第56話((逆上がり)) | **我が人生の旅路**

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                     英 満(はなぶさ みつる)

 外であまり遊ばず、幼稚園(1年保育)も殆ど行かずじまいで小学校に通うことになったのであるが、教科指導の中で「体育」が好きになれずにいた。
 そんな中、「逆上がり」なるものに取り組まなければならなくなった。今回はそんな小1の頃の出来事を綴ってみたい。
 友達とも遊ぶ事をできるだけしてこなかったせいもあり、鉄棒には、ほぼ触れたこともなかったのに、いきなり「逆上がりできるようになりましょうね!」、と先生。
 「こりゃ困った。」、と心の中で呟いてしまった。
 周りを見ると、何と、できるクラスメイト多数。なんだこりゃ、の状況下におかれた私であった。
 とりあえず先生にやり方=コツを聞いてみよう、と一目散に先生の所に。
 先生が「・・・、それからね、・・・」、と教えてくれた。
 聞いてはみたもののとりあえずはできないから、みんなのやってるとこを見とこう、とずっと見学してしまった。
 先生は「○○くんはやらないの。」とか言う人ではなかったのでありがたかった。
 その日家に帰って夕食の時間に祖父に「逆上がり」の事を話した。
 すると祖父は、「頭できちんと理解してその通りに体を動かすことができればできるはず。でもな、それが中々できないから面白いんだぞ、運動は。」、と言った。
 できなかったら面白くないんじゃないかとは思ったが、黙ってうなずいた。
 次の日放課後「逆上がり」の練習をした。できません、なんせ、初めてやってる訳だから。
 頭で考えてやってるのに、なんで!?、と思った。そこで、勉強する場合に置き換えて考えてみた。
 そっか、と、思うことがあり、再度(何度目かはもう分からなくなっていたが)、「エイ」、とやってみた。
 できた、できた、となった。とっても嬉しかった♪
 できてしまえば何でもない簡単な事なのだが、「コツ」をつかみ、その「コツ」をのみこんでやればできるのであった。
 祖父が「面白い」と言った意味が何となく分かった気がした。
 直面した問題には、真正面からぶつかるのではなく、自分の知りうる得意なものに置き換え、その中から「コツ」=解決のヒントを見つけて立ち向かっていけばいいのだろう。
 21世紀の「逆上がり」に後進と一緒にチャレンジしていきたい☆
<対応年代:幼少>