今日の画像は、スイスアルプストレッキンのスナップ『ラウターブルネンの谷』、北大路欣也主演の『藤沢周平原作・三屋清左衛門残日録』、奥穂のジャンダルムより厳しく、難しい北穂高の『迫力抜群のゴジラの背を進む麻莉亜』。そして、サンフレ-浦和『CKの連写画像』です。選手が雪崩打つ感じが面白いです。

 



































■■釣りに出る清左衛門を見送った嫁の里江が、『たくさん釣っておいでなさいませ。夜食のあてにしておりますよ』と言ったが、それは景気づけの諧謔だと清左衛門にはわかっていた。

ものものしい支度のわりには今ひとつ成績のふるわない舅を激励したのである。今日の収穫を見ればおどろくことは請け合いだとしても、嫁は本気で、手をあげて清左衛門が釣って帰る魚を待っているわけではない。そしてそんなにいそがなくても、里江が夜食の指図にかかるまでには家にもどれるhずだた。

――それにしても・・・。
清左衛門は微笑した。日頃生まじめな嫁があんなおどけ口をするのは、それだけ三屋の家にも人にも馴れて来たということである。めでたいことだと思った。

清左衛門の年齢になると、そういうささいなことにも、ふと幸福感をくすぐられることがあった。珍重すべきことのように思われて来る。

野塩村に近づくと、鬱蒼と続く森のような木立、その下に3軒、あるいは5軒とかたまって点在する農家のたたずまいが見えて来た。森も家も、背中に日射しを背負っているために暗く見え、村はずれの橋、その下を泡立ち流れる川、周辺の田圃などは真向から射しかける日に光りかがやいている。風景をわける極端なほどのその光の濃淡にも、季節が移りかわる気配が現れていた。

このあたりまで来ると、小樽川には上流になかった砂洲が出来ている。水は川の中で蛇行し、砂洲の縁に露出している小石を洗ってはげしい水音を立てていた。

清左衛門の眼には、波にくだける日の光が映っている。波は日の光をこまかくくだき、交錯する光と影を乗せて動いていた。くだける光は眼の中まで入りこんで来て、まぶしかった。そしてまぶしさに堪えかねて眼を上げた時、橋の上にいる黒い人影を見たようである。

というのも、次の瞬間には清左衛門の眼はもう一度川にもどって、そこに立ちすくんで助を求めている女と子供を見つけたからである。急流の中に立ちすくんでいるのは、親子のように見えた。清左衛門は足の疲れも忘れて走った。


■■<亜豪で稼ぐ日本人② 『タイで働き、高級コンドミニアムに住む』>まるでホテルのような立派なロビー、設備の整ったジム、超高層ビル群を望む屋上プール――。

2023年10月にタイに渡り、物流大手、近鉄エクスプレスの現地法人で働く延川真穂が暮らすのは、首都バンコクの中心部から地下鉄で15分ほどの駅の真上に立つ44階建てのコンドミニアムだ。その40階に延川の部屋はある。

それでも家賃はたった月1万6,000バーツ(6万7,000円)。豪華で快適な住まいもそうだが、地下鉄の清潔さや遅延の少なさにも驚いている。『始めてのタイ。不便を覚悟していましたが、バンコクは想像以上に都会。よほどこちらのほうが暮らしやすいですね』

銀行マンだった父親の海外駐在に同行して多感な10代の大半を香港と中国・大連で過ごした延川。得意の英語と中国語を生かして海外に出たいという希望は強かったが、関西学院大学での学生生活の大半は新型コロナ禍に重なってしまった。

台湾の大学への交換留学は中断され、関学大の講義もオンラインに。家賃がもったいないので、1人暮らしをやめて名古屋市の実家に戻った。就活もオンラインが中心でどこか不完全燃焼のままに終了。22年4月に新卒で入社した中堅寝具メーカーは『グローバル人材が欲しい』という触れ込みだったが、実際には英文メールのやり取りくらいしか語学を生かせる場面はなかった。

モヤモヤする日々を送る中、大手転職サイトで見つけたタイでの現地採用の求人。『これも何かの縁だ』と飛びついた。

父親からは現地採用で働くことについて待遇面などから心配されたそうだが、延川さんの月給は6万5,000バーツ(27万円)と『日本で働いていた時と変わらない』。年明けに訪ねてきた母は、その暮らしぶりに安心を通り越して、驚きのため息を漏らしていた。

『日本の年金制度に頼れないので自分で備えなければならないですが、こんな部屋に住んでも、それでも余るからちゃんと貯金ができる。日本にいた時には何でこんなに手元に残らないんだろうと毎月頭を悩ませていたのに』。

職場には圧倒的にタイ人が多く、英語を使って日々働くことに充実感を覆覚えている延川。『物流業は世界各地に拠点がある。専門知識を身に付けて、タイ以外の国でも働いてみたい』と意気込む。



◆日系企業に現地採用される日本人というと、かつては国際結婚などでもともと現地に住む人が定番。日本から来る社長を頂点とする現地法人ヒエラルキーの下層に置かれ、その悲哀や苦しい生活などがショッキングに伝えられることもあった。しかしコロナ禍を経て、そうした状況は急速に変わっている。

コロナ禍でリモートワークが定着したことを受け、コストのかかる駐在員を減らして、現地採用の日本人やローカル人材に置き換えようという大きな流れがある。駐在員1人を送り出すには、赴任手当、住居費、帰国費、帯同家族に関係する費用など多大なコストがかかる。その額は少なくとも1人当たり2,000万円、大手なら3,000万~5,000万円にもなるとされる。

駐在員を減らすことで浮くコストは大きく、駐在員の抜けた穴を埋める優秀な現地採用スタッフを十分な処遇で迎えられる。現地採用の日本人とローカル人材登用に舵を切る『ローカル化』という言葉は22年に在タイ日系企業の間で流行語となった。

◆海外で採用される現地社員は、まさに給料の二重価格で現地採用者は虐げられているのがイメージだ。今やビジネスも拡大し、効果対費用が厳しく問われる時代。世の中まさに大変わりだなあ。


■■<中国 新興EVメーカーの工場が突然生産停止か 賃金未払いも発覚>中国・上海にある新興の電気自動車メーカーの工場が突然、生産を停止した。従業員への賃金未払いも発覚している。

中国メディアは上海に本社を置くEV=電気自動車のメーカー『華人運通』の工場が生産を停止したと報じた。また、中国全土の販売店も相次いで営業を停止している。



華人運通は高級EV車ブランド『高合(Hi-Phi)』を立ち上げ、2020年ごろから1000万円以上する高級EV車を販売していた。去年にはサウジアラビア政府の投資部門から多額の投資を受け、ヨーロッパへの進出も発表するなど中国でも注目される新興EVメーカーの一つだった。

一方、中国のSNSでは1月に上海の本社の前で賃金の未払いを訴える従業員たちの写真が投稿されるなど、経営を不安視する声も上がっていた。



◆ついに中国のタケノコEVの淘汰が始まったねえ。中国の景気動向からみると、この傾向は当分続くだろうねえ。まあ、新興産業にはつきものだから仕方ないね。


■■<企業の不祥事と倫理 『腐ったリンゴが起こす犯罪』企業犯罪や不祥事はどうして起こるのだろうか。企業犯罪研究の歴史に沿って見ていく。

企業犯罪研究は米国を中心に、その実態や発生原因についての研究が進んだ。始まりは1930年代に米国の犯罪社会学者『エドウィン・サザーランド』が『ホワイトカラーの犯罪』の概念を提唱した時からだ。



サザーランドは、人が犯罪や逸脱行動を行うのは、人が犯罪的な環境に日々接し、それを学習するからだとう『分化的接触理論』をホワイトカラー犯罪にも適用した。従業員があしき企業体質のようなものを学んでいくうちに、企業犯罪に手を染めるようになると考えたのだ。

組織の腐敗に関しては、『一つの腐ったリンゴが樽全体をダメにする』と言られることがある。これに関してサザーランドは、『腐った樽』という企業環境側に着目して、ホワイトカラー犯罪を説明したことになる。しかし、犯罪の原因を考えるうえでは、なぜあしき企業体質が形成されるのかの説明が必要だ。サザーランドの研究はそれには十分答えていない。

そこで『樽』ではなく『腐ったリンゴ』に着目した研究が登場する。行為者の意思決定に注目し、犯罪の原因を理論化した米国の犯罪学者、『ドナルド・クレッシー』の『不正のトライアングル』だ。



クレッシーは、横領罪で有罪となった人達を調査した。その結果、不正には分化的接触理論のような他人からの学習は必ずしも必要ではなく、①強いプレッシャーやミスの隠蔽といった不正への『動機の存在』、②内部監査が機能していないなどの『機会の認識』、③同じことをしている人がいるといった『正当化』――3要素が必要だと論じた。現在はこの3要素に、不正を行える地位にるなど『実行可能性』を加えた『不正のダイヤモンド理論』もある。

クレッシーの理論は企業不祥事でも、個人的な犯罪要素が強い横領や監査などの分野では妥当性が高いといわれているが、企業犯罪一般への適用可能性はあまり高くないとされる。(白石賢筆)



◆『腐った樽』に『腐ったリンゴ』か。ビッグモーターはどう解明されるのだろうかねえ。ちょっと難しい理論だねえ。流石、東京都立大学の教授筆のことだけはあるなあ。