
作品データ :
原題 REBEL IN THE RYE
製作年 2017年
製作国 アメリカ
配給 ファントム・フィルム
上映時間 106分
世界的ベストセラー(全世界累計6500万部突破!)となった『ライ麦畑でつかまえて』の作者、J.D.サリンジャー(Jerome David Salinger、1919~2010)の知られざる半生に迫る伝記ドラマ(cf.本ブログ〈November 14, 2018〉)。サリンジャーの若き日にスポットを当て、その数奇な半生と創作の原点を描くとともに、名声を得た後に表舞台から姿を消した謎をひもとく。主演は『マッドマックス 怒りのデス・ロード』のニコラス・ホルト、共演にケヴィン・スペイシー、ゾーイ・ドゥイッチ、サラ・ポールソン。監督は『大統領の執事の涙』などの脚本を手がけ、本作が映画初監督となるダニー・ストロング。本作はケネス・スラウェンスキー(Kenneth Slawenski)が2010年に上梓した評伝“J.D. Salinger:A Life Raised High”(田中啓史訳『サリンジャー 生涯91年の真実』晶文社、2013年)を原作としている。
ストーリー :
1939年、ニューヨーク。20歳のジェリーことジェローム・デイヴィッド・サリンジャー(ニコラス・ホルト)は、大学中退を繰り返していた。父は家業の食品輸入業を継がせようとするが、ジェリーは反発し、コロンビア大学の創作文芸コースを受講する。そこでは文芸誌『ストーリー』編集長でもあるウィット・バーネット教授(ケヴィン・スペイシー)が、作家志望の学生たちに己の“声”を物語にすることの重要さを教えていた。「君に生涯をかけて物語を語る意思はあるか?」バーネットにそう訊かれたジェリーは、短編「若者たち」を完成させ出版社に持ち込むが、ことごとく掲載を断られる。しかし最終的に、作品は『ストーリー』誌(1940年3・4月)に採用され、彼は作家としての第一歩を踏み出す。
そんな時、ジェリーは劇作家ユージン・オニールの娘、ウーナ(ゾーイ・ドゥイッチ)と出会い、一目惚れする。奔放なウーナに振り回されながら、マンハッタンの社交界に出入りして恋愛を楽しむジェリー。一方、作家としては短編小説を出版社に売り込むものの不採用が続く。やがて自分の分身ともいえるホールデン・コールフィールドを主人公にした短編「マディソン・アヴェニューのはずれでのささいな抵抗」が権威ある『ニューヨーカー』に掲載されることが決まるが、その矢先に太平洋戦争が勃発。内容が戦時下にふさわしくないという理由で掲載は延期になり、1942年4月にジェリーは陸軍に入隊する。バーネットはジェリーに「生きて、ホールデンの物語を書き続けろ」と励ますのだった。
国内を転々とし、やがて防諜部員としてヨーロッパに送られたジェリーは、空き時間を見つけては執筆を続けた。戦争が終わったら結婚するつもりでいたウーナがチャーリー・チャップリンと結婚したという衝撃的な知らせや、日々激化する戦況に神経をすり減らす中、書くことだけが心の支えだった。しかし、ノルマンディー上陸作戦やその後の戦闘で多数の仲間を失い、さらにナチスの強制収容所の惨状を目の当たりにしたジェリーは力尽き、ドイツで神経病棟に入院する。
1946年。ジェリーはバーネットのもとで選集を出版するため、アメリカに帰国する。ところが、バーネットの出版社が経営難で計画は頓挫し、彼はバーネットに絶交を言い渡す。そして1950年、戦争のトラウマや周囲の人々の無理解に傷つきながらも、ジェリーはついに初長編「ライ麦畑でつかまえて」を完成させる。それまでのアメリカ文学とは全く異なる斬新な語り口を持った同作は、出版関係者の間では賛否両論だったが、翌年に発売されると読者の大反響を読んでベストセラーとなる。一躍時の人となったジェリーだが、1953年2月、マスコミやファンの狂騒に背を向けるかのようにニューハンプシャー州コーニッシュに転居する…。
▼予告編