今日の画像は、スイスアルプストレッキンのスナップ『ミューレンのロープ駅』、北大路欣也主演の『藤沢周平原作・三屋清左衛門残日録』、徳島県の岩島・大辰巳島の『前人未踏の辺境クライミングルートを登る麻莉亜』。そして、生命力の強い花『白いスミレと紫のスミレ』です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■■『客は頭巾で来るかも知れぬが、そのまま部屋に通してくれ。また、わしの名は出してもよろしいが、先方の名前をたしかめたりしては相ならん。わかったな』

 

三屋清左衛門は、『涌井』のおかみに相庭与七郎を迎える際の段取りをこまかく指示した。おかみはかしこまりましたと言った。

 

おかみは清左衛門にお茶をすすめ、それから火桶の火のぐあいをたしかめてから、ではお客さまがみえられたらご案内しますと言って、もう一度あたまをさげた。その時、清左衛門の眼にそれまで眼に入らなかったものが見えた。おかみの頬にある青黒い痣のようなものである。かなり大きい。

 

『どうしたな、その顔は』

清左衛門が聞くと、おかみは顔をそむけて痣を隠した。そてテレ笑いをうかべた。

『お見ぐるしいものがお目にとまりまして』

『なに、わしに気づかいならいらんぞ。それどれ、こっちをむいて見せぬか』

と清左衛門は言った。

 

『涌井』に飲みに来るようになってからまだ2年ほどしか経っていないはずだが、料理がうまい上におかみのみさはひかえめでしかもこまかく気のつく女なので、清左衛門はすっかりこの店が気にいっていた。

 

こういう店にありがちなおかみが出しゃばるようなことも、自慢の料理を押しつけがましく喰わせることもなく、『涌井』では黙って坐っていればうまい肴でほどよく酔わせて帰すようなところがあった。よけいな気をつかわずに済む。

 

そういうところが気に入って、清左衛門は近頃、五ツ(午後8時)を過ぎた頃に突然に思い立って寝酒を一杯やりに来るほど『涌井』とは顔なじみになっていた。常連のはしくれといったところである。

 

清左衛門にそう言われて、おかみは度胸を決めたらしく、それまで隠していた横顔を清左衛門に見せた。

『見てくださいな。これですからね』

『ほほう』

 

おかみのみさは、膚が白く少し頬骨が出た顔立ちの女である。その目じりから左頬にかけて、痛々しく変色した腫れが見えた。清左衛門は青黒いその腫れをじっと見た。

『ただ、物にぶつけたというのではなさそうだな』

『人に打たれたんですよ』

 

■■<インド新時代Ⅵ『Nクリケット、米国内リーグ誕生』>米国増えるインド系を印象付ける動きは、スポーツ界にも見てとれる。昨年7月、テキサス州でクリケットの国内プロリーグが開催された。マイクロソフトのナデラCEOらインド系の実業家らも投資した。

 

米国ではなじみの薄いクリケットだが、発祥の英国や英連邦諸国で普及している。インドでも、最も人気のあるスポーツだ。国際クリケット評議会が18年ンい発表した調査結果では、競技人口3億人、ファンの数は全世界で10億人。サッカーに次ぐスポーツとも言われる。

 

インド人の男性が息子(17)と一緒に一昨年にイズリンに開店したクリケット用品の店は、300種類のバットを揃える。高いものは1,800ドル(27万円)もするが、顧客は順調に増え、昨年は30万ドルを売り上げた。さらに国際オリンピック委員会IOCは昨年10月、28年開催のロサンゼルス五輪の追加競技として野球などとともに、クリケットを選んだ。

 

米クリケット協会は『米国のクリケット愛好家達に力を与え、我々の道のりにとっても素晴らしい章を刻むことになる』との声明を出した。ニュージャージー州で09年にクリケットのチームを発足させていた男性(38)は、5~23歳の選手達200人を指導する。

 

『インドやパキスタン出身の移住者が増え、その子供達の多くがクリケットをプレーしている。今後5年間で、施設や資金面の環境はより充実していくだろう』。

 

17歳以下の地区代表にも選ばれたドゥルプ・パワール(17)は、米国のプロリーグを経て、両親が生まれ育ったインドのチームに移籍することを目指している。最大の目標は、米代表に選ばれることだという。『ワールドカップや五輪に出るのは、選手にとって一番の夢だから』。(石原孝筆)

 

■■<『SNS投資詐欺が猛威』>国に登録していない業者によるSNSを通じた違法な投資勧誘が横行している。著名人になりすました虚偽広告もみられ、2023年の被害額は277億円に上った。海外を拠点とする業者も少なくなく、警察や金融当局による実態把握は追いついていない。投資先の選択では登録の有無といった業者の情報を確認する自衛策が欠かせない。

 

『なりすまし広告で被害にあわれた方がたくさんいる』。企業家の前沢友作は、実業家の堀江貴文とともに自民党の会合に出席し、虚偽広告の実態を訴えた。投資を巡る広告に自身の画像を無断で使われたとして、迅速な対応を求めた。

 

SNS上では近年、著名人をかたった虚偽広告が目立つ。警察幹部は『動画作成にはAIも悪用されている』とみる。広告をクリックした人に対し投資名目で送金を求めるのが典型的な手法。送金後に連絡が取れなくなり、詐欺だったと発覚する事例が多い。

 

警察庁によると、23年に全国の警察が認知したSNS型投資詐欺の被害は2,271件で、被害総額は277億円だった。金融庁の相談口に寄せられた『詐欺的な勧誘』の情報も急増しており、23年度は8,514件で20年度の4倍になった。

 

金融庁は無登録業者の取引が認められた場合、捜査機関に情報共有した上文書で警告する。証券取引等監視委員会は調査し法令違反の疑いがあれば裁判所に業務停止・停止命令を申し立てる。ただ現状では被害に歯止めがかかっていない。

 

背景には海外を拠点とする業者の増加がある。SNSやマッチングアプリを悪用すれば国境を超え日本国内のユーザーに容易にアクセスできる。

 

警察庁は3月、捜査体制構築と対策強化を全国の警察に指示した。金融庁は投資家への注意喚起を急いでいる。

 

◆まあ、取引は自己責任でとはいうものの、有名人の推奨があればふとクリックしてみたくなるのも人情。SNS事業者は、基本的に社会に害毒を流す投稿については、厳しく規制して、自動的に削除するなど積極的な行動をとるべきだと思うねえ。前澤がネットを相手取って損害賠償訴訟をおこしたのもやむを得ない措置ではあろうなあ。それよっか、甘い話にはワナがあると用心に用心を重ねることが大事だろうねえ。

 

■■<私の愛唱歌『愛の賛歌』> 越路吹雪:歌  岩谷時子:訳詩

                      M.Monnot:作曲

 

あなたの燃える手であたしを抱きしめて  

ただ二人だけで 生きていたいの 

ただ命の限り あたしは愛したい 命の限りに あなたを愛するの  

 

頬と頬よせ燃えるくちづけ交わすよろこび  

あなたと二人で 暮せるものならなんにもいらないなんにもいらない  

 

あなたと二人生きて行くのよ あたしの願いはただそれだけよ

あなたと二人固く抱き合い 燃える指に髪をからませながら

いとしみながらくちづけを交すの

愛こそ燃える火よあたしを 燃やす火心とかす恋よ