一さんが教えてくれた。幼い頃から論語を学び、人生と実業の道しるべとしてきた渋沢である。孔子廟に参詣するのは長年の夢だった。

 

もう少しでそれがかなうという時に、異変は起こる。中華民国の大総統だった袁世凱に北京で会った後。曲阜に向かう途中に立ち寄った天津で体調を崩してしまったのだ。結局、旅を打ち切って日本に帰る決断をする。『さぞかし無念だったでしょう』。桑原さんは渋沢の心中を推しはかる。

 

明治以降に銀行や交通など500近い企業の設立に関わった渋沢は『論語と算盤』をうたい文句に、孔子の教えを日本の資本主義に植え付けようとした。根っこにあったのが『道徳経済合一説』である。金儲けは決して悪いことではない。ただ、自分だけが儲かればいいという振る舞いでは、いずれ必ず息詰まる。

 

では、どうするべきか。大事なのは儲けを社会のために生かす、すなわち『私益』と『公益』を両立させる発想だ。渋沢はそれができて初めて、国全体が豊かになるt考えた。1980年代に米英から世界に広がった新自由主義は、渋沢が理想としていた資本主義とは異なるものだろう。弱肉強食で一部の人に富が集まり、世界で分断が加速した。公益より私益を優先する風潮が強まったのは否めない。

 

岸田文雄首相は2012年9月の自民党総裁選で『新自由主義的な政策を転換する』と約束した。目標に掲げたのが『新しい資本主義』の実現である。

 

意識したのは渋沢の思想だろう。それに共鳴する議員連盟の会長を務め、政権発足後は『富める者と富まざ者の分断』を防ぐと内閣の基本方針に明記した。その志をまっとうする政治といえるのだろうか。6月から始まった首相肝煎りの定額減税は、すこぶる評判が悪い。

 

首相は『税収増を国民に還元する』と繰り返す。国に入ってきた税金が余ったから、国民に分配する。それは渋沢が唱えた公益に敵う者何おだと主張したいに違いない。

 

だが、急激な人口減などで必要な予算はこれからどんどん増える。財政に余裕はなく、減税よりもっと国全体のためになるお金の使い方があるはずだ。そもそも、肝心の消費をどのくらいい仕上げるかをしっかり検証した形跡はない。公益というより、選挙目当ての私益を追及を追及する減税ではないか。国民の多くが見透かしている。

 

渋沢がかつて暮らした飛鳥山公園には、今もカイノキ(楷樹)という中国原産の珍しい木がある。孔子が亡くなった時、弟子のひとりが曲阜の墓に植えたとされる木だ。

 

曲阜を訪ねる夢はかなわなかったが、渋沢ハカイノキを眺めながら孔子の教えに思いを馳せたのだろう。公益とは何か。首相も原点を見直す時だ。(高橋哲史筆)

 

◆私は、岸田首相に一番欠けているのは弁舌力であると思う。物事の対峙して論ずるとき、第三者がみてほとんどの者が『なるほど、岸田首相の言う通りだ』という高い説得性のある弁舌は聞いたことがない。いつも、官僚が描いた原稿を読むような、一言でいえば抑揚がなく、魅力や説得力のない弁舌にはあきあきする。一国の首相ならが、歴史に残るような鮮やかな弁舌を一度は聞いてみたいねえ。

 

今回物議をかもしているこの4万円減税。総予算は5兆円程度になるそうだ。なら、子育て施策に必要な1年間分の費用に相当する。なぜそちらに回さないのか。手間暇かけて、恩着せがましく減税、減税と言って、次の選挙への宣伝戦を仕掛けているのだろうか。それよっか、政治資金問題をきっちりと仕留めるべきだが、収賄政治の匂いをのこす現在の法案では、とても国民は納得すまいなあ。飴とムチのつもりが、ムチだらけになりそうだねえ。なさけない。

 

■■<都知事選出馬の石丸伸二『誤解している』、キレッキレ『恥を知れ』イメージとの差>広島県安芸高田市長を退任し、東京都知事選(20日告示、7月7日投開票)に出馬する石丸伸二(41)が15日、渋谷の街に『降臨』した。市長退任後、初の街頭演説をスクランブル交差点前で行い『日本を動かすため、まず東京を動かそう』と訴えた。

 

自ら望んで『第一声』に選んだ渋谷は、大規模再開発が進む。石丸はかつて『東京解体』を訴え、波紋を広げたが『揚げ足を取られるだろうと思って言った言葉。解体が目的ではなく、何かをつくるには解体作業が必要』と述べ『今、東京に不満がある人はいなくても、このままで大丈夫? と思っている人も多いでしょう。この街を強くするには再建しかない。創造的破壊、イノベーションを起こす必要がある』と述べた。

 

キャッチフレーズは『東京を動かそう』。『自分の中では「恥を知れ、恥を!」を上回る時間をかけて考えた』と、市長時代に議会で居眠り議員を一喝し、石丸の名を世に知らしめた言葉との比較で言及。『最終的には日本だが、まず動かなければいけないのは東京。動かすのは私でありみなさんだ』とも口にした。現職小池百合子知事(71)の都政を念頭に『「東京を動かそう」は、2期8年の間に東京は動いていたのかなという問題提起を込めたもの』とも語った。

 

歯に衣着せぬ発言に注目が集まり、安芸高田市の公式チャンネルには約26・8万人が登録。石丸のXフォロワーも約40万人にのぼる。演説には数百人が集まり、地方から駆けつけた人も。写真撮影や握手タイムが取られる場面もあった。

 

市長時代の『キレッキレ』な雰囲気とは違う気さくさに、記者から『今日はおとなしい』と問われると『誤解している方が多いと思うが、キレキレなのはそこだけ動画を切り抜いているから。キレているところとマイルドなところ、全部混ざり合うと今日くらい』と笑わせた。

 

◆まあ、日刊スポーツの記事だからねえ、これは。でも私は、この石丸にこそ『恥を知れ』と言いたい。安芸高田市の再生は中途半端。議会と真っ向から対峙し、議員の個人的攻撃で世を沸かした。何ら具体的成果は上がっていない。それに引き換え、現小池知事は『都政を我がものに牛耳っていた自民党支配を壁を崩壊。、絶滅させた』という具体的成果がある。石丸など小池知事の足元にも及ばない、愚衆の徒である。記事には、フォロアーが40万人に達したと。トランプなど、1日で300万人を突破している。石丸は小さい、小さい。せめて100万人を突破するくらいの人気がなければ、都知事選に出ても、泡まつ候補だねえ。