今日の画像は、スイスアルプストレッキンのスナップ『ミューレンで出会った女性』、北大路欣也主演の『藤沢周平原作・三屋清左衛門残日録』、徳島県の岩島・大辰巳島の『前人未踏の辺境クライミングルートを登る麻莉亜』。そして、

広島造幣局の『八重桜Ⅱ』です。春の一時期の『花のまわりみち』です。

 

 

 

 

           <花弁数15枚程度>

 

 

 

             <花弁数20~26枚>

 

 

 

 

     <江戸駿河台にあったのこの名がついた>

 

 

 

          <イギリスからの移植種>

 

 

 

 

 

 

 

■■やがて男たちは、じりじりと包囲の輪を縮めて来た。それっきりひとことも口をきかないのが無気味だった。

 

その時、道に提灯の光が射した。提灯は隣町から花房町に入って来るようである。その灯が見え、やがて近づく男の顔が見えた。提灯の光にうかび上がったのは、半田守右衛門の沈痛な顔である。

 

『守右衛門、気をつけろ。夜盗だぞ』

叫ぶと同時に、清左衛門は男たちの間におどりこんで刀をふるった。峰打ちで、1人の肩を打ち1人の腿を打った。男たちも打たれながら切りかかって来たが、清左衛門は匕首をはね飛ばした。

 

振りむくと、提灯を投げ出した半田が残った1人の背をしたたかに打ち据えるのが見えた。わめき声を残して男たちが逃げ去ると、道に落ちた提灯がめらめらと燃えてきた。

 

『斬りはしなかったろうな』

『はあ、峰打ちです。お怪我はありませんか』

『大丈夫だ。いや、助かった』

と清左衛門は言った。正直な感想だった。

 

『さっき店に戻って、飲み直そうか』

『はあ、しかし・・・』

『わかってる。忘れ物を取りにもどっただけだと言うのだろう』

『そうです。大事な品を忘れまして』

 

『ま、それはそれとして一杯やれ。わしの奢りだ』

来た道をもどりながら、清左衛門は半田に念を押した。

『飲み直すだけだぞ。貴公に助けられたからと言って、さっき申したことを取り消すわけいにはいかん』

『それは、わかっております』

と半田守右衛門が言った。

 

■■<異形の企業集団SBI⑤ 『引き受けたバブルの宿題』>『この買収はたいしたものです。さすがの僕もできませんでした。ただ北尾さん、政府と同じ扱いにしてくださいね』。村上世影(64)がSBI・HDの北尾吉孝会長兼社長(73)に『仁義』を切った。2023年9月に村上が率いる投資会社エスグランドコーポレーションがSBI新生銀行の1割株主に浮上する時だ。

 

SBIは21年12月に同意なきTOBを経て旧新生銀行を連結子会社化した。最大の課題は前身の日本長期信用銀行が平成金融危機時に注入された公的資金の返済で、バブル経済の『もっとも大きな宿題』(預金保険機構)を引きうけた。

 

公的資金返済が滞った原因は政府が優先株を普通株に転換した後、株価が全額返済の条件となる1株7,450円を下回り続けたことだ。SBIは23年に上場廃止で株価と公的資金の残額の連動を切り離そうとした。2,000万株を1株にする株式併合で少数株主の持つ株式を端株に変え、SBIと政府だけが株主に残るようにした。

 

奇策が成功したかに見えた瞬間、伏兵として現れたのが村上だ。SBI新生銀行株を2,000万株取得し、株式併合後も1割株主に留まった。2割株主の政府が3,300億円の公的資金を回収する際、その半分を得られるとソロバンをはじいた。取得価格560億円を引いた1,100億円儲ける算段だ。

 

『大いに結構、大いにウエルカム。560億円の金を彼は寝かし、僕はその分、金が浮いた』。北尾はこ余裕を見せた。それでも株主平等の原則に沿って、エスグランドを政府と等しく扱うなら、公的資金返済の過程でSBI新生銀行は巨額の配当支払いや高額の株式買い取りを余儀なくされる可能性がある。

 

浮上するのは、政府の保有株のみを優先株に転換する選択肢だ。普通株に比べて配当を優先して受けられる権利を持つ優先株を政府が保有することになれば、エスグランドとの間に配当の格差をつけることができる。

 

北尾は村上に呼びかける。『株主として残るなら、利害の一致する共同体として知恵を出してくださいよ』。SBI新生銀行は25年6月末までに公的資金返済の具体策で政府との合意を目指している。村上という要素が加わった状況下で、政府と村上が納得する策をひねり出すハードルは高まった。

 

◆この新生銀行を子会社化するころ、私はSBIの株式を持っていた。波にもまれるごとく、株価は波打ち、結果、損得なしで終わったなあ。今にしてみれば保有が正解だったがなあ。残念。

 

■■<『広島県立図書館の挑戦』>『広島県立図書館』(広島市中区)は、地下書庫も含め85万冊を所蔵している。これらの蔵書は、広く人々の手に取っていただき、読んでいただくことで価値を生むものだ。

 

当館ではここ数年、来館者数や貸出冊数の減少に悩んできた。さらに新型コロナ禍が追い打ちをかけ、危機感が強まっていた。そこで2023年5月、『シリーズ音楽と図書館』を始めた。県立図書館のことをもっと県民に知ってもらい、より多くの方に来ていただくための、新たな挑戦だ。

 

県内唯一のプロオーケストラ広島交響楽団のメンバーをはじめ、県内外で活躍する演奏家を招く。23年の7月には七夕にちなみ、絵本『ほしにむすばれて』を朗読し、『見上げてこがん夜の星を』のチェロとピアノの演奏を続けた。スペインをテーマにした10月には、ロルカの詩の紹介とギターの即興演奏を組み合わせた。

 

極上の音楽と、司書が厳選した本を融合させる場は、想像を超える不思議な世界観を味合わせてくれる。書架にひっそりたたずんでいた本が、情熱あふれる演奏に揺り動かされ、新たな息吹が吹き込まれるのを感じる。

 

コンサートは今月19日に5回目を迎える。回を重ねるごとに参加者が増え、今年2月の4回目は251人と、当初のほぼ2倍になった。子供から年配の方まで幅広い層に口コミで広がっている。

 

昨今、図書館は『静寂の場』としただけでなく『にぎわいを創出する場』としての価値が求められている。北欧の図書館では50年も前から当たり前となっており、映画上映やカフェ運営、教育相談会など、多彩な企画が展開されている。

 

県立図書館には、専門性の高い図書や郷土資料を収集するとともに、市町立図書館を支援し県内全体の図書館サービスを向上させる使命がある。それを基盤としつつ、今後も新たな挑戦を続けていく。ぜひ一度お越しください。(安倍ほずみ広島計立図書館長筆)

 

◆私は幸運にも、この県立図書館の隣りに住んでいる。毎日図書館を訪れ、全国紙など新聞6紙を拾い読みするのが常だ。そそして、図書館がアピールしている書棚を見て、興味があるものを借りてくる。今借りているのは昨年5月刊行の『ソニーデジカメ戦記』だ。一眼カメラの後発であるソニーがあのニコンを追い抜き、キャノンに肩を並べるまでを、担当責任者であった石塚茂樹元副社長の回想の形でまとめられている。カメラ市場がスマホによって急激に縮小するなかで、プロカメラマンにも受け入れられるカメラを世に送りだした物語は、まさにソニーのトランジスタラジオやウオークマンをも凌ぐ快挙に違いない。そこに、あの盛田さんが『英語でタンカの切れる人材求む』とした黎明期のスピリットが脈々と生きているように感じる。これも県立図書館のお陰である。有難いことではある、な。

 

ただ、小説類は蔵書数を市立図書館に譲っている。よって、私はこの県立図書館と市立図書館を併用して都合よく使わせてもらっているのだ。とてもいい環境にあると、我ながら日々感謝している。

 

ただ、そこまで市民集客を考えるなら、市立図書館と同じように祝日には開館すべきだ。今県立図書館は、県民が使用したい祝日に門戸を閉ざしている。

 

■■<富士山撮影スポットに黒い幕 車、ごみ…観光マナー崩壊に最終手段>富士山を望む山梨県富士河口湖町。町の一角に、外国人観光客が押し寄せている。コンビニエンスストアの上に富士山が乗ったような写真が撮れるスポットとして話題を呼んだことで、カメラを構えた人がずらりと並ぶようになった。無断駐車やごみの放置などのマナー違反が繰り返され、住民は困惑。町は4月末、『最終手段』として、富士山を幕で隠して撮影できないようにする異例の工事を始めた。外国人観光客に人気の富士山を巡るオーバーツーリズム(観光公害)に“幕引き”を図れるか――。

 

4月下旬のよく晴れた午後、富士急行河口湖駅から西に徒歩3分ほどの『井ビシ歯科医院』。前の歩道や医院の敷地で、アジア系とみられる観光客ら約30人がスマートフォンやカメラを構えていた。目当ては片側1車線の町道を挟んだ向かいにある「ローソン河口湖駅前店」と、店の背後にそびえる富士山だ。

 

町などによると2022年秋ごろ、ローソンの上に富士山が乗ったような構図の写真がSNSに投稿され、アジア圏で拡散された。この構図で撮影するには歯科医院側でカメラを構える必要がある。同年末ごろから、歩道に観光客らが集まって写真を撮るようになったという。

 

コンビニとの間の道路を頻繁に横断するので、クラクションが絶えず鳴らされる。医院の軒下まで入り込み、中にはウエディングドレスを着て撮影する男女もいた。医院の駐車場がレンタカーで埋まったり、貸し切りバスを無断駐車されたりする事態も起きた。観光客があふれ、通路を通れなくなった患者から、歯科医院にも苦情が寄せられた。

 

歯科医院の井出公一院長(72)は『世界中から来てもらっているから、いい写真を撮ってほしいけれど……。さすがに腹に据えかねている状況です』と頭を抱える。改修工事中で足場を組んでいるため、観光客が入らないように自費で柵を設置した。医院がある船津地域は、旧河口湖町の中心部。開業75年になるが、これまで観光客とのトラブルはなかったという。

 

◆『共存保てず…「もう仕方がない」』 町は23年4月、英語や韓国語など4カ国語で無断駐車を警告する看板を設置。三角コーンなどを並べて患者の導線を確保した。同6月には警備員1人を配置し、住民の生活と観光との『共存』を保とうとした。

 

しかし、24年に入ってからも、訪れる外国人観光客は増え続けた。コーヒー容器や食べ物の包装紙が放置され、歯科医院では朝夕のごみ拾いが日課になった。『横断者が怖くて車が運転できない』といった町への苦情も週2~3回寄せられるようになり、状況は悪化の一途をたどった。

 

『観光地の自治体として、やりたくはないが、もう仕方がない』。町は4月、歯科医院前の歩道と車道の間に高さ2・5メートル、幅20メートルの黒い幕を張ることを決めた。風を通す遮光ネットで、医院側の歩道から富士山を撮れないように遮る。すでに工事を始め、5月中に設置を終える予定だ。

 

関連するビデオ: 「富士山コンビニ」に目隠し幕設置へ 円安ニッポン、観光客急増に苦慮する自治体も(字幕・7日)

 

町は『地域住民の生活に支障が出ていた。ここ数カ月の外国人観光客の増加で限界を超えてしまった』と説明。黒幕は一時的な措置だという。井出院長も『双方が満足するウィンウィンになるのは難しい』と漏らした。

 

◆『隣の市でも…』 ローソンは5月4日、河口湖駅前店に、安全のため道路横断の禁止を多言語で呼びかける簡易看板を設置。『安全対策について自治体や警察への相談と連携を進めて対策を取ります』とコメントを出した。

 

富士山の撮影スポットを巡っては、隣の富士吉田市も対応に追われている。レトロな雰囲気が残る商店街と富士山を撮影できる『本町2丁目交差点』に外国人観光客らが集まるからだ。やはりSNSがきっかけという。車道にはみ出して撮影するなど交通上の問題が生じ、市は警備員を配置したほか、交差点前に3月、観光案内所を設けた。駐車場や公衆トイレの整備も進め、市内の周遊につなげようとしている。

 

この対応に、専門家の『観光公害』などの著書がある城西国際大の佐滝剛弘教授(観光学)は、SNSでの情報拡散や、アニメの舞台などを巡る『聖地巡礼』で、町中に観光客があふれる現象はどこでも起き得ると指摘。『予兆』をいち早く察知して対応を考えることが、自治体に求められるとみる。

 

佐滝教授は町の対応に理解を示しつつ、『日本を代表する富士山の景色を見ようと海外から訪れた人に対し、黒い幕では、隠そうという意図が強い。町内にある別の観光地の情報を幕に描くような「遊び心」があってもよかったのでは』と語った。

 

◆京都などの観光被害も大きく報道だれている。私が先年京都を訪れた時には、私は自転車を借りて京都市内を走り回った。バス停には本当に、観光客がズラリで、住民は使えない状態となっていたねえ。本当にオーバーツーリズムって、怖い。