画家の手 正しさと間違いの差がわからない。善悪の基準は曖昧、良し悪しときたらもう不明だ。思想も宗教も常識的な倫理も、信用できない。 だが画家の手だけは信用に足る。 なぜなら画家自身がどんなつまらない思想を持っていようと、彼の手はただ目の前の絵画を美しくするためだけに動くからだ。 この動き、絵画を少しでも美しくする、良くするための動きだけを、自分は信用する。人の動作も、歴史の歩みも、だからそうであってほしい。 少しでも美しく、少しでも良く。