今日の画像は、スイスアルプストレッキンのスナップ『ミューレン村のスナップ』、北大路欣也主演の『藤沢周平原作・三屋清左衛門残日録』、奥穂のジャンダルムより厳しく、新潟魚沼の難ルート『麻莉亜の八海山トレッキング』。そして、江田島市の『古鷹山トレッキングⅡ』です。

 

『シルトホルン2,970m』は、映画『女王陛下の007』のロケ地となって一躍有名になった地である。ここまでローブが上がっているのだねえ。スイスってすごい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■■まだ外には日があったが、空気ははやくも冷えかけていた。清左衛門は襟巻に顎をうずめて川岸の道を歩き、町奉行所に行った。町奉行の在宅をたしかめて奥に入ると、ちょうご佐伯熊太が商人風の男を送って、執務の部屋から出て来たところだった。

 

『や、お客だったか』

『いや、今用談が済んだところだ。部屋に入ってくれ』

『今の男、誰かわかったか』

『いや、知らんな』

『泊屋の主人だよ』

と佐伯は言った。清左衛門はおどろいて佐伯の顔を見た。

 

泊屋は湊町魚崎の回漕問屋で、魚崎の町の冨の半分は泊屋がにぎっていると言われる富豪だった。

『あれはめったに外に出ぬ男だからな。今日のように城下に来るのもめずらしいことだ』

佐伯は大声で人を呼んで灯を入れさせると、今日はどこかの帰りかと言った。

 

『いや、そうじゃない。少したずねたいことがあって来たのだ』

『ふーん、わざわざか』

『そうだ。野田平右衛門を知っているな』

『知っておる。野田がどうかした?』

『近年、何か人のうわさになったことはなかったか』

 

佐伯はからからと笑った。

『うわさどころか、無尽の不正で町人たちが野田を訴え、家が潰れるほどの大さわぎがあったではないか。2年ほど前の話だ』

『ははあ』

『その時の訴えはわしが受理した。まさか家を潰すわけにもいかないから、示談にしておさめたがひどいものだった』

 

■■<自然体験ツアー『社員憩う』、長野県小海町>長野県小海町が企業向けに、社員の心身をリフレッシュさせる自然体験ツアーを提供している。豊かな環境や都心からのアクセスの良さ、企業の要望に柔軟に応えるおもてなしぶりが評判となり、福利厚生に力を入れる企業を中心に利用を伸ばす。これまでに延べ1,000人を受け入れ、地域の活性化に一役買っている。

 

『憩うまちこうみ リ・デザインセラピー』と銘打ち、松原湖を中心に広がる自然を生かしたツアーを提供する。専門家による研修を受けた町民が『セラピスト』となり、インストラクターを務める。宿泊所やセラピストの手配は町の地域おこし協力隊員らが担い、企業は人数や日程、ツアー内容の要望などを伝えるだけで済むようにした。

 

研修とは異なり社員のリフレッシュに主眼を置く。ツアーで最初に取り組むことが多いのは、松原湖を一周歩く『セラピーウォーク』。湖や木々に触れたり、木の実を食べてみたり、野鳥の声に耳を澄ませたり、都心円は味わえない自然の中で五感を研ぎ澄ませる。食事は町内の飲食店や宿泊施設の協力を得て、新鮮な地元の食材を使い、栄養バランスも考慮した弁当などを提供してもらう。

 

町が事業を本格的に開始したのは、働き方革命の重要性に対する認識が広まった2019年度。社員が日頃の疲れを癒せるツアーがあれば、利用したいと考える企業が多いとひらめいた。東京から北陸新幹線とJR小海線を使って2時間程度で通える利便性も生かせると判断した。ターゲットも大企業ではなく、福利厚生がやや弱いとみる中小企業を中心にした。

 

事業を通じて町に宿泊した人は5年間で延べ1,000人を超える。小海町役場では、地元の宿泊業者からは『平日の稼働日があがった』と評価する声が届いているという。将来の構想として『法人だけでなく個人にも同様のメニューを提供できるようにしたい』と話している。

 

◆確か、小海線の小海駅はJRの駅では標高が一番高い位置にあると聞いた。中央線の小淵沢から入るが、この小海線には甲斐大泉という駅があり、この駅前に『平山郁夫シルクロード美術館』がある。また、甲斐大泉から小淵沢にかけて武田信玄が作った軍用道路『信玄棒』の蹟がある。一度は訪ねてみたい小海ではある。

 

■■<〈直言〉『米の偽善、中ロを利す(上)』 ギュル前トルコ大統領>パレスチナ自治区ガザでのイスラエルの軍事作戦が長期化している。最南部ラファ侵攻の構えを崩さない同国に、後ろ盾の米国は十分な影響力を行使できず、ガザの死者数は3万人を超えた。出口の見えない対立は世界にどんな影響を及ぼすのか。イスラム教徒が大半の中東の地域大国トルコを率いたアブドラ・ギュル前大統領に聞いた。

 

衝突は半年前の昨年10月7日、イスラム組織ハマスによる奇襲攻撃から始まった。イスラエルでは1千人以上が死亡、同国はハマス壊滅と人質奪還を完遂するとしている。

――民間人の犠牲が増え続けるなか、国際社会の停戦への取り組みは実っていない。情勢をどのようにみているか。

『まず、明確にしたいのが双方の民間人のいかなる犠牲も受け入れることはできないということだ。民間人への攻撃は戦時国際法に反している。ハマスの奇襲攻撃と民間人の殺害や拉致を支持することは不可能だ』

 

『ネタニヤフ首相が率いるイスラエルの対応は完全に不釣り合いで、均衡を欠く。意図的にインフラを破壊し、民間人を殺害している。純粋な軍事対応ではない。戦略的に人口構造の変化を試みている。明白な理由がある。政権の一部に、パレスチナの土地から人々を追い出し、戻れないようにするイデオロギー上、宗教上の欲求がある』

 

『イスラエルは短期間で3万人を超える人々を殺害した。3分の1は子どもたちだが、米国は国連安全保障理事会の停戦決議案に拒否権を行使してきた。イスラエルを支援、支持してきた米国と西側同盟国は偽善的な二重基準を示した』

 

――西側諸国はロシアの侵攻に直面するウクライナを助ける一方で、パレスチナ占領やガザ侵攻を続けるイスラエルを支持している。対応に矛盾があるということか。

『侵攻の容認などパレスチナの領土保全は支持しないのに、どうやって説得力を保ちながらウクライナを守れるというのだろうか。国際法を尊重せずに、信頼を維持し続けられるのか。米欧社会でウクライナ支援疲れが広がり、支援は持続可能ではない。米欧は水面下でウクライナに対ロ交渉に応じるよう強いる可能性がある』

 

『米国の政権や知識人が現実を直視しないことに驚いている。このような偽善によって、彼ら自身だけでなく、民主主義、法の支配、基本的人権の尊重といった価値観も孤立してしまう。中東やアフリカの国々、欧州でさえも多くの運動や集団が、必要とあらば米国よりも中ロにくみするようになるだろう』

 

『米国の選択的な姿勢は多国間主義を傷つけ、グローバルサウスとノースを分断し「力こそ正義」の秩序形成を許している。国際法に反して領土拡大を試みるあしき先例は、中国が台湾の武力統一を決意する際の後押しとなる。米主導の連合が立ちはだかろうにも、世界の支持を得られないのではないか』」

 

――そのような二重基準によって、西側はグローバルサウスやイスラム圏の国々や人々の支持を失っているのではないか。

『ソーシャルメディアなどを通じ、過去の戦争では表に出なかった殺りくや破壊の様子を世界が目撃している。西側諸国は民主主義、基本的人権、法に基づく国際秩序の熱心な擁護者であると主張してきた。ガザに関してはこれらの尊重に失敗している。イスラム諸国は惨事を止められない国々や指導者の能力の欠如に大きく失望している。西側はイスラム諸国やグローバルサウスの支持を失いつつある』

 

『西側諸国の内部でも分断を生じさせている。イスラエルの残忍な行動は不幸なことに、世界中で反ユダヤ主義をあおっている。ガザでの戦争のコストは非常に高く、世界全体がその代償を支払うことになるだろう』

 

◆ナチスの迫害などにより600万人ものユダヤ人が殺戮された闇黒の歴史。世界の心はユダヤへの同情心で覆われていた。『シンドラーンのリスト』という3時間に及ぶ映画があった。ドイツ人実業家がポーランドのユダヤ収容所から、工場労働者として借り受けて命を助けたという博愛物語である。しかし今、イスラエルのやっていることは、昔ユダヤとして虐げられた人々をパレスチナ人に置き換えて、パレスチナ祖先からの土地を奪い、収容所並みの地域にパレスチナ人を押し込んでいる。杉原千畝のリトアニア領事館でのユダヤ人へのビザ発給も世界の同情と関心を呼んだ。しかし今、世界の心はユダヤ人博愛の精神からどんどん離れていっている、のだねえ。中東の紛争は千年の歴史に及ぶだろうなあ。ユダヤの虐待2千年に比べれば、それでも半分か、な。