今日の画像は、スイスアルプストレッキンのスナップ『インターラーケンへの車窓から』、北大路欣也主演の『藤沢周平原作・三屋清左衛門残日録』、奥穂のジャンダルムより厳しく、難しい北穂高の『迫力抜群のゴジラの背を進む麻莉亜』、箱根駅伝で大会新記録となる10時間41分25秒で『2年ぶり7度目の総合優勝を飾った青山学院大』。そして、ひさしぶりの広島市の南端『江波の景色――丸文』です江波は、江戸時代『江波島』とよばれ、仁保の『仁保島』を並んで、三角州広島の沖にあり、漁業や回線業で賑わった地域と聞いています。近年は、江波山に広島測候所が建てられ気象の観測に資していましたが、今は廃館となり、資料館となっています。
広島県広島市中区江波東にある通称『丸文』は、正確には『丸子山 不動院』です。広島新四国八十八ヶ所霊場の第七十六番霊場で御本尊・不動明王の真言宗のお寺。本川沿いの小さな山と言うか丘と言うかの斜面全体にありました。路面電車・江波駅から徒歩10分位です。道路から、山の上に向かう急な階段が見えます。そんなに長くは無いですが、結構、登るのはきついです。
■■『おのれが信じるところに殉じたわけだろう。以って瞑すべきだと、わしなら思うところだな』
『しかし肝心の家内とはうまくいかなかったのだ。犬猿の仲だったよ。死なれた時は正直のところほっとしたほどだ』
奥之助はそこで低い笑い声を立てた。
『わかっておるとも。それを今言ったところでどうにもならぬ』
『・・・・』
『ただ、解せぬ思いがするわけだ。270石と25石、10分が1だ』
奥之助は蛇のように底光りする眼で、清左衛門を見た。
『人の世はおもしろい。30年たってみれば10分が1だ。ハ、ハ。いや、馳走になった』
ゆらりと頭を下げると、奥之助は唐突に立ち上がった。むろん、清左衛門はひきとめなかった。
奥之助を送り出して離れにもどると、清左衛門は縁側の障子をあけた。中に籠っている酒の香を散らすというよりも、金井奥之助が残して行った不快な後味を払いたいといた気分が強かった。
外の空気は思ったよりもあたたかかった。塀の上から斜めにさしこむ日射しが、庭の石を赤く染めている。時刻は七ツ(午後4時)を過ぎて、日は間もなく足早に暮れるはずだった。
部屋に入って来て酒のあとを片づけていた里江が、おとうさまと言った。
『金井さまのことですが・・・』
振りむいた清左衛門を、里江は手を膝においた姿勢で仰ぎながら言った。
『このところ、よくおみえになりますね』
『すまんな』
清左衛門は畳にもどって坐った。
『そなたらに厄介をかける』
『いえ、それはいっこうにかまいませぬ。酒代と申しても、あの方はさほどにお飲みいになりませんから、気になさることはありません。ただ・・・』
『ん?』
■■<『「死は自然のことに」 俳優・佐野史郎②』>12月23日から『新宿K’s cinema』を皮切りに全国で上映された『火だるま槐多よ』にも出演した。22歳で他界した天才画家であり詩人の村山槐多の作品『尿する裸僧』に魅せられ、取りつかれた若い男女が主人公。佐野は主人公の男性の秘密を握る廃車工場の男を演じている。出演場面は少ないが、物語の筋を運ぶ重要な役柄だ。
女性ともみ合うシーンもあるが体力的に問題なかった。『以前と比べれば体力や免疫力免疫力は落ちていると思いますが、仕事には差し支えはありません』と語る。
ストーリーの鍵とも言えるのが死者の顔をかたちどった『デスマスク』。大病を乗り越えたことで心境に変化はあたのだろうか。『考え方が変わったことはありません。自分が何が好きで、どうしたいのかと考えていたことが確信に変わったということはあります』と答え、こう続けた。
『デスマスクが登場するなど死を題材にしている作品だからといって腰が引けることはありません。なぜなら死は身近にありますし、私も1回リアルなものとして感じていますから。死と向き合うのはもちろん怖いのですが、自然のことでもある。覚悟という立派なものではありませんが、自然のこととして受け止めているのでしょうね』。
『火だるま槐多よ』では、佐野は作業着姿で登場する。作品では衣装合わせが要だ。『演じる人物が何を着ているのか、どんなたたずまいでいるのか。それを手がかりにして役柄の人生の背景を探っていきます。衣装合わせで演技の半分以上が決まるといっても過言ではないかも知れません』。若松幸二監督には『佐野ちゃんが好きなのを着て』と任されていたが、それで役柄を理解しているかどうかが分かるのだろう。
存在感を発揮している。1975年に劇団シェイクスピア・シアターの旗揚げに参加。80年に唐十郎が率いる劇団『状況劇場』に入団。退団後に『夢みるように眠りたい』で映画主演デビューを果たした。連続ドラマ『ずっとあなたが好きだった』で怪演したマザコンの『冬彦さん』は今も多くの人の記憶に残る。
監督デビューは『カラオケ』。自作の長編小説『ふたりだけの秘密』が原案で、久しぶりに再会したクラスメートの心の触れ合いや友情を描いた。
多彩な人である。19年には絵本も発表した。『まどが かたかた なっている』と始まる怪談絵本で、タイトルは『まどのそと』。窓の外には誰かいるのだろうか? 『まま』『ばば』『いもうと』は文で登場するが、ハダタカヒトさんの絵とも相まって、怖さがじんわりと伝わってくる。
新曲と絵本が同じタイトルになったのは『それほど大事な題材なのでしょう』と振り返る。『映画や歌、絵本などは、作り手の思い通りに受け止められるとは限りません。それに「自分はこういう思いを込めて、こう描きました」というものに限ってそうじゃないものが映し出されてしまう気がします』。演技や創作に対する持論だ。窓の外。佐野は何を見ているのだろう。
■■<『小選挙区比例並立は「失敗」』、河野洋平口述記録>衆議院は12月27日、『河野洋平元議長』から聞き取ったオーラルヒストリー(口述記録)っを公開した。河野元議長は『小選挙区比例代表並立制』の導入について『私はやはり失敗だったと思っている』と明言した。当時野党の自民党総裁として政治改革に携わった。
正副議長の経験から歴史的出来事の証言を記録する事業で2019年10月から22年6月まで31回聞き取った。公表は河野元議長は初で、次回は横路孝弘元議長を予定する。
当時はリクルート事件など『政治とカネ』の問題が相次ぎ、政治改革が与野党の最大の課題だった。1994年に細川護熙政権が政治改革関連法を成立させた。河野元議長は『本心は小選挙区制ではなく定員3人の100選挙区がいいと言っていた』『細川首相も小選挙区制がいいとは思っていなかった』と明かした。最終的に細川首相らとの会談で小選挙区比例代代表制で合意した。
『比例代表制は小選挙区で落選した人を救うような機能を果たし、少数意見をくみ上げることにはほとんどなっていない』と課題を挙げた。『生煮えというか本当に完全に議論しきった結論ではなかった』と悔やんだ。
当時の中選挙区制では同じ党の候補が争い有権者へのサービス合戦となるため、選挙にカネがかかるとされた。河野元議長は『本当に小選挙区はカネがかからないのかと言われても、評論家や学者はそう言うが根拠がなくて分からなかった』と回顧した。
2大政党制では両党の主張が近くなれば『国民は全然違っている船には乗り換えられない』と言及した。『小選挙区制は確かに決まる政治ではあるが、多様性が求められている時代に1つしか主張がないというのでいいのか』と論じた。
宮沢喜一内閣の官房長官としても政治改革に携わった。『宮沢さんの本心は腐敗防止法だった』と言及した。その後、政治改革の議論が『腐敗防止法ではなくて選挙制度にどこかで変わってしまった』と総括した。
◆『小選挙区』の導入により、政党に給付金が支給されるようになって、選挙は税金の支援のもとに行われている。なのに、自民党はまるで『商店経営』のごとく、パーティーを開き、金を集め、さらには裏金化してカネをばらまく選挙を踏襲した。この責任は一体、誰がとるんだえ、麻生太郎君よ!
■■<海底資源 『大陸棚に照準』 レアメタルなど調査>政府は海底資源を優先調査できる大陸棚の再拡大を目指す。2024年春に小笠原諸島・父島の東側にある海域の海底を加えるのに続き、南硫黄島の南の海域などに関しても関係国と調整すr。地下資源の開発といった経済安全保障の観点から進める。
岸田首相は12月22日、父島東側の小笠原海台を大陸棚に加えると発表した。24年春に関連する法令を改正する。半導体や蓄電池の原料となるレアメタルなどの資源開発の可能性がある。
松村海洋政策相は26日の記者会見で、小笠原海台の鉱物資源調査を進める方針を示した。その上で南硫黄島海域など新たな大陸棚延長に関して『調査や調査の結果に基づいた色々な調整が必要だ』と説明した。
国連法上の大陸棚は沿岸国に海洋資源開発などの優先的な管轄権がある。EEZと重なる200カイリ(370km)までの区域の海底のほか、一定のルール下でその外に『延長大陸棚』を設定出来る。
日本政府は14年に四国海盆、沖大東海嶺南方の2海域に関して延長大陸棚と位置付けた。これに続きこのほど小笠原海台も水域を接する米国との調整がついた。
海底資源の開発を優先出来る海域が広がる意義は大きい。日本はレアメタルを海外からの輸入に頼っている。自国の大陸棚で確保できるなら経済安保の面で利益がある。
例えば小笠原海台海域はコバルトやニッケルを含むコバルトリッチクラストが積み重なっているとされる。コバルトはEVのバッテリーに用いる。
コバルトは世界生産量の7割をコンゴが占める。同国は政情不安を抱えており、中国が影響力を強めて権益確保に動いている。
◆22世紀は、日本の海底資源が花開く時代になるだろうねえ。子々孫々、日本が栄えることはとてもいいことだ。
■■<羽田管制官『JAL機に着陸許可』…『滑走路手前まで』と指示された海保機、着陸機見ていなかったか>
東京・羽田空港の滑走路上で2日、日本航空機と海上保安庁の航空機が衝突した死傷事故で、日航機が空港管制官から許可を受けて滑走路に着陸していたことが国土交通省関係者への取材でわかった。海保機には滑走路手前の誘導路まで走行するよう指示が出されていたといい、国交省などは海保機が滑走路に進入した詳しい経緯を確認している。
国の運輸安全委員会の航空事故調査官6人は3日朝から現場のC滑走路に入るなどして、事故原因の本格的な調査を始めた。一方、警視庁は3日午前、業務上過失致死傷容疑で東京空港署に特別捜査本部を設置し、滑走路の現場検証を始めた。
関係者によると、事故の直前、C滑走路の担当管制官から日航機に対し、滑走路南側からの着陸許可が出ていた。一方、海保機は地上誘導を担う管制官から、C滑走路手前の誘導路に行くよう指示を受けていた。
海保機はその後、誘導路からC滑走路に進入し、着陸してきた日航機と衝突した。海保機の機長は『滑走路上で機体が爆発した』と基地に連絡しており、事故発生まで日航機を視認していなかった可能性が高いという。国交省や海保は、海保機がC滑走路に進入した詳しい経緯を調べる。
事故は2日午後5時47分頃に発生。新千歳発羽田行き日本航空516便(エアバA350型機、乗客乗員379人)と、海保羽田航空基地所属『MA722』(ボンバルディアDHC8型機、乗員6人)が衝突し、いずれも炎上、大破した。海保機は男性機長(39)を除く5人が死亡。日航機は約1,000メートル先で停止した後、全員脱出したが、17人がのどにやけどなどを負った。
日航は3日未明、『管制からの着陸許可を認識し、復唱した後、進入・着陸操作を実施した』とするパイロットへの聞き取り結果を発表した。
◆国土交通省が3日午後公開した管制塔と日航機、海保機、空港を発着する別の航空機との交信記録の日本語訳は以下の通り(実際の交信は英語)。
17:43:02
JAL516(衝突した日航機):
東京タワー、JAL516 スポット18番です。
東京タワー(管制塔):JAL516、東京タワー こんばんは。滑走路34Rに進入を継続してください。風320度7ノット。出発機があります。
17:43:12
JAL516(衝突した日航機):JAL516 滑走路34Rに進入を継続します。
17:43:26
DAL276(出発機2番目):東京タワー、DAL276 誘導路上Cにいます。停止位置に向かっています。
東京タワー(管制塔):DAL276、東京タワー こんばんは。滑走路停止位置C1へ走行してください。
DAL276(出発機2番目):
滑走路停止位置 C1 DAL276。
17:44:56
東京タワー(管制塔):JAL516 滑走路 34R 着陸支障なし。風310度8ノット。
17:45:01
JAL516(衝突した日航機):滑走路 34R 着陸支障なし JAL516。
17:45:11
JA722A(衝突した海保機):タワー、JA722A C誘導路上です。
東京タワー(管制塔):JA722A、東京タワー、こんばんは。1番目。C5上の滑走路停止位置まで地上走行してください。
17:45:19
JA722A(衝突した海保機):滑走路停止位置 C5に向かいます。1番目。ありがとう。
17:45:40
JAL179(出発機3番目):
東京タワー、JAL179 滑走路停止位置 C1へ走行しています。
東京タワー(管制塔):
JAL179、東京タワー 3番目。滑走路停止位置 C1へ走行してください。
JAL179(出発機3番目):滑走路停止位置 C1 へ走行、離陸準備完了。
17:45:56
JAL166(到着機2番目):東京タワー、JAL166 スポット21番です。
東京タワー(管制塔):JAL166、東京タワー こんばんは。2番目、滑走路 34R進入を継続してください。風320度8ノット。出発機あり。160ノットに減速してください。
17:46:06
JAL166(到着機2番目):減速160ノット、滑走路34R 進入を継続。こんばんは。
17:47:23
東京タワー(管制塔):JAL166、最低進入速度に減速してください。
JAL166(到着機2番目):JAL166。
17:47:27
(3秒無言)
◆どうやら、海保は劣勢に見えるねえ。しっかし、そうだとすると、とんでもない『人災』ではあるなあ。正月での移動客こそいい面の皮ではあるなあ。