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私たちはアイガーの南東壁を左に見ながら雪面を歩き出した。前方にある山稜上に小さな山小屋が見える。それは今夜の私たちの宿、ミッテルレギの小屋だ。

目の前には所どころに雪崩のあとがある。上方にまだ氷河が残っている個所を、ガイドはチラリと見上げると『2分間だけ急げ』と言った。万一、あの氷河が崩れ落ちた時、私たちに襲いかかってくるまでに何秒かかるだろうか、どの方向に逃げればいいだろうか、と思いつつ出来るだけ速いスピードで危険地帯を通過した。

スイスのアイスメイヤー駅から2時間歩き、私と北村はミッテルレギの小屋に着いた。3,354mの急峻な岩稜の中に建つ質素なこの山小屋は、3人のガイドと共に1921年、アイガー東山稜に初登攀トウハンした有名な日本人登山家『槇有恒氏』が、東山稜を登る人のためにとスイス山岳会に寄贈したものである。登山家の増加によって、もう一棟がすぐ岩の下に建てられ、現在では30人の宿泊が可能になっている。

紫色のバンダナの上から短い金髪をのぞかせた女性が『あなた達のベッドに案内するわ』と、身軽に岩場を登ってきた。まだ学生だというこの少女が、この小屋の管理人である。ガイドたちは身につけたザイルを解くと、すぐに水作りのための雪を集めに岩場を下りて行った。

小さいながらも堅牢で質素なこの小屋の中に、若い日の槇氏の写真が美しい木彫りの額に入れられ飾られていた。同じ日本人として誇らしいと思うと同時に、どうしてもっと早く、氏が元気な頃におのルートに登りに来なかったのだろうか、と悔いた。生前、何度か山岳会の集まりでお見かけし、話をするチャンスがあったにもかかわらず、気後れがして一度も親しく言葉を交わすことが出来なかった。

今、巨大な岩稜を目の前にして一抹の不安を抱きながらも、75年も前に初登攀した槇氏への尊敬の念がじわっとわきあがった。

岩場は終わった。氷雪上を登る時に滑らないように、アイゼンを登山靴に装着する。腰をかがめてアイゼンをつけながら、北村と目を合わせ思わずニンマリする。この狭い急な雪稜を登れば、アイガー頂上だ。蒼い空に白いガスが時折抜けていく。がっちりとアイゼンを雪面にきかせ、一歩一歩雪稜を登る。まわりの山々が登るにつれて大きく視界の中に入ってくる。

10時50分、ついにアイガーの頂上に登りついた。ガイド達がおめでとうのキスを頬にしてくれる。『ヤッタゼー』と私たちは手を握り合う。北村がおもむろに旗を取り出す。といっても自分たちが、白い布にマジックで書いたものだ。『JYUNKO & SETSUKO 101years old in total』、二人合わせて101歳という意味だ。それを説明すると、ガイド達は笑い出した。2,500m下にあるグリンデンワルトまでさえぎるものが何にもない絶頂で、私たちはこの旗を持って写真を撮った。
 (参考: 田部井淳子著『エプロンはずして 夢の山』 東京新聞刊)

田部井本に魅せられて、5冊目を読破。この本は最初に手にした『山を楽しむ』にダブル部分もあるが、結婚前後の話はこちらが詳細。山歩きで知り合った二人が、山の世界を築き、世界最初女性でエベレストを登攀させた旦那も偉い。その延長線上に『女性サミット』があり、山登りの世界に女性達の勢力を伸ばしたイベントもある。また友人の何人かを遭難で失った悲しみも同時に。でも田部井本を読むと、何かしら勇気づけられます。

先日、かつての会社に関係する団体のOB会がありました。古老に何歳になった、と聞くと『89.6歳。今年中に90歳になる。まだまだ元気、大正11年生まれは』との言葉。尊敬しますねえ、かくしゃくとした身のこなしができるお年寄りに。それには山が一番でしょうねえ。我田引水、です。(*.*)

★東京電力は23日、福島第一原子力発電所の放射能汚染水の浄化装置や使用済み燃料プールの冷却装置などが22日に停電で一時止まった原因は、配電盤の設定ミスだったと発表しました。本来、ブレーカーが落ちる電流を672アンペアに設定するところを、210アンペアにしていたとのこと。東電って、電気に関して素人のようですねえ。これでは原発事故収束もままなりません。情けない東電です。

★自民党の政治資金団体『国民政治協会』本部への2009年分献金実績で、個人献金額の72%が東電など電力9社の当時の役員・OBによるものと判明。当時の役員の92%が献金していた実態も。個人献金として会社ぐるみの『組織献金』との指摘が表面化しました。電力業界と癒着の構造が明らかになり、自民党政権下での原発安全対策は、業界よりの甘い内容になっていたと思われる節がありますねえ。まったく、民主も自民も政党として落第です。(#.#)

★早速『なでしこジャパンW杯優勝』が、なでしこリーグの観客増に現れました。代表7人が属する神戸は、千葉と対戦、入場者数は17,812人とリーグ創設以来の新記録を樹立。W杯前は有料試合入場者884人でしたから、何と20倍に。いいですねえ、W杯優勝の殊勲に観客が多く押し寄せる、ということは。頑張れ、なでしこリーグ。(^.#)

★驚きです。中国の高速鉄道事故。事故の翌朝、7台のショベルカーが横の野菜畑に穴を掘り、深さ4~5m、幅20mと。午前7時過ぎ、ショベルカーがアームを振り下ろし、大破した先頭車両を叩き始めます。計器が埋まっている運転席も壊して。そしてその残骸を、廃棄物のように穴の中に押しやってしまった、と。現場に入った記者が一部始終を目撃した、と朝日新聞の記事。事実であれば、なんと野蛮で粗野な行動でしょうか。精密な事故原因調査が行われていない状態で、証拠物件を土葬するとは。なんとも理解しがたい中国です。死者は43人に増えたとの報道も。

◆今日の画像は、その『高速鉄道が脱線し落下した事故現場』と、『大根の花』、『スイトピー』、『緑色のコエビソウ』、再び『アストロメリア』。アストロメリア、ちょっと写りが面白かったもので・・・。(*.*)