ーパブロ・カザルスと井上頼豊のメッセージを未来へー
11/18。最も尊敬する音楽家のお一人、井上鑑さんのコンサートへ行ってきました!
鑑(あきら)さんといえば、様々なジャンルのアーティストのサウンドプロデューサーとして大変有名でありますが、実はピアノ・キーボードを中心とするソロコンサートやユニットでのライブも数々こなされています。そのどれもが全然違う音楽で、全てが愕然とするほど素晴らしいのです!まさに天才!
あまり名前を聞いたことがないという方でも「ルビーの指輪」の編曲家と聞けば、福山雅治氏が絶対離さないプロデューサーと聞けばおわかりになる方も多いのではないでしょうか?
「ルビーの指輪」は、イントロを聞けばすぐにあの歌とわかってしまうようなインパクト。あれを作曲された方です。「Stand By Me」と同じ、イントロが曲の顔になっています。プロフィールの詳細が知りたい方は鑑さんのHPへどうぞ!!
http://www.akira-inoue.com/profile/
鑑さんは、日本チェロ界の先駆者井上頼豊氏の息子さん。
頼豊先生の没後20年を記念した音楽界がちょうど命日の11月18日に東京文化会館で行われました。
毎年のように秋に開催されるソロコンサートと違って、今回は頼豊先生から受け継いだものを後世に渡すという鑑さんの思いが溢れた内容だ。息子としての父への愛と、大切な想いを伝えていかなくてはという責任。
出演メンバーは頼豊先生の門下生で、日本チェロ界を代表するチェリスト6名蒼々たるメンバー、二十五絃箏・低音二十五絃箏(初めて聞いた!)という、クラシックか現代音楽かと予想させる方々でした。
8曲中6曲が鑑さんの作曲したもので、最初は鑑さんのピアノソロ。
ずっとすぐそばで鑑さんのピアノを聞ける環境にあった私は、第一音で彼の音が判別できる耳になっている。大好きな重低音。
どんな曲なのかな?と思ったら、なんかジャズの匂いがする!!一人でクスッと微笑んでしまった![]()
鑑さんの音楽にはジャンルがない。なんでも出来ちゃうから、至る所にいろんなエッセンスが盛り込まれて、発見する楽しみがありその天才ぶりに毎回圧倒される。
私は特にストリングスアレンジが大好きだ![]()
チェロの古川展生さんとのデュエットで、ボブ・ティラン作曲の「The Time They' re A-changing」を演奏。原曲を知らないのだが、古川さんの超絶技巧は見物で、そこに漂うように鑑さんの歌とピアノが乗ってきた時には、これはどのようにアレンジされたものなのか、心底原曲との違いを知りたくなった!
そしてチェロ6人のアンサンブルも初めて聞いた。鑑さんの曲が素晴らしくて私も声でやってみたい!と、とても憧れてしまった。最初はちょっと現代的なハーモニーのような音だったのに、終盤はグッと来るそれはそれは美しいメロディーで、6重奏のハーモニーが波のように押し寄せてきた。あ〜もう一度聞きたいなあ。
現代音楽もあったが、アンコールは出演者全員で「鳥の歌」。
チェロも箏も弦楽器だ。相性の良い響きととても素敵なアレンジで、静かな想いが胸に広がった。鑑さんはアコーディオンで登場。鳥のさえずり役だったо(ж>▽<)y ☆
これがまた良くて!!
鑑さんは「鳥の歌」をとても大切にされている。
それは父・頼豊先生が大切にされてきた曲で、その中にある想いこそ後世に伝えたいことなのだ。
「鳥の歌」はスペイン・カタルーニャ地方の民謡で、平和への願いに溢れた名曲だ。
これを今世紀最大と言われるスペインのチェリスト、パブロ・カザルスが大切していた。
Wikiで知ったのだが、カザルス94歳の時にニューヨーク国連本部で「私の生まれ故郷カタルーニャの鳥は、ピース、ピース(英語の平和)と鳴くのです」と語り、『鳥の歌』をチェロ演奏したエピソードは伝説的で、録音が残されているそうだ。
戦争を体験された頼豊先生はカザルスを敬愛、「鳥の歌」への想いも継承しずっと演奏されておられたそうだ。その想いを息子の鑑さんが受け継ぎ、戦争を知らない次の世代へ繋いでいく。
本編最後の曲は鑑さんのピアノソロだったが、曲ができる背景にはやはり平和を考えさせられるエピソードがあった。最後には「Imagine」のあのフレーズがキラキラした音で何度も現れた。
鑑さんは「No Nukes Gig」というライブも時々やっておられる。音楽家としてできることを、声高にではなくご自分の音楽で表現される。
私も来年スペインへ行く。カザルスホールに立つ。
そして「鳥の歌」を歌うのだ。
カザルス・頼豊先生・鑑さんから発せられた想いを受け取って、微力の微力の微力であるけれど、小さな種をまく一人でありたいと思う。
スペインでのシンポジウムのスローガンは「平和の色」。
「歌のあるところに争いはない」という願いの具現化に貢献できたら、という思いで私たちは歌いに行く。
その気持ちをずっとずっと強くさせてくれた演奏会。
最後に鑑さんはおっしゃった。
今日の演奏が半年くらいかかって熟成していってくれたらうれしい、と。
私の中ではすでに熟成が始まっている。
どんどん深く濃くなればいいな。
いつも思う。
鑑さんは世界に誇る日本の宝です!


