映画『メモリーズ・オブ・サマー』 | 普通人の映画体験―虚心な出会い

普通人の映画体験―虚心な出会い

私という普通の生活人は、ある一本の映画 とたまたま巡り合い、一回性の出会いを生きる。暗がりの中、ひととき何事かをその一本の映画作品と共有する。何事かを胸の内に響かせ、ひとときを終えて、明るい街に出、現実の暮らしに帰っていく…。

2019年6月25日(火)「アップリンク吉祥寺」(東京都武蔵野市吉祥寺本町1丁目5−1 吉祥寺パルコ地下2階、吉祥寺駅北口から徒歩約2分)で、18:00~鑑賞。

「メモリーズ・オブ・サマー」

作品データ
原題 WSPOMNIENIE LATA
英題 Memories of Summer
製作年 2016年
製作国 ポーランド
配給 マグネタイズ
上映時間 83分


1970年代末のポーランドを舞台に、父親が出稼ぎで不在の中、夏休みを大好きな母と2人きりで過ごすことになった12歳の少年の忘れられないひと夏の思い出をノスタルジックに描いたドラマ。70年生まれの、ポーランド映画界期待の新星アダム・グジンスキ監督が自身の体験をもとに、思春期の痛々しさを切実に映し出す。少年ピョトレックを演じるのは、本作が俳優デビュー作となるマックス・ヤスチシェンプスキ。母親ヴィシャにポーランドの有名女優ウルシュラ・グラボフスカ、父親イェジに『ソハの地下水道』『ワレサ 連帯の男』のロベルト・ヴィェンツキェヴィチが扮する。

ストーリー
1970年代末、ポーランドの小さな田舎町。12歳の少年ピョトレック(マックス・ヤスチシェンプスキ)は、母ヴィシャ(ウルシュラ・グラボフスカ)と2人で、夏休みを迎える。父イェジ(ロベルト・ヴィェンツキェヴィチ)は外国で出稼ぎ中だったが、母と息子は石切り場の池で泳ぎまわり、家ではチェスをしたり、時にはダンスをしたり、仲良く日々を過ごしていた。だが、やがてヴィシャが毎晩のように家を空けるようになり…。おしゃれをし、うきうきとした母の様子に不安な何かを感じるピョトレック。その頃、都会からマイカ(パウリナ・アンギェルチク)という少女がやって来る。母に連れられ、おばあちゃんの家に遊びに来たマイカは、田舎町が気に入らないようだ。仏頂面のマイカに、ピョトレックは一目で惹かれる。やがて2人は徐々に仲良くなり、郊外へ一緒に出かけるようになる。一方、ヴィシャは相変わらず外出を繰り返していた。月に一度、ヴィシャとピョトレックのもとに、外国で働くイェジから電話がかかってくる。喜んで話をする2人だが、「ママに何か変わったことはないか?」という父の質問に、ピョトレックは思わず沈黙する。その様子を見ていたヴィシャは、「なぜあんな真似を」と、怒りを露わにする。その日から、2人の間には緊迫した空気が漂い始める。そんな中、“大好きな父”が出稼ぎから帰って来るが…。

▼予告編