原題:Roman Holiday/西題:Vacaciones en Roma/独題:Ein Herz und eine Krone



アーニャ(アン王女)にローマ案内を買って出たジョー。スクープに必要な証拠写真を押さえるため、相棒のカメラマン、アーヴィング・ラドヴィッチ(エディ・アルバート)を誘い込む。実はアーニャはアン女王その人だ、この「お忍びのローマ見物」という滅多にない大スクープをモノにできれば、5000ドルで売れること間違いなし、ぜひとも分け前25%で、写真スタジオを自営しているお前の自慢の腕を発揮して特ダネを抜くことに協力してもらいたい―。このジョーのたっての願いを聞き入れたアーヴィングは、手始めにオープンカフェで初めてのタバコを試すアーニャを喫煙ライターの隠しカメラで撮影、続いて街中を疾走するジョー&アーニャ2人乗りしたスクーターを後ろから車で追いかけ、隠しもった小型カメラで撮影。そして、3人が訪れた「パンテオン神殿」、「コロッセオ」、「ヴェネツィア広場」、「カンピドーリオの丘」、「真実の口」、「祈りの壁」、「サンタンジェロ城」など数々の名所で、抜け目なくアーニャの一挙一動を次々とスナップ撮影する(アン王女のローマ観光⇒極秘独占取材)。

(アーニャ〈アン王女〉がカフェ「G.ROCCA」で初めてタバコを吸う瞬間を、手元のライター型カメラで盗撮するアーヴィング)

(ジョーはアーニャをスクーター〈ベスパ/Vespa〉の後ろに乗せ、ローマの観光名所をドライブする…)
[アーニャ(アン王女)とジョーとアーヴィングの3人の着いた先が、サンタ・マリア・イン・コスメディン教会内にある石の彫刻《真実の口》。「嘘つきの手は食いちぎられる」とジョーから聞かされたアンは、自分が王女であることを隠している(嘘をついている)負い目からか、左手を唇に近づけはしても、なかなか口の中にまで手を入れることができない。「あなたが、やってみて」とジョーに順番を渡すことに。ジョーは恐る恐る口の奥の方まで右手~指先から手首まで手全体(いくらか前腕に及ぶ)~を差し込む。その瞬間、自らの手が今まさに食いちぎらているかのように、悲鳴を上げて踠(もが)き始めた。そんな異様な彼の姿にショックを受けながらも、必死になって彼に飛びつき、その背中にしがみつき、後ろから彼を引っ張って助けようとするアーニャ。ほどなく口から引き出された、右手のないジョーの腕。それを一瞥して、「キャー!!」と顔を覆って泣き叫ぶアーニャ。ところが、ジョーはやおら、袖に隠していた右手を出して、掌(てのひら)をパッと開きつつ、戯(おど)けて「Hello」と言う。無傷のままのジョーの手を見て、「ひどいわ!何ともないじゃない!大丈夫なのね!」(You beast!It was perfectly all right!You’re not hurt!)と怒りながらも、安堵の胸を撫で下ろすアーニャだった。/SHE IS SO CUTE IN THIS SCENE!]

(アーニャはジョーの手が食いちぎられたと思い込む…) (アーニャはジョーの手が無事な様子を見て…)
(《真実の口》の場面は、俳優グレゴリー・ペックのアドリブで演じられたといわれるが、それにしてもオードリー・ヘップバーンの自然な演技が際立つ名シーンである!)
一方、王女失踪で大慌ての某王国大使館。王女が見つからない状況にでもなれば、大使・将軍・侍従長は職務怠慢の責任を取らされて罷免は確実だ。そこでシークレットサービス(SS)の男20名ほどを本国から空路でローマに召集。ローマ市内で王女が居そうな場所に張り込んで、ローマ警察に知られないように、王女を連れ戻す作戦を実施する。
夜になって、サンタンジェロ城前のテヴェレ川に浮かんだ川船では、ダンスパーティーが始まった。アーニャ(アン王女)は普段着であるが、ジョーとワルツを踊る。美容師のマリオも喜んで、彼女と踊る。そこへ黒服のSSの面々が現われ、アーニャ+ジョー+アーヴィング+マリオとの間に時ならぬ争いが起こった。ダンスパーティーは乱闘に一変する。SSの追っ手が迫ったジョーとアーニャの二人は、一緒に川へ飛び込み、泳いで逃げる。
つかの間の自由と興奮を味わううちに、いつの間にかジョーとアーニャの間には強い恋心が生まれていた。川べりの闇の中で、二人は抱き合って熱いキスを交わす…。そして、お互いへの本当の想いを口に出せないまま、ジョーはアーニャをアーヴィングが手配した彼の愛車に乗せてマルグッタ通り51番地のアパートへ戻った。

(パーティー会場でダンスを踊るジョーとアーニャ〈アン王女〉)
(ダンスパーティーを楽しむアン王女を見つけたSSエージェントたちが、彼女を強制的に連れ去ろうとする。必死に抵抗するアン。気づいたジョーは、彼女を守ろうとして彼らと揉(も)み合いになる。そこにアーヴィングや美容師のマリオも加わり、パーティー会場は一気に乱闘モードへと突入。アーニャも参戦!会場の中にあったギターを掴み取り、追いかけてくるエージェントを打ち叩くというオテンバぶりを発揮する…)

(ギターでSSの追っ手をぶったたくアーニャ〈右側〉とその様子をシノゴ(4×5インチ判)のスピグラ〈大判のプレスカメラ〉で撮影するアーヴィング〈左側〉)
(テヴェレ川に飛び込み、エージェントたちを撒いて無事に岸辺に辿り着いたジョーとアーニャ。そして、冷たい川の水に体温を奪われて終始震えっぱなしのアーニャを抱き寄せて必死に温めようとするジョー。Joe「大丈夫か?」→Anya「あなたこそ」→Joe「大丈夫だとも」。二人は「さっきの君はすごかった」→「あなたも まあまあね」と、先の大乱闘での互いの健闘を冗談交じりに称え合う。そして、そのまま思わず魅入られたかのように衝動的に、ジョーはアーニャに口づけをしてしまう。それを抵抗することなく、受け入れるアーニャ。そして、アーニャに惹かれている自分の気持ちの変化に戸惑うジョー。初めてキスを交わした二人はその後、「とりあえず濡れた服と体を乾かそう」と、照れくさい雰囲気を払拭するかのようにジョーのアパートに向かう。/One of the most moving kisses in the entire history of cinema!)
ジョーの部屋に戻り、服も乾かした二人。夜は更け、とうとう迫ってきた別れの時。アーニャ(アン王女)は身分を偽って束の間の休日を楽しみながらも自分が王位継承者であることを自覚しており、“1日だけ”という約束通り、夜には宮殿に戻ると決めていた。やがてアーニャを乗せ、彼女が指示する場所~某国大使館の前~へと車を走らせるジョー。ついに目的地に到着…。しばしの沈黙の後、「お別れしなくてわ(I have to leave you now.)」と口を開いたアーニャ。そして、「私はこれから、あの角を曲がります。あなたは車から降りないで、このまま帰って。私が角を曲がったら、もう見ないと約束して。そのまま帰ってお別れして。私が、そうするように」(I’m going to that corner there and turn. You must stay in the car and drive away. Promise not to watch me go beyond the corner. Just drive away and leave me as I leave you.)とジョーにお願いする。恋してはいけない女性に恋してしまったジョー。苦しい表情を浮かべながらも、彼は彼女の願いに素直に頷く。目に涙を浮かべたAnya:「私はサヨナラをどう言えばいいか分からない。言葉が思いつかない」(I don't know how to say goodbye. I can't think of any words.)→Joe:「言わなくていい」(Don’t try.)。感極まったアーニャとジョーは、ひしと抱き合って最後の熱いキスを交わす。そして、暗闇の先へと続くそれぞれの「元の世界」へと戻っていった。アーニャはもう、ジョーの手の届かない、遠い世界の女(ひと)、“Princess Ann”である。

(車中で別れを惜しむ~結ばれない愛に泣く~二人)


(アン王女に戻ったアーニャは、小走りに大使館に駆け込んで行く…)
宮殿(大使館)に戻ったアン王女は、大使とヴェレベルグ侍従長とプロヴィノ将軍を前に、気丈に振る舞う。心配のあまり問いただす大使と王女の言葉のやりとり:
大使:「王女様、24時間を丸々無駄にされましたな」
王女:「してないわ」
大使:「両陛下には何と申し開きを?」
王女:「病気だったが、回復したと」
大使:「自覚してくださいまし、私に義務(duty)があると同様、王女様にも義務があるのです」
王女:「お言葉ですが、私に対してその言葉を二度と使わぬように。わが王室と祖国に対する義務をわきまえていなければ、今夜帰っては来なかったでしょう。この先も永久に…」(Your Excellency, I trust you will not find it necessary to use that word again. Were I not completely aware of my duty to my family and to my country, I would not have come back tonight... or indeed ever again!)「 さて、今日は予定の行事が沢山あって忙しいですよ。もう下がってよろしい」


(王女失踪で心労に疲れた〈左から順に〉大使、ヴェレベルグ侍従長、プロヴィノ将軍の3人が、やっと戻った王女と真っ向から向かい合って…)
自立心が芽生え、毅然たる気品を感じさせるアン王女。その口調と態度には、あの天真爛漫で身勝手なお嬢さんの面影が失せ、一国の王女にふさわしい風格と威厳が備わりつつある…。たった1日だけの休日ながら、永遠に彼女自身の心の中に残る一日だった。ローマで自由を満喫し、冒険をし、恋に落ちる…。日頃、彼女が願っていた以上のすべてが実現されたのだ。アン王女は一回り大きく成長して、再び王女として生きる決意を固めるのだった。
翌日の朝、ヘネシー支局長が目を輝かせてジョーのアパートにやってきた。
支局長:「ジョー、手に入れたか?」
ジョー:「何をです?」
支局長:「王女の特ダネだよ。手に入れたか?」
ジョー:「ダメだった」
支局長:「そんなはずない」
ジョー:「…コーヒーでもどうです?」
支局長:「もったいぶるな」
ジョー:「誰がです?」
支局長:「君がだよ。分かってるぞ。王女の特ダネをモノにすると提案した後、君はいなくなった。大使館から王女失踪の噂も聞いた」
ジョー:「噂をいちいち本気にするんですか?」
支局長:「ほかにもある。川でのパーティーのこと。某国の8人のSS要員が拘束されたこと。それに王女が奇跡的に回復したことで合点がいく。(今更出し惜しみをして)記事の値段を吊り上げるつもりか。約束は約束だ。今すぐ出せ。記事はどこだ」
ジョー:「ありません」(I have no story.)
そこへ、“写真”を現像したアーヴィングが、喜び勇んでやってきた。「これを見てみろよ!」―すごい写真が撮れたと興奮するアーヴィング。ジョーはヘネシー支局長にアン王女の極秘撮影の事態を気取られまいと、ことさらにアーヴィングに嫌がらせをする。水をひっかけたり→足を掬って転倒させたり…。一悶着を起こすジョーとアーヴィングを、呆気(あっけ)に取られて見つめるヘネシー。やがて業を煮やしたか、先のジョーへの話を続けて言う。「昨日の君の口ぶりでは…」
ジョー:「確かに作日は目算があった。でも、それが外れた。ただ、それだけの話。記事(特ダネ)はありません(There is no story.)」(この言葉を耳にして一瞬、顔に驚きが走り、目を見張るアーヴィング…)
支局長:「分かった(Okay.)。王女は今日また、同じ時間、同じ場所で記者会見を開く。せめて、その記事ぐらいはモノにしてくれるだろうな。500ドル(bucks)の貸しだぞ(忘れるな!)」
ジョー:「週に50ドル、給料から引いてください」
支局長:「言われなくとも、そうするよ」
ヘネシーが帰った後、アーヴィングはしんみりとした口調で言う。「どうした?もっと、いい買い手がついたのか?」
ジョー:「アーヴィング、どう説明すればいいのか…。記事についてだが、この写真につけるための記事はない」
アーヴィング:「なんでだ?」
ジョー:「つまり、自分は関われない、ということだよ」(I mean, not as far as I'm concerned.)
このジョーの言葉を聞いた途端、思い当たる節があるのか、顔に複雑な表情を浮かべるアーヴィング。が、すぐに気を取り直して言う。「写真はうまくできたよ。ちょっと見るかい?」 アン王女を撮った写真は、“カフェで人生最初のタバコを吸う王女”、“「真実の口」に向き合う王女”、“美容師マリオと踊る王女”、“「祈りの壁」に願いを込める王女”など、実に鮮やかな傑作ばかり。アーヴィングが見せる写真に眺め入りながら、王女⇒アーニャの、何か微笑(ほほえ)ましい甘やかな情景が次々と脳裏に現われて、悦に入るジョー。そして、ダンスパーティー会場での大乱闘の中、アン王女がSS要員にギターを振り下ろす瞬間の写真を前に、ジョー&アーヴィング二人していやが上にも気分が盛り上がり、Wow!ベストショット!まさに感嘆措(お)く能わず!しかし、須臾(しゅゆ)にして我に返って、物思わしげな顔つきをするジョー。アーヴィングはその顔色を窺いながら、彼にはっきりと言明する。「彼女は凄い特ダネなんだ(She’s fair game.)。常にカメラから狙われる。…どうかしてるぞ(もっと冷静になれよ)(You must be out of your mind.)」
ジョー:「分かってるけど…。でも、君が写真を売りたいのなら邪魔はしない。いい値がつくぞ」
アーヴィング:「Yeah!」
ジョー:「記者会見には行くのか?」
アーヴィング:「君は?」
ジョー:「ああ、仕事だからな」
アーヴィング「また後で」
アン王女の記者会見が始まった。王女が無事に戻ったことを確認した王室は、「アン王女、病気から回復」と速報を打ち、キャンセルした王室の会見を1日遅れで開催する。広い会見場(宮殿)の各国記者の列には、ジョーとアーヴィングも並んでいる。皆の前に悠然と現われたアン王女。その姿は気高く気品に溢れていた。記者団の中に立つ二人の姿を見つけた王女は、【この時初めて二人の“正体”を知って】一瞬穏やかならぬ気配を見せ、少し複雑な表情で会見を始める。

(アン王女は階を上った上席に座って記者の質問に答える)

(記者団の中に立つジョーとアーヴィング)
記者A:「最初に一同を代表して、大変早い御病状の回復にお喜びの言葉を申し上げます」
王女:「感謝します」(Thank you.)
記者Bの質問:「王女様(Your Highness)のお考えでは、ヨーロッパの経済問題について、連邦化(federation)は解決策となりえましょうか?」
王女:「ヨーロッパの協力関係(cooperation in Europe)が緊密になるのであれば、いかなる政策にも賛成です」 【政治的な質問に、抑制のきいた回答でそつなく対応するアン王女!】
記者Cの質問:「では、国家間の友好関係については、今後どのような展望をお持ちですか?」(And what, in the opinion of Your Highness, is the outlook for friendship among nations?)
王女:「私は国家間の友好は守られるものと信頼しています。人と人との間の友好関係を信頼しているように」(I have every faith in it... as I have faith in relations between people.)【これは公的な言葉でありながら、暗にジョーに向けて投げかけられたものであり、その意味合いを正当に理解できる者はジョーのみ。王女とジョーだけに特別な意味を持つ言葉である。事前に準備した公式コメントとは異なる発言をする王女に何のことかと戸惑う側近たちだった…】
ジョーは王女の言葉を受けて発言する。「わが通信社を代表して申しますが、王女様の御信頼は決して裏切られることはないものと信じます」(May I say speaking for my own press service, we believe that Your Highness's faith will not be unjustified.)
王女:「そのお言葉をお聞きし、大変嬉しく存じます」(I am so glad to hear you say it.)
記者Dの質問:「御訪問された都市の中で、どこが一番お気に召されましたか?」(Which of the cities visited did Your Highness enjoy the most?)
しばし答えに迷い沈黙する王女。傍らに立つプロヴィノ将軍が慌てて、低い声で彼女に耳打ちする。“Each in its own way...” と。この用意された決まり文句に促されて、「それぞれの都市はそれぞれのやり方で…忘れ得ぬ思い出になりました。一番を選ぶのは難しいことと…」(Each in its own way was...unforgettable. It would be difficult to...)と当たり障りのない答えを口にしかけた王女。だが、お仕着せの常套句はここまで!彼女は突然霊感に打たれたかのように、万感の思いを込めてキッパリと言い切る。
「ローマです。何と言ってもローマです。私は、この地を訪れた思い出を懐かしく思うことになるでしょう、私が生きている限り」(Rome;by all means, Rome. I will cherish my visit here, in memory, as long as I live.)【これは王女が今回の欧州親善旅行で初めて自らの本心を打ち明けた言葉であり、そしてそのようなものとして、何よりもジョーに対する偽りない本心からの言葉でもあった。】
王女の意外な発言に記者たちはどよめく。側近たちは驚愕する。「ローマでは病気で御静養されていたにも関わらずですか、王女様?」(Despite your indisposition, Your Highness?)との記者からの声。アン王女:「病気静養していたにも関わらずです」(Despite that.)
(束の間の“休日”から王女の立場に戻り、ヨーロッパ歴訪の締め括りとして各国の記者団に囲まれ会見する王女)
記者会見が終わると、続いて王女の写真撮影である。一斉にフラッシュを焚(た)くカメラマンたち。アーヴィングが王女にライター型隠しカメラをこれ見よがしに見せつけてニンマリする。王女は「ローマ観光」中その隠しカメラで自分が撮られていたことを、今ここで初めて豁然と悟るのだった。

(王女の写真撮影タイムで、他社のカメラマンたちがスピグラで撮っている中、あえて茶目っぽく8mmのライターカメラで撮って見せるアーヴィング)
写真撮影後、アン女王は「記者の皆様にご挨拶をしたいと思います」(I would now like to meet some of the ladies and gentlemen of the Press.)と言い出す。そして自ら、各メディアの記者たちの並ぶところに降りて来て、一人一人に挨拶をしながら握手して回る。この王女の、予定にはない、異例の振る舞いに不意を打たれて面食らう側近たち。
やがて女王がアーヴィングの面前に立つ。アーヴィング:「CRフォト・サービスのアーヴィング・ラドヴィッチ(Irving Radovich)です」→王女:「How do you do?」。二人は軽く握手を交わす。そして、アーヴィングは「お渡ししたいものが…ローマ御訪問の記念写真(some commemorative photos of your visit to Rome)です」と言いながら、盗撮していた「王女のローマの休日」の写真が入った封筒を手渡した。封筒を開け、パーティー会場でギターを振りかざして応戦する自分の“姿”を目にした王女は、少し驚きながらも、「大変感謝します」(Thank you so very much.)、嬉しそうにその封筒を受け取った。

(アン王女に盗撮していた写真〈封筒〉を渡すアーヴィング。“スクープ写真”で大儲けするチャンスを目の前にしながらも結局、ジョーとの友情を大切にして、「アン王女とのローマの一日」を封印してしまう)
アーヴィングの次はジョー。王女はついにジョーの元へ。この時、二人は初めて出会ったかのように…。ジョー:「アメリカ・ニュース・サービスのジョー・ブラッドレー(Joe Bradley)です」→王女:「お会いできて大変幸せです、ブラッドレーさん」(So happy, Mr. Bradley.)。二人は互いに相手の顔をじっと見つめ合いながら、しっかりと握手を交わす。手を握ったまま、瞳で無言の会話を交わすこの数秒間が、二人にとって真に【最後のひと時】となった。

(この時初めて出会ったかのように握手を交わすジョーとアン王女)
やがて記者たちへの挨拶を終え、彼らの拍手に送られて退席する王女。いよいよ、お別れの時だ!去り際に笑顔とともに記者団の方を振り向いた彼女の瞳には、かすかに涙の跡が光っていた…。
アン王女「記者会見」の全てが終わり、記者団が解散する。しかし、ジョーだけはその場を離れようとしない。大広間に一人立ち尽くし、しばらく沈黙を続ける。アーニャ=アン王女との、結ばれない運命(さだめ)の愛のもどかしさを噛み締めている…。そして、ようやく納得するしかないと自分に言い聞かせるような表情で、その重い足を踏み出し、独り寂しく宮殿を出ていくのだった―。


(独り物思いに沈みながら、宮殿内の会見場を、自らの靴音をコツコツと響かせながら後にするジョー。脳裏に甘酸っぱくよみがえる、アーニャとの楽しい思い出。また、ほろ苦い別離の思いも胸をよぎる…。彼は出口付近に近づいて、名残り惜しそうに再度立ち止まり、アン王女が座っていた場所をもう一度振り返って見る。誰もいない、しんと静まり返ったステージ…。この重い現実を受け止めるかのように、彼は改めて前を向き直し、その場を静かに去り、画面からフェードアウトする。そして瞬間、エンドマークが大写しされる。)【私の心の中で長く感動の余韻を引くラストシーン。ジョー⇒グレゴリー・ペックの全身に漂う切々たる哀愁が堪らない。本作の締め括りとして、これ以上ない名シーンである!】
▼ Trailer
▼ Full Movie - 【日本語字幕】part 1→part 2 :
▼ Audrey Hepburn's Roman Holiday Screen Tests :
(Oscar-winning costume designer Edith Head shows personality and costume tests for Audrey Hepburn in Roman Holiday, as seen on the television program You Asked for It.)
▼ cf. Audrey Hepburn dancing 'en pointe' in the film “The Secret People”(1952) :
(A young Audrey Hepburn, who had trained as a ballet dancer from childhood, played Valentina Cortese's younger sister in this film. Here are all three scenes where she dances in the film. 同作〈邦題:『初恋』、監督:ソロルド・ディキンスン、日本初公開:1966年1月〉は、1930年代のロンドンを舞台として製作されたイギリス映画。)
▼ cf. Audrey Hepburn's First Film “Nederlands in Zeven Lessen”(『オランダの七つの教訓』1948年、日本未公開) :
(It was a Dutch movie and she has a small role as a stewardess.)