「独りであること、未熟であること、

これが私の二十歳の原点である。」






高校時代、担任と副担任から
それぞれ薦められたが
学生運動の思想がさっぱりわからなくて
そして
自己を発展させねばならない、
という意識が苦手で
放り出した。

今月に入って

なぜか目につくことが多く、

Amazonでポチった。





誰かに読まれることを前提としていない日記だから

飾り気のない心情が書かれている……

なんてことはない。

人は自分にも嘘を付く。
記憶も改竄する。


この日記が嘘だと言っているのではなく
「自己認識」というものが
限りなくアヤシイのだ真顔
「書くこと」(言語化すること)で自意識が肥大化する。



反面、

感性の瑞々しさや詩情の豊かさなどは

作為なく溢れ出てくる。




旅に出よう
 テントとシュラフの入ったザックをしょい 
ポケットには1箱の煙草と笛をもち 

旅に出よう 
出発の日は雨がよい 
霧のようにやわらかい春の雨の日がよい 
萌え出でた若芽がしっとりとぬれながら 
そして富士の山にあるという 原始林の中にゆこう

 ゆっくりとあせることなく 大きな杉の古木にきたら 
一層暗いその根本に腰をおろして休もう

 そして独占の機械工場で作られた1箱の煙草を取り出して 
暗い古樹の下で1本の煙草を喫おう
 近代社会の臭いのする 
その煙を 古木よ おまえは何と感じるか

原始林の中にあるという湖をさがそう 
そしてその岸辺にたたずんで 1本の煙草を喫おう
 煙をすべて吐き出して ザックのかたわらで静かに休もう

 原始林を暗やみが包みこむ頃になったら 
湖に小舟をうかべよう

 衣服を脱ぎすて すべらかな肌をやみにつつみ 
左手に笛をもって 
湖の水面を暗やみの中に漂いながら 笛をふこう 

小舟の幽かなるうつろいのさざめきの中
 中天より涼風を肌に流させながら 
静かに眠ろう 

そしてただ笛を深い湖底に沈ませよう




革命家、運動家というよりは
詩人の魂の持ち主で、

「青春の墓標」の奥浩平にどうしようもない恋をして
「荒野の狼」のハリー・ハラー(=ヘルマン・ヘッセ)を
当て馬にしたような……

現実世界でトレースしようとしても
うまくいくはずもなく、
アイデンティティ(と思っていたもの)
が崩壊してしまった。

多くの人は
こういう崩壊を繰り返して
生きていくものなんだけど
若いから耐性もなく、時代の波が大きすぎて。



青春の清冽さとその痛ましさに
共振する。




カンゼン社版で本書、ノート、序章の3作が
Kindle0円で読めるし
今ならYouTubeで映画も上がっている。
(著作権の関係でいずれ削除されるかも🦆)
当時の京都の街並みや風俗が

懐かしい。


明日未明で55年か。



個人的には
彼女が労働者たらんとしてアルバイトした
京都国際ホテルには
受験の際1週間ほど連泊し、
中日には二条城をブラブラし

高校受験のとき、地元なのに会場に辿り着けなかった前科があったため)

立命館(衣笠キャンパス)へはタクシーで行ったことを思い出した。
広小路のキャンパスはもうなかったな。


あれから何か進歩したっけ?
自己の発展とか自己啓発とか?



青春という時代が
どこらへんで終わってるのか定かではない
のんべんだらりの私だからか

独りであること、未熟であること
還暦でも原点だわ。