
日本版の映画ポスター
作品データ :
原題 JEUX INTERDITS
製作年 1952年
製作国 フランス
上映時間 87分
日本では1953年9月6日に初公開(配給:東和)。2018年9月1日よりデジタルリマスター版(日本語字幕新訳)を上映(配給:パンドラ)。

映画パンフ『禁じられた遊び』(発行: 東宝/日比谷映画劇場〈1953年〉)
『太陽がいっぱい』(原題:Plein soleil、1960年)など多くの傑作を残したフランスの巨匠、ルネ・クレマン監督(René Clément、1913~96)の代表作。「戦争の悲劇を超えて罪なき子供の世界を見事な抒情的純粋さにまで高めた卓越した表現力により」1952年度べネチア国際映画祭サンマルコ金獅子賞を受賞。次いで第25回アカデミー賞名誉賞(後の外国語映画賞)、第7回英国アカデミー賞総合作品賞を受賞し、日本でも1953年に公開されて第27回「“キネマ旬報”ベスト・テン」の「外国映画」部門第1位に選出された。世界中で大ヒットした、映画史上の不朽の名作である。ナルシソ・イエペス(Narciso Yepes、1927~97)のギター独奏による哀しく美しい主題曲「愛のロマンス」、子役たち~11歳の少年役のジョルジュ・プージュリー(Georges Poujouly、1940~2000)と5歳の少女役のブリジット・フォッセー(Brigitte Fossey、1946~)~の無邪気な可愛らしい名演が涙を誘った。
ストーリー :
1940年6月、第2次世界大戦中のフランス。パリはドイツ軍の手に落ち、田舎道を南へ急ぐ難民の群にもナチの爆撃機は襲いかかって来た。5歳の少女ポーレット(B・フォッセー)は、機銃掃射に両親を奪われ、死んだ子犬を抱いたまま、ひとりぼっちになってしまった。
彼女は難民の列から離れてさ迷ううち、牛を追って来た農家の少年ミシェル(G・プージュリー)に出会った。彼はドレ(リュシアン・ユベール)家の11歳になる末っ子で、ポーレットの不幸に同情して自分の家へ連れ帰った。ドレ家では、ちょうど長男のジョルジュ(ジャック・マラン)が牛に蹴られて重傷を負い、大騒ぎしているところだった。ポーレットはミシェルから死んだものは土に埋めるということを初めて知り、廃屋になった水車小屋の中に彼女の子犬を埋め十字架を立てた。墓に十字架が必要なことを知ったのも彼女にとって新知識であり、以来彼女はこのお墓遊びがすっかり気に入ってしまった。ジョルジュは容態が悪化して急死した。そのとき、隣家のグーアル(アンドレ・ワスリー)の息子フランシス(アメディー)が軍隊を脱走して帰って来た。グーアル家とドレ家は犬猿の仲だったが、フランシスとドレの娘ベルテ(ロランス・バディー)とは恋仲であった。ジョルジュの葬式の日、ドレは葬式馬車の十字架がなくなったことに気づいたが、これはミシェルがポーレットを喜ばすために盗んだのだった。ミシェルは更に教会の十字架を盗もうとして司祭に見つかり、大叱言を喰った。しかし、ミシェルとポーレットはとうとう教会の墓地まで出かけて、たくさんの十字架を持ち出した。ジョルジュが死んではじめての日曜日、ドレ一家は墓参に出かけたが、ジョルジュの墓の十字架がなくなっているのを見て、ドレは、グーアルの仕業にちがいないと思い込み、そこへ来たグーアルと大格闘をはじめた。しかし、司祭(ルイ・サンテーブ)の言葉で盗んだのはミシェルだとわかり、ドレはミシェルが何のために十字架を盗んだのか理解に苦しんだ。翌朝、ドレ家に二人の警官が訪れた。ドレはてっきり十字架泥棒がばれたものと思ったが、実はポーレットを孤児院にひきとりに来たのだった。ミシェルの必死の懇願にもかかわらず、ポーレットは連れ去られた。
ポーレットは多くの人であふれる駅に連れてこられる。修道女によって首から名札を下げられたポーレットは、この場所から動かずに待っているように言われて、その場に残される。ポーレットが一人きりになると、人ごみの中から「ミシェル!ミシェル!」と呼ぶ声が聞こえてくる。その声にハッとしたポーレットは涙して、ミシェルの名を叫びながら探しに行く。しかし人違いで、ミシェルはいない。ポーレットはママ(母)とミシェルの名を泣き叫びながら走り出し、雑踏の中へと姿を消していく―。
▼予告編(2018年リバイバル上映)

■私感 :
私は本作をこれまでに何回観ただろうか。
最初に本作を観たのは、郷里・北海道の映画館で小学生の時だったと思う。そして、2回目、3回目は大学時代に東京の映画館で鑑賞。その後、テレビの洋画劇場やVHS、DVDで何度となく観るチャンスに恵まれた。結局、飽くことを知らず観続けて十数回、今回が15(or 16?)回目に当たるだろうか。
いい映画はいつ観ても、やはり掛け値なしにイイ!この世界の不条理に対する子供たち~ポーレット&ミシェル~の純粋な叫びがいつまでも私の心に突き刺さってやまない!この90分足らずのモノクロ・フィルムは、永遠の輝きにみちた世界映画史上不滅の名作である!
下高井戸シネマは座席数126席。11月6日当日はほぼ満席。さすがに1952年の製作後、六十数年経た現在も世界中の人々に愛されている映画だけのことはある。
映画終了後、同館を出しなに、二人の老婦人が語らっていた。「あのテーマ曲、いつまでも忘れがたいわね…」
ナルシソ・イエペスの切々と鳴り渡るギターのメロディは、涙腺を緩ませる…。私は思わず、「あれはホントに思い出深いですね…」と見ず知らずの彼女らと和して、しばし会話を交わしたのだった―。