映画『ポゼッション』(40周年HDリマスター版) | 普通人の映画体験―虚心な出会い

普通人の映画体験―虚心な出会い

私という普通の生活人は、ある一本の映画 とたまたま巡り合い、一回性の出会いを生きる。暗がりの中、ひととき何事かをその一本の映画作品と共有する。何事かを胸の内に響かせ、ひとときを終えて、明るい街に出、現実の暮らしに帰っていく…。

2020年1月28日(火)「アップリンク吉祥寺」(東京都武蔵野市吉祥寺本町1丁目5−1 吉祥寺パルコ地下2階、吉祥寺駅北口から徒歩約2分)で、18:20~鑑賞。

「ポゼッション」

作品データ
原題 Possession
製作年 1981年
製作国 フランス/西ドイツ
上映時間 124分

日本初公開 1988年9月17日

ドイツの近郊都市に住む美しい人妻が妄想に悩まされ狂気に陥っていく姿を映し出す不条理スリラー。出演は『アデルの恋の物語』のイザベル・アジャーニ(1981年・第34回カンヌ国際映画祭主演女優賞受賞)、『ピアノ・レッスン』のサム・ニールほか。監督・脚本は『私生活のない女』など、狂熱的な愛をスキャンダラスに描く、ポーランドのアンジェイ・ズラウスキー。2020年1月、製作40周年を記念してHDリマスター版でリバイバル公開。

ストーリー
西ドイツ、ベルリン郊外。数年間の単身赴任を終え、妻子の待つ自宅へ帰ったマルク(サム・ニール)は、妻アンナ(イザベル・アジャーニ)の態度がどこかよそよそしいことに気づく。やがて夜な夜な家を後にするようになったアンナは、結婚生活や母親業から逃れたいこと、そして愛人の存在を夫に告げるのだった。ハインリッヒ(ハインツ・ベネント)という男の存在を知ったマルクは、彼のもとを訪ねるが、実はアンナにはハインリッヒの他にも“第3の男”がいるらしかった。思い余ったマルクは、私立探偵を雇い妻を尾行させるが、いつしか彼は連絡を断ってしまう。一方、アンナは日々ヒステリックに狂気の度を増していく。ある日、息子のボブ(ミシェル・ホーベン)を学校に送ったマルクは、そこで妻とそっくりの教師ヘレン(I・アジャーニ=二役)と出会う。アンナとの生活に疲れ切った彼は、妻とよく似たヘレンに甘えるように身体を重ねるのだった。ますます不可解な行動をとるようになっていくアンナ。現実を歪める妄想に取り憑かれた彼女を救い出すため、マルクは彼女に憑依(ひょうい)した“魔物”と対峙する決意を抱くのだが…。

▼予告編



私感
アンナ/ヘレンを演じたイザベル・アジャーニ(Isabelle Adjani、1955~)は、なかなか魅力的。
しかし、物語内容はホラーともミステリーともつかない奇妙な不条理劇そのもの。この半分オカルト映画のような異様な作品は、いたずらに何か取っ付きにくい冷え冷えとした印象を私の目の底に残す。共産主義への不信、離婚問題、善と悪のせめぎ合い、女性の理解不能さ等のテーマが何となく見当たるものの、不可解な出来事が連続する、非常に混乱し、混沌としている映画だ。愛に憑かれて妄想の魔物とファックまでするアンナ⇒アジャーニにいたっては、いささか辟易!