学生時代にはよく一人旅をしていた。何気なくぷら~っと出かけて、何かしらの刺激を受けて、それをバネにまた物理にいそしんでいた。今回はその旅の中から一つ綴ることにしたい。
私は関東地方に行くことはめったになかった。東京の人の多いイメージが勝手に頭の中にできあがっていたからだ(笑)。
そんな関東地方になぜか行きたくなって、「ぷらっと一人旅」に出かけた。行き先は小田原方面であった。
京都からJRで適当に乗り継いで行った。旅はその目的地に着くまでの途中も十分楽しめる。電車に乗ってくる乗客の様子を見聞き(=その地方の言葉を聞いたり)するのは面白かった。
また、電車の窓から見える景色を眺めながら物理のことをボ~ッと考えるのもいい感じであった。
小田原の散策を一通り終えた私は、とあるデパートに入った。別に何かを買おうと思って入ったわけではなかった。
電器製品の好きな私は自然と電器製品の階に足を運んでいた。あちらこちらの製品をキョロキョロ見ていたが、あるショウウィンドウの中に展示してあった物に目がとまった。
それは、電気炊飯器だった。メーカーはナショナルであった。
学生生活を送るようになって一人暮らしを始めた当初、祖母が1合炊きの電気炊飯器を持たせてくれた。ご飯の好きな私はこの炊飯器では、お茶碗2杯分にしかならないので、もうちょっとご飯が食べたいと思ったら、再度ご飯を炊かなければならなかった。
だから、もっと大きい炊飯器があればいいのになぁと思っていたのである。
5合炊きのその炊飯器を見たとき、「買って~!!」とまるで炊飯器が私にしゃべっているような感じを受けた。ピ~ンときた思いがした。
「よし、これを買うぞ~!!」と心の中でつぶやいて、直ぐに公衆電話から祖母に電話をして郵便局の自分の口座に21,000円入れて欲しいと頼んだ。
当時1ヶ月6万5千円で生活していたことを考えると、この炊飯器の値段はそこそこ高かったようだ。
祖母は私の頼みを聞いてくれなかったことはなかった。祖母いわく、私が考えた末での頼みであろうから、間違いはないはず、とのことで聞き入れてくれていたのだ。
お金をキャッシュカードでおろしてその炊飯器を買った足で京都に戻って行った。旅行はもうおしまいであった。私は、この炊飯器ではやくご飯を炊いて食べたかったからである。
以来、その炊飯器は私の下で20年以上もご飯を炊き続けてくれた。ナショナルは私の好きなメーカーである。いいものは少々高くてもずっと使用できる長持ちくんである。
今の時代、携帯電話機をはじめ、多くの商品が短期的消費を目的に作られているのではないかと思えてならない。
気にいったものは長くもつことでその味をだし、持ち主にさらなる心地よさを提供してくれるのではないだろうか!?
ものを大切にする心が、しいては人を大切に思う気持ちを持たせ、勝ち組・負け組ではなく、「共生」の道を開いていくことにつながっていくのではないだろうか♪
自身と相手を大切にした「共生」の道を歩めるよう私もさらなる努力をしていきたい☆
<対応年代:20代>