今日の画像は、スイスアルプストレッキンのスナップ『インターラーケンへの車窓から』、北大路欣也主演の『藤沢周平原作・三屋清左衛門残日録』、奥穂のジャンダルムより厳しく、難しい北穂高の『迫力抜群のゴジラの背を進む麻莉亜』、『ドジャーズ入団記者開園の大谷翔平』。そして、秋の花『穏やかなるキク』です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■■『それで』

清左衛門が浅井を見ると、浅井は軽く頭をさげるようにしてから言った。

『疑いは一応晴れました。恩こそあれ、殿あるいは殿のご一族とのかかわり合いで、安富どのが殿を怨むような事実は過去に何ひとつないことが確かめられました』

『それに、源太夫がわめいたのは女子の名前だったという者がおる』

と佐伯が補足した。

 

『女子?どこの女子かな?』

『さて、それがわからんのだて』

と佐伯が言うと、後を浅井がひきとった。

 

『お奉行が言われる通り、安富どのが口にした名前は女子であったこと、また安富の家の者に事情をただしたところ、源太夫どのはここ1、2年ほどの間、気鬱の病にかかっていたと疑われるようなことがたびたびあったことが判明し、そのことは勤め先である御使番のほうでも確かめられましたので、われわれはさきの疑いを解き、調べを停止しました』

 

『つまりだ、死んだ源太夫を狂者に仕立てた格好で、家の方は首尾よく首がつながったわけだが、実を言えば事件はまだ解決をみたわけではない。不明のところが残っておる』

『源太夫がわめいた女子のことか』

『さよう。浅井たちの調べによると、どうも安富の家の者は、源太夫が申した女子の名前に心当たりがある様子だったそうだ。しかし口をとざして言わなかったと、そうだな?』

 

『さようです』

と浅井が言った。清左衛門が、思いついたことを言った。

『城に働く女子の名前ではないのか』

『それは調べました。そういう名前の女子はおりませんでした』

『今はおらんでも、昔城勤めをしていた女子ということもある』

『そこも調べましたが、安富どのの言った名前の女子は昔も今も、城勤めのなかにはおらんのです』

 

■■<異常なる大川原化工機起訴取り消し③ 『警部補「捏造」証言舞台裏』>『まあ事件は捏造ですね』。社長らが違法に逮捕、起訴されたとして化学機械製造会社『大川原化工機』(横浜市)が起こした国家賠償訴訟の証人尋問で2023年6月、警視庁の現職警察官が異例の捜査批判を展開した。規律を重んじる警察組織で起きた『反乱』。真相を探ろうと記者が事件関係者を訪ね歩き、たどり着いたのが起訴取り消しの祭に作成された警察の内部文書だった。

 

◆『起訴取り消し 内部文書』 『立件しなければいけないような客観的な事実はなかった』『立件方向になったのは捜査員の個人的な欲だと思う』。東京地裁で開かれた国家賠償訴訟の証人尋問では、捜査批判が次々と飛び出した。証言したのは警視庁の警部補2人。いずれも同社への捜査に直接携わる立場にあった。

 

事件では、大川原化工機の大川原社長(74)ら3人が噴霧乾燥器を中国に不正輸出しいたとして20年3月に外為法違反容疑で警視庁公安部に逮捕された。しかし、東京地検は初公判4日前に起訴取り消しを公表。同社側は、国と東京都に5億円超の賠償を求める訴訟を起こした。

 

仮に警部補2人の証言の信用性が認められれば都側には痛手となるが、2人の上司に当たる警部や同僚は証人尋問で『捜査は適正』と正反対の認識を示した。都側は、警部補2人の証言は『憶測』だとし、警部らの証言こそ信用性があると反論している。

 

捜査の現場でや一体何が起きているのか。毎日新聞は、警視庁と警察庁、東京地検、輸出規制の所管官庁の経済産業省の関係者に取材を重ねた。

 

◆この事件は、公安が手柄を立てたいばかりに、違法で無実な罪をでっちあげ、さらに保釈の要請にたいして、証拠隠滅の恐れがあるとして、認めなかった。たしか、そのせいで病気になっていた被告の1人が亡くなっている。杜撰といえば、これほど杜撰な警察捜査は前代未聞である。

 

■■<『膨大な量。本当に心が折れそうでした』自民党の裏金疑惑を刑事告発、上脇博之教授が語った『正月返上の収支報告書チェック』>自民党安倍派の”裏金疑惑”で大荒れとなっているこの年末。実はちょうど1年前の同時期、正月返上で膨大な収支報告書の束と『にらめっこ』していた男性がいた。疑惑が明るみになるきっかけとなった一人、神戸学院大学の上脇博之教授だ。長年変わらないバンダナ姿で『政治とカネ』の問題を追及し続けている。裏金疑惑について、改めてイチから聞いた。13日で国会が閉会、捜査の行方にも注目が集まっている。

 

◆『もう正直言ってね、心が折れそう』

――上脇教授は、収支報告書のどの部分をチェックしたんでしょうか。

(上脇博之教授)『政治団体側の収支報告書で、20万円を超えた明細が書いてあるページをチェックするんですよ(20万円を超えた購入は記載しなければいけない)。20万円を超えて買ったのに、こっち(買った側)は書いてて、こっち(売った側)は買ってもらったにも関わらず書いてないなど、もう全部、一つ一つをチェックした。もう正直言ってね、心が折れそう、本当に心が折れそうでしたね』

 

――細かい照らし合わせをした結果、5つの派閥で5880万円(これまでの総計額)の不記載があることがわかった、実態を知ったとき、上脇教授はどのように感じられましたか。

(上脇博之教授)『何件もある、毎年ある。どう考えても組織的だ。これはどう考えても単純なミスではない。一つか二つだったら、まだ単純なミスもあるかな、でも何件もある、かつ毎年ある。5つの主要派閥で、どう考えても組織的だと。手口が大なり小なり蔓延してほぼ共通する手口。どう考えてもおかしいんじゃないかと』

『明細、20万円を超えるやつに気づかないはずがないですから、あえて書かないということは、裏金が作られてるんじゃないかと。ただ、「裏金がある」と断定して告発しても受理してくれないので、とりあえず20万円を超えた明細不記載で刑事告発して、最後の方に、「どうも裏金が作られてる可能性があるからそこも捜査してください」というふうに言ったんです』

 

――そもそもですが、政治資金パーティーの不記載にどうやって気付いたんでしょうか。

(上脇博之教授)『去年10月、「しんぶん赤旗」日曜版の記者が私に取材で電話してこられた。派閥の政治団体の収支報告書と、パーティー券を買っている政治団体の収支報告書をチェックされたそうです。北海道から沖縄まで、収支報告書は選挙管理委員会や総務省がネット公表していますから、それをチェックしたそうで、膨大な量です』

『ただ、告発するためには、私も再度チェックして、告発状を書かないといけないので、1つ1つを確認して、去年の11月から今年の正月にかけて。ある告発状は元日の日付になっていますので、要するに去年の年末年始をこれに使って、告発状を書いたということです』

 

――上脇教授の告発を受けた東京地検特捜部が捜査を始めました。

(上脇博之教授)『これほど悪質となると、事務方ではできないです。事務方が勝手に裏金作ったとなったら、政治家に怒られますよね。となると検察は、やっぱり事務方だけを立件するのではなくて、高度な政治的判断に相当する裏金作りを認めて、あるいは指示した、そういう人たちまで、やはり立件して欲しいです。事務方だけの立件で終わってしまったら、トカゲの尻尾切り、あるいは弱い立場の人だけを起訴して、強い立場の政治家を起訴しないということになるので、ぜひ政治家までやっていただきたいと思いますね』

 

――1994年の政治改革『綺麗な政治にしましょう』とあったが。

(上脇博之教授)『僕はやっぱり、大きな約束違反があると考えています。どういうことかというと、1994年に「綺麗な政治にしましょう」と言って、政治改革があったんです。リクルート事件とかゼネコン汚職とかそういうのがあったので、(企業献金をやめて)政党交付金という税金を各政党に交付しましょう。それによって綺麗な政治を実現しようとなった』

『ところが、こんなことが起きたわけですから、国民の税金を、政党交付金として交付するのをやめてもらうのがまず第一。パーティについても、こんなことが起こるんだったら、パーティーもやめる。やるとしても、企業が大量にパーティー券を買うのはやめる。あるいは政治団体が大量にパーティー券を買うのをやめさせないと、同じことを繰り返すと思います。

自粛は”一時的にやめる” 反省していないんです』

 

――岸田文雄総理は、政治資金パーティーの自粛方針を明らかにしたり、安倍派を政府の要職から外すというような対応も考えているようです。

(上脇博之教授)『何のためにそんなことを。自粛は”一時的にやめる”という意味です。ほとぼりが冷めたらまたやる、反省していないんですよ。仮に、閣僚とか党の役員を交代させるとしても、その前に説明責任を果たす必要があるんじゃないですか。自民党の5つの派閥はきちんと記者会見をしてない。「精査して説明します」って言うけど、そこで終わっちゃってる。きちんと政治改革をやり直すような案を出してください。やっぱり、党できちんと処分します、ということをやらないと、信頼は回復しないと思います』

 

◆まっこと、令和のリクルート事件は、上脇教授の正月返上の苦労作から生まれた。奢る自民、安倍晋三の亡霊が死後1年半で出てきたぞえ、な。まさに『令和に上脇博之なかりせば』だなあ。

 

■■<田中食品『「ゆかり」、素材の味そのままに』>広島市の『三島食品』は赤しそを使ったふりかけ『ゆかり』で知られる。素材の味にこだわり、ふりかけでは圧倒的なブランド力を誇る。ロングヒット商品だが、数年前にはネット上のバズりで注目を集め、現在は6人の兄弟姉妹が食卓を飾る。米離れが進む中でも新たな楽しみ方を提案し、販売を伸ばしている。

 

1960年代後半、名古屋市周辺を担当うる営業員が梅干しを漬けた後の赤しそを刻んだ漬物が売れることに目を付けた。ふりかけにしようと思い立って創業者の三島哲男社長に提案したが『うちは漬物屋じゃない』と却下された。

 

あきらめきれなかった営業員は1年ほど商品化を訴え続け、時には夜に社長宅に電話までかけた。『君は赤穂浪士か・・・』。根負けした社長から許可が出て、70年に『ゆかり』を発売した。ゆかりの名前はその紫色を『ゆかり』と読むことがあることに加え、『縁・ゆかり』を大切にしたいという思いで名付けられた。

 

しかし、発売当時のふりかけは魚粉など動物性たんぱく質を使った商品が中心で、消費者に見向きもされなかった。風向きが変わったのは学校給食で採用されてから。児童から『赤いごはんを作って』と頼まれた母親達が学校に問い合わせて販売が急拡大し、現在では売り上げの3割をゆかりが占める。

 

18年、『ゆかり・かおり(青じそ)・あかり(たらこ)』の3商品が並んだ商品棚を『まるで3兄弟』と書いた投稿がツイッターでバズった。ひらがな3文字人名風にこだわっていたわけではなかったが、この後は商品名やパッケージデザインをそろえた。

 

現在ではゆかりに次ぐ人気の『ひろし(広島菜)』と『うめこ(梅干し)』『かつお(かつお節)』が加わり兄弟姉妹6人の大所帯だ。自分でパッケージを作れるアプリ『ふりかけ4姉妹メーカー』まである。新商品を出すと兄弟姉妹として話題を呼び、既存商品が商品棚から撤去されにくいという。

 

23年から『メイン食材販売支援プログラム』を開始。スーパーなどにゆかりを使ったメニューを知らせる販促グッズを無料で貸し出し、肉や魚、野菜も買ってもらう。ある東北のスーパーではタコとキュウリをゆかりであえた一品を展開し、タコの売り上げが8倍に。『ウチでもやってくれ』と、各地から引っ張りだこだとういう。

 

◆田中食品の『ふりかけ』など、広島でふりかけの仕事が生まれたのは、その昔、呉港が軍港で、食料として長期貯蔵に堪えるものが必要で、地域で『ふりかけ』が作られるようになったことにあるという。まさに、歴史ある田中の『ゆかり』ではあるなあ。