こんばんは、エバラです
月曜日は小説の日〜
それでは、どうぞ
****************
第50話(1月24日)
「やーい、貧乏家族。」
ちょっかいユウゾウが音頭を取って、ハナとアサちゃんをまとめてそう呼ぶようになった。ハナの家は下から五番目くらいの貧乏さで、アサちゃん家はぶっちぎりの貧乏であったから、まぁその通りなのだが、わざわざ面と向かって言うその根性が気に入らない。アサちゃんはいつも俯いているのに、さらに下を向いてしまう。言う方も言う方だが、小さくなっているアサちゃんにも腹が立って、
「アサちゃん、悪口言われて、俯いちゃダメだよ。」
「だって、うち貧乏だもん。」
目だけキョロリと動かして小声でしゃべる。
「アサちゃん家が貧乏なのって、アサちゃんのせいじゃないじゃない。」
アサちゃんの教科書をめくる手が止まった。
「あたしの、せいじゃない。」
「そうだよ、アサちゃん家、お父さんいないんだもん、しょうがないよ。うちだって、お母さんがいないからきっと貧乏になっちゃったんだ。」
「あたしの、せいじゃない。」
アサちゃんはノロノロと顔を上げると、ポッカリ口を開けてうつろな目で空を見つめている。ハナはアサちゃんに言い聞かせながら、自分にもその言葉が染み込んでいる事に気付いた。
「どうした、貧乏家族。」
「ああ貧乏だよ、それが何。」
今までで一番大きな声で言い返したら、ユウゾウが固まった。それを見ていたアサちゃんが、今まで一番大きな声で、シシシシ、と笑った。
つづく
***************
いいぞ、ハナちゃん
言われっぱなしなんて
女が廃る
ケンカは気迫だ
それでは、また