中2の夏休み、ある本にめぐりあった。うさぎの物語だった。
その本は、祖父が買ってきた上映予定のアニメ映画の原作になっているもので、英語で書かれていた。
当時、英語なるものは学校の授業以外ふれることはなかったので、英語の読解力は極めて低い状態だった。
祖父は、「これ面白いぞ。」、と言ってその本を私にくれた。
さて、読まない訳にもいかないし、と思いつつも、英語だけの本、気が重い★
でも、うさぎは小学校の頃よく見ていたので、うさぎのことをもっと知ろう!、という気持ちで読んでみよう、と思い、その本を読み始めた。
辞書を引き引き、本当に少しずつしか読み進むことができない状態だった。
が、そこは、結構気長な性格だったので、マイペースで1ページ、また1ページ、と読んでいった。
英語は、祖父から中学校に行く前に直接教えてもらった経緯があり、それがこの本を読むにあたって大いに役立っていた。
「ふん、なるほどな。結構英語の本読むの楽しいじゃん♪」、と本を読むにつれて思い始めていた。
読んでいてよく分からない箇所は、祖父に尋ねて教えてもらった。
夏休み一杯かかって何とかうさぎの物語を読み終えた。心の中は何ともいえない充実感で満たされていた(^_^)v
本を読み終えたことを祖父に告げた。すると祖父は、「ほう、やっと終わったか。褒美をやろう。」、と言って、映画の券をくれた。
それは、読み終えたうさぎの物語のアニメ映画の券だった。
祖母に言って、早速街に映画を観に行った。一人でぷらっと出かけて、映画館の下の階で好物のお好み焼きを食べ、映画を観て家に帰った。
私は小遣いというものをもらっていなかったので、お好み焼きは、祖母がくれたお金で食べることができた。嬉しい限りだ。
今にして思えば、この出来事は、当時英語に見向きもしなくなっていた私に祖父がしかけた作戦だったのではないかと。
なぜなら、うさぎの物語など祖父が読みたい、と思うことは決してないからだ。
学校の授業や受験勉強ではなく、遠回りになるかもしれないが、「英語を読む」力を確実に身につけることのできる方法を教えてくれた亡き祖父に「どうもでした。」、と言いたい☆
<対応年代:10代>