今日の画像は、スイスアルプストレッキンのスナップ『ラウターブルネンの谷』、北大路欣也主演の『藤沢周平原作・三屋清左衛門残日録』、奥穂のジャンダルムより厳しく、新潟魚沼の難ルート『麻莉亜の八海山トレッキング』。そして冬の花『シクラメン』です。この花を見る度、作詞作曲の小椋佳と、歌手の布施明をしみじみと思い出します。

 






























 

 

 

 

■■嫁の里江が告げる客の名前を聞いて、清左衛門は驚愕した。佐伯が来てから3日後のことである。
『おみよだと?』
『はい、この前お話にうかがいました野塩村のおみよさん』

『それはまずい』
清左衛門は思わず言ったが、これは誤解を生みかねない言い方である。はたして里江は、妙な顔をlして清左衛門をまじまじと見た。

『ふーむ、おみよが何しに来たのだ』
『町に用があったついでに寄ったとおっしゃって、秋茄子と取り立ての青菜をおみやげに・・・。いつかのお礼のつもりうではありませんか』
『秋茄子か、うまかろうな』

『お茶でもさし上げようかと思いますけど・・・』
『よし、ここへ通してくれ、おみよには話もある』
と言ったが、これも誤解されかねない言葉である。
里江は狐のように横眼で清左衛門を見ながら出て行った。

――もう会わぬつもりだったが・・・。
むこうから来たものは仕方あるまい、と清左衛門は思った。そして佐伯に聞いた話をたしかめるなら、今が最後の機会だと感じていた。あの生意気な黒田の鼻を明かしてやりたい気持ちもある。

なに、たしかめた後はおみよにむかって、一切口外するな、口外すると命にかかわるぞと警告してやれば、あれは賢い女子だ、ここで話したことを人に洩らすようなことはすまい、と思っているうちに、里江に案内されたおみよが部屋に来た。

おみよは家の中に招きいれられるとは思わなかったらしく、恐縮し切った顔で部屋の入口近いところに坐った。坐っても、大柄な身体をちぢめたままである。


■■<オルビスの改革③『ブランド本来の力で勝負』>安い通販のイメージが強かった化粧品会社『オルビス』は2018年から、再生に向けて改革を進めた。基礎化粧品を中心にブランド強化を進めるのと同時に、組織改革も進めた。

年功序列をやめ、若手の管理登用を積極化した。働きぶりを適正に評価することで、39歳以下の管理職の割合は、23年までの6年で1.5倍の45%に増えた。

染みついた『前例踏襲』のマインドから抜け出そうと、職場の細かな慣習も変えた。他部署に連絡する際に必須だった上司の許可は不要に。メールの冒頭の『お疲れ様です』の文言も『社員同士では必要ない』とした。スーツから『自由な服装』にした。

一方、収益構造の改革はなかなか成果が出ない。改革に着手した18年以降も、売上高と営業利益の減少は止まらなかった。16年に100億円を超えていた営業利益は、22年に48億円まで落ち込んだ。

依存してきた値引きやポイント販売などの安売りキャンペーンをほとんどやめたことで、『安いから』という理由で買っていた客が離れたことが大きかった。オルビスは、ブランド本来の力で勝負し、筋肉質な収益構造に改革するための『必要な痛み』と説明する。



好転の兆しも見える。スキンケア商品の売れ筋の価格帯は、1千円台から3千円台に。昨夏に刷新したエイジングケアの新商品が好調で、23年1~9月の決算では売上高、営業利益ともに前年を超えた。


■■<激務の一兵卒が大ヒット『75年の「シクラメンのかほり」』>私は合併直後の第一勧業銀行兜町支店で証券会社を担当した後、新規に出店した赤坂支店に配属された。開店後、私は一営業員一兵隊として、全地区の横文字会社とカタカナ文字会社の新規取引開拓の仕事をあてがわれた。20代後半で、最も血気盛んな頃だったのかも知れない。いつの間にか私が開拓した会社への総与信額が、営業担当者の中で最大となっていた。

私は毎年50曲ほどの歌創りをしてきたが、妙なことにこの最も忙しく働いた赤坂時代は年間100曲近い作品を描いている。その中に『シクラメンのかほり』があった。

赤坂支店の開店から2年して私に辞令が下った。トレーニーとして海外に渡り、インベストメントバンク・投資銀行の研究をしてこいとの指令である。まだ、日本では知られていない名称である。

『シクラメンのかほり』を渡辺プロダクションに渡して間もなく、私は当時米国最大の証券会社だったメリルリンチに向かった。NYで3カ月ほど下宿住まいをした後、ニュージャージーに一軒家を借り、家族も呼び寄せ、典型的な米国中流家庭の郊外生活を楽しんだ。夏にはレコーディングスタッフも来てLP1枚分のレコーディングも敢行した。

この頃、日本では『シクラメンのかほり』を布施明さんが歌って大ヒットしているというニュースが飛び込んできた。トレーニーの後半はパリに渡り、ヨーロッパにおける直接金融の勉強をした。



さて帰国となった時、東京から『予定通りには帰ってくるな』と連絡が入った。マスコミが空港で待ち構えていて、いらぬ騒ぎになるからとのことだった。私はコペンハーゲンで1週間ぶらぶら遊んだ後、人知れず日本に帰ることにした。

その1975年の年の瀬、『シクラメンのかほり』が日本レコード大賞を受賞しそうだから当日は会場にいてほしいと要請があった。私はその種の派手派手しい式に出るのは本意でなかたのでお断りした。すると、せめて電話で受賞の喜びを語ってくれという。結局、私はその話からも逃げて、発表当夜は銀行の上司達と東京駅八重洲のマージャン荘に潜んでいた。(小椋佳筆)

◆当時同じく流行っていた歌に廃頽的な歌、沢田研二の『時の過ぎゆくままに』や、太田裕美の『木綿のハンカチーフが流れていましたねえ。





■■<ネット悪用詐欺『昨年倍増、772億円』>インターネットを悪用した詐欺被害が2023年に772億円に上り、前年から倍増した。電子取引ECなどの普及などが背景にあるとみられ、さらに拡大する恐れがある。

警察庁の露木長官は『SNSを使った非対面型の投資詐欺や国際ロマンス詐欺といった手口による被害が大きく増加している。極めた憂慮すべき状況だ』と危機感を示す。

拡大の要因といて、新型コロナ禍でオンライン上での交流や取引が広がった点が挙げられる。国内のSNSの利用者は22年に1億人を超えた。消費者向けEC市場規模は22年に22兆7千億円となり、21年から1割増。いずれもさらに広がるとみられる。

 



京都大学の星教授は『コロナ禍を経てネット通販やオンライン決済が拡大し、サービスも多様化した。利用者の裾野が広がり、詐欺に悪用する手口が拡大している可能性がある』と指摘する。

ネットを悪用する詐欺は海外でも猛威を振っている。米国では『コールセンター詐欺』とよばれる犯罪被害が22年に1億円4,700万ドル(1,550億円)に上った。企業の技術サポートや政府関係者を装い、メールといった手段で接触し、ネット送金などで金銭をだまし取る。

オーストラリアではオンライン経由の勧誘が多い投資詐欺が横行しており、22年に15億豪ドル(1,450億円)の被害が出た。有名人がもうけているといった偽広告やニュース記事を通じ投資話に勧誘される事例が確認さえている。

こうした詐欺はターゲットがいる国に犯罪拠点を置く必要がない。米国のコールセンター詐欺ではインド拠点のグループが摘発された例がある。

犯罪組織を摘発するためには国際連携の強化が急務だ。23年12月に水戸市で開催されたG7の内務・安全担当相会合ではオンライン型を含め国境をまたぐ組織的詐欺が初めて議題に上り、各国が危機感を共有し共同文書をまとめた。

具体的には通信アプリといった犯行ツールの遮断を通じた抑止、詐欺グループの追跡や摘発、啓発活動の推進などで各国間の連携を強化する方針を掲げている。

◆先日、わたしもあわやネット詐欺に遭いかねた。三井住友カードからのメールで『不審なカード使用が合った』とあり、詳しくは対応ページにジャンプさせるというものだ。ジャンプすると、三井住友銀行のHPが出て来て、その中にカードの入り口があった。口座IDとパスワードを入れ、HP内に入ったが、なんら不審行為のアラームはなかった。後で、HPからカード情報に入る時に口座番号とパスワードを入力した。その入力作業を外部からウオッチされていたら、カードでキャッシングをやられる可能性がある、と気付き、早々にカード会社に連絡を取り、機能停止と、被害にあっていなことを確認して胸をなでおろした。

キャッシングの枠は30万円に抑えているので、被害を被っても30万円で済むが、物品を購入されていれば、100万円近くの被害になる。恐ろしや、恐ろしや、であるなあ。が、カードを解約しようとネットで操作したがやたら難しい。SNSに送られたパスワードが確認できないのだ。スマホ操作幼稚園の私にしては、スマホアプリから物事をやり遂げるには非常に敷居が高い。やはりキーボードを前にしたPC操作が楽だね。

そしたら、何と翌日今度はマスターカードを装った偽メールが届いた。どうやらこの悪者は、どこからか大量にメールアドレスリストを手に入れて、無差別に発信して、針にかかった獲物をむさぼるというスタイルだねえ。理由は、私がマスターカードを持っていないのに、こんなメールが入るのは無差別に発信していると思えるからである。