今日の画像は、スイスアルプストレッキンのスナップ『ミューレンからラウターブルネンへの下山トレイル』、北大路欣也主演の『藤沢周平原作・三屋清左衛門残日録』、徳島県の岩島・大辰巳島の『前人未踏の辺境クライミングルートを登る麻莉亜』。そして、花期が長く、育てやすいといわれる『オステオスペルマム・アフリカキンセンカ』です。花の色が鮮やか、原色っぽくて素敵です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■■もう雨が降っているのか、帰っていく城下の方は夜のように暗く見え、雷鳴は頭上に移って来た。空気を打ち叩くような重い光がつづけざまにはためき、雷鳴がとどろいた。清左衛門は、自分と彦四郎がかつて出会ったことのないような危険に遭遇しているのを感じた。

 

しかし2人は野道の途中にいた。恐怖をこらえて清左衛門は前方の村を指した。

『あそこまで走るか』

『いや』

落ちついた声で彦四郎が制した。

 

『走るとあぶない。このまま行こう』

彦四郎がそう言った直後に、清左衛門は物が焦げるキナ臭い匂いを嗅ぎ、眼の前がかがやく白光に閉ざされるのを感じた。

 

雷の音は聞かなかったが、強い力で身体をつかみ上げられる感じがあり、同時に白光は頭の中ではじけて、清左衛門は意識を失った。

 

気がつくと、2人とも地面に倒れていた。立とうとしたが足に力が入らないので、清左衛門は這って彦四郎のそばに行った。髪を少し焦がし、ちょっぴり鼻血を出して彦四郎は息絶えていた。

 

自分でも知らす嗚咽の声を洩らしながら、彦四郎の頭を膝の上に持ち上げた時、沛然と雨が降って来たのを清左衛門はおぼえている。

 

そして金弥は出世した、と思いながら、清左衛門は荒れ地に背を向けて路地にもどった。低い煙が路地を這い、飯を炊ぐ匂いが清左衛門の鼻にとどいた。嫁が心配しているかも知れんなと清左衛門は思い、幾分いそぎ足になった。

 

小沼金弥はしばらく近習組に出仕した後、家督を継いで惣兵衛となり勘定組に転じたが、そこでにわかに頭角を現した。魚が水を得たように、身にそなわっていた算勘の才を発揮し、組内で累進したあげく、最後は勘定奉行を勤めた。家禄もたしか5、60石はふやしたはずである。

 

■■<攻めるコープさっぽろ②『これから取り込む「残存者利益」』>トドックの商品数を一気に増やしたのは、当時台頭し始めていたネットスーパーに対抗するため。特に意識したのはアマゾンだ。17年に首都圏で生鮮品の『アマゾンフレッシュ』を始めていた。

 

ただ大見にはアマゾンに勝てる自信があった。神奈川県の小田原市にあったアマゾンの配送センターを14年に見学した際、箱に詰める商品は1個が大半だと気付いた。トドックは週1回の発注で1家庭につき平均11種類を配達する。『1個当たりの配送コストは我々が圧倒的に優位だと確信した』。

 

全ての利用者が配送拠点から片道1時間圏に入るよう、拠点数迂も増やした。トラック1台で1日60~70軒を回る効率的な配送を実現している。これらの物流を全て自前化してきたことも大きい。トドック事業の利益率は21年度に8%と全国の生協の平均2倍を誇る。

 

高齢化と共働き世帯の増加する中、生協のスタイルは他のネットスーパーの追随を許さず、存在感を増している。コロナ禍で全国の生協の宅配事業の売上高は16%伸びた。

 

大見は宅配のさらなる伸長を見据える。『コンビニの店舗数が減少傾向に入り、ドラッグストアもほぼ飽和した。あとは基本的に減るだけだ。そこでトドックが残存者利益を取る』

 

そんな大見が生協を辞めようかと悩んだことがある。コープさっぽろが1998年に事実上の経営破綻に陥った時だ。

 

■■<AIチップ、米が『中国を兵糧攻め』>3月18日、米半導体大手エヌビディアが海老西部カリフォルニア州サンノゼで開いた開発者会議。革ジャン姿のジェンス・ファンCEOが披露した最先端のAI半導体に聴衆が沸く中、それを複雑な心境で眺める中国人技術者がいた。

 

中国の新興AI開発企業に勤める。新型AI半導体は本来なら歓迎するべきニュースだが、素直には喜べない。『うちでは使えないだろう。自由にAI開発出来る米企業が羨ましい』。

 

AIが膨大な文章や画像を学び、利用者の要求を瞬時に把握してそれに応える。米オープンAIの『Chat GPT』をはじめとする生成AIが世界各地で急速に普及する。その進化を支えるのがデータの高速処理に特化したAI半導体だ。

 

米調査会社によると、AI半導体の市場規模は2022年に442億ドル(6兆9千億円)だった。29年には2.7倍の1,194億ドルまで増えると予測する。半導体の主戦場はスマホからAIに移りつつある。急成長市場で1強状態にあるのがエヌビディアだ。英オムディアによると、エヌビディアは22年にAI半導体の市場で8割のシェアを占めていた。

 

米政府は22年にAI開発に用いられる半導体の対中輸出規制を打ち出した。エヌビディアは規制に触れないよう、性能を落とした特別な半導体を中国向けに出荷してきた。だが米政府はその動きすら認めなかった。23年には規制の範囲を広げ、廉価版の製品も出荷できないようにした。

 

米政府がAI半導体を重視するのは、安全保障や国力に直結するからだ。1月の台湾総統選では、中国共産党とつながりあがある組織がAIで偽音声を生み出し、世論操作を試みた。11月に大統領選を控える米国にとって人ごとではない。

 

AI半導体では米国が世界をリードする。中国企業も手をこまねいてはいない。『大量のエヌビディア製半導体を備蓄した』。米グーグル中国法人の元トップ、李開復は23年11月、米メディアの取材に明らかにした。

 

中国は自前のAI半導体の開発も急ぐ。最有力の担い手が『華為技術 ファーウェイ』だ。同社のAI半導体『アセンド』は性能面でエヌビディア製に劣るものの、中国のAI企業の多くの技術者は『いずれは上回る』と今後の開発に期待を寄せる。

 

競合の動きが把握できなければ、国家も企業も予防策を講じざるをえない。AI開発では最上流にある専用半導体の確保が何よりの布石になる。米中の技術派遣争いは激しさを増す。半導体は競争の象徴としても重要性が高まり続ける。

 

◆日本は一体どうなっているのかなあ。心配だ。まあ日本に、最先端技術があるとは思えないし、熊本の半導体工場だって、時代に遅れた汎用品を生産するだけだ。誰が日本の半導体を水没させた責任を取るのだろうかな、岸田首相殿。

 

■■<横浜市教委『裁判傍聴独占』>教員による複数の性犯罪事件で、横浜市教育委員会が裁判の傍聴に多くの職員を動員していた。傍聴席を身内で埋め尽くし、審理の中身が一般の人の目に触れないようにする企てとみられている。『被害に遭った子供のプライバシーに配慮した』おいう釈明は、いかにも苦しい。

 

裁判所で待ち合わせをしない、知った顔にも挨拶しない、事件に関する話題は口にしない――。動員に際しては、こんな指示書も出ていた。組織の傷を隠す企てがかえって傷口を広げる。野球でもありがちな、『作戦』の齟齬である。

 

この問題を大きく報じた東京新聞の記者は、傍聴人の1人を追い、市教委関連の職場に戻るのを突き止めたという。他社ながらファインプレーというほかはない。

 

隠し事が人に知られるその糸口を『尻尾』という。今回は狐狸さながらに尻尾を現した横浜市教委だが、ゆめ油断はならない。恥部を隠そうとする悪知恵は、恐らくこの組織の伝統であり体質だろう。怪しい動きを見逃すまい。『なくて七癖』の格言もある。(産経抄)

 

◆全く情けなくなる、横浜市教育委員会だ。税金を食い散らす、銭くい虫だねえ。