今日の画像は、スイスアルプストレッキンのスナップ『ミューレンからの下山道風景』、北大路欣也主演の『藤沢周平原作・三屋清左衛門残日録』、徳島県の岩島・大辰巳島の『前人未踏の辺境クライミングルートを登る麻莉亜』。そして、先日訪れた四国の松山市『三津浜の風情』です。

 

三津浜はかつて、伊予藩主が参勤交代に出発する港で、別邸が設けられていて、当時は大変賑わったそうだ。維新後もその賑いは引き継がれたが、昭和の戦後に商店街が衰退した、田舎町になってしまった。この状況を嘆き、昔の賑いを取り戻そうとする若者達が移住などして参画、行動しているというニュースを聞き、久しぶりに愛媛松山の地を踏んだ。フェリーで3時間、ゆったりとした旅路であった。だが町並みの復興は緒についたばかりで、尾道市の10年前を連想させた。これからの道筋には幾多の困難が待ち構えていると思うが、関係者は頑張ってほしい。しかし、三津浜は港地域に水産工場が集積しており、地元の産業を支えていた。また、私が船会社の名を知っていても、その本拠地をしらなかった『石崎汽船』の本社がここにあり、大正時代の本社ビルも保存されていたのが大きな収穫ではあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■■『これがよほど気にいったらしいな』

清左衛門は、ほとんど手をつけていない小鉢の蕪漬けを佐伯に回して言った。

『桜井孫蔵に聞いた話だが・・・』

佐伯が言い、桜井は知っているなと念を押した。

 

『知っておるとも。鹿沢通の代官だ』

『うむ、その孫蔵に聞いた話だが、この赤蕪と申すものは平地の畑で作ってもうまくいかんそうだ』

『ほう』

『鹿沢通のように焼畑の多い山奥で作ったものが、出来もよく味もよい。つまり痩せ地に適し、土の肥えているところには不向きということになる』

 

『なかなかくわしいな』

清左衛門は言った。

『おぬしが喰い物について一家言ある男とは知らなんだ』

2人はそれから、互いに新しく酒をつぎ合って、おかみが入って来たために中断した話にもどった。

 

しかし話の中身はさほど改まったものではなく、佐伯から最近の藩上層部の動きを聞くだけのもので、その話はおかみが熱燗の酒と追加の肴をはこんで来た時にはあらまし終わっていたのである。

 

『今は双方ともに模様見といったところだろうな』

と佐伯は言い、熱燗の酒をぐいと飲み干した。

 

『そう言っても、これでおさまるというわけじゃない。いずれ大騒動になる気配はどうして、きわめて濃厚だが、朝田派がこのところおとなしい』

『ほう』

 

■■<攻めるコープさっぽろ⑧『200万人を超す組合員』>一方で、生協は株主がいない分、経営への監視が効きにくいという弱点もある。コープさっぽろが事実上の経営破綻や粉飾決算に陥った90年代、全国の生協で赤字や放漫経営が相次いだ。

 

コープさっぽろでは大見英明が07年に理事長に就任後、社外取締役にあたる学識理事を常勤役員と同数の4人に増やし、外部の監視を高めた。過去にトップのワンマン体制が組織の腐敗を招いたとの反省からだ。『人が組織にぶら下がるようになったら終わりだ』と大見は話す。

 

目標に見据える国はフィンランドだ。生協が百貨店やガソリンスタンド、ホテル、金融など様々な事業を展開。北海道の人口と同規模のフィンランドでは年間2兆円を売り上げ、全世帯の9割が加入するという。

 

コープさっぽろの組合員は昨秋200万人を超えた。道内世帯の7割超が加入する計算だ。店舗と宅配に加え、配食や灯油・電気、共済、葬祭、リサイクルなど道民に寄り添いながら事業を広げてきた。

 

 

 

■■<俊敏さで大を制す『脱製造業へデジタル改革・上』>清酒や醤油の製造機械で国内シェア8割を持つ『フジワラテクノアート』(岡山市)。AIを使い、職人の麹作りを支援するシステムの開発が進む。プログラミング言語『Pythonパイソン』をゼロから学んだ社員らが、2025年の発売へ準備を進める。

 

『理想と現実の溝を埋めるには、デジタルしかない』。デジタルトランスフォーメーションDXの旗を振る藤原副社長が考えたのは18年のこと。人口減による市場縮小を受けて事業の在り方を変えようと、微生物の高度利用を目指す招来計画を打ち出した。

 

◆『決定はデータで』 醸造機械の生産管理システムを導入し、経験や勘を頼りに組んでいた生産や調達の作業計画をデータに基づき決めるよう改めた。身近な通信アプリを使ってデジタルへの抵抗感を下げ、150近い取引先も巻き込んだ。

 

調達業務の月400時間削減という目に見える成果が出ると、社員156人のやる気が高まった。国家資格のITストラテジストなどデジタル関連の資格保有者は18年の1人から7人に。溶接など他の分野でも資格を取得する人が出てきた。

 

小さな企業は大手に比べてデジタルの導入では後れをとると思われがちだが、違う側面もある。『経営と現場に距離がある大企業と比べ、規模が小さい分浸透が早い』。DXに詳しい北陸先端科学技術大学の内平教授は指摘する。

 

課題は人材だ。中小企業基盤整備機構の調査によると、DXの課題に『IT人材不足』を挙げた企業は11選択肢の中で最多の28%。内平教授は『経営者がデジタルの可能性を理解し、自社で成功体験を積むことが大切だ』と話す。

 

◆DX、DXと掛け声ばかりかとおもいきや、着実に成果を出している中小企業もあるんだねえ。本当にITを駆使した企業に変貌すると、従業員も楽だし、もち、企業収益もどーんと高まるんだよねえ。時代ではあるな。

 

■■<『大の里、優勝秘話』>幕内登場から7場所目の優勝という、優勝最速記録を打ち立てた『小結・大の里』。優勝戦の前には二所ノ関(元横綱稀勢の里)のとても重要なアドバイスがあった。

 

史上最速優勝という歴史的快挙に挑む大の里に、師匠の二所ノ関親方がかえた言葉が粋だった。『優勝しても、土俵上で喜ぶな』。

 

稀勢の里は現役時代、白鵬の連勝を63で止めた一番の前日。故鳴戸親方(元横綱隆の里)から『勝った時にガッツポーズはするな』との金言をさずかり、『まるで勝つことが決まっているような気持ちになった』という。

 

同じ『暗示』をかけられた大の里も、緊迫の土俵で本来の力を発揮した。立ち合いで阿炎のもろ手突きにも動じない。突きの連打を巧にあてがって応戦。得意の右をのぞかせると、瞬く間に押し出した。力を出し切った大器は『親方にかけてもらた言葉のおかげで気が楽になった』と感謝した。

 

土俵では怪物でも、土俵下の優勝インタビューでは人の子であると感じさせた。目標とする力士像を聞かれると、うまく言葉が出ずに苦笑い。師匠が説く『抑制の美学』を必死に守ろうとしたけなげさが微笑ましい。

 

初土俵から所要89場所で賜杯抱いた苦労人の師匠は現役時代、黙して語らずの相撲道を貫き、多くのファンから支持された。師匠とは桁違いのスピードで優勝したものの、力士としての風格は当然、稀勢の里の域にはまだ及ばない。

 

◆稀勢の里の言葉少ない状況は、不思議と思うくらい徹底していた。が、親方になってインタビューを受けると、なんと饒舌な人かと、大変驚いたことがある。相撲道は素人では計り知れない部分が多くあるんだねえ。素晴らしい、稀勢の里親方と大の里ではあるなあ。ガンバレ、石川県!