映画『万引き家族』 | 普通人の映画体験―虚心な出会い

普通人の映画体験―虚心な出会い

私という普通の生活人は、ある一本の映画 とたまたま巡り合い、一回性の出会いを生きる。暗がりの中、ひととき何事かをその一本の映画作品と共有する。何事かを胸の内に響かせ、ひとときを終えて、明るい街に出、現実の暮らしに帰っていく…。

2018年7月17日(火)TOHOシネマズ渋谷(東京都渋谷区道玄坂2-6-17、JR渋谷駅より徒歩5分)で、18:40~鑑賞。

「万引き家族」(朝日新聞)

作品データ
製作年 2018年
製作国 日本
配給 ギャガ
上映時間 120分


「万引き家族」

『そして父になる』『三度目の殺人』の是枝裕和監督が第71回カンヌ国際映画祭で最高賞パルム・ドールに輝いた衝撃と感動の社会派ドラマ。都会の片隅で万引きなどの犯罪で食いつなぐ一家が、貧しいながらも幸せな日々を送る姿と、そんな彼らを取り巻く厳しい現実を、血のつながりを超えた“家族”の<絆>~断ち難い一体感~とともに描き出す。キャストには是枝組常連のリリー・フランキー、樹木希林をはじめ、『百円の恋』などの安藤サクラ、『勝手にふるえてろ』などの松岡茉優、オーディションで選出された子役の城桧吏、佐々木みゆらが名を連ねる。

ストーリー
東京の下町。高層マンションの谷間にポツンと取り残された今にも壊れそうな古びた平屋の一軒家。そこに日雇い労働者の柴田治(リリー・フランキー)とクリーニング店で働く治の妻・信代(安藤サクラ)、夫妻の息子・祥太(城桧吏)、JK見学店で働く信代の妹・亜紀(松岡茉優)、そして家の持ち主で治の母・初枝(樹木希林)の5人が“家族”として同居していた。一家の生計は、治と信代の稼ぎでは立ちゆかず、初枝の年金に支えられており、それで足りない分が“万引き”で賄われていた。しかし、初枝は表向きが独居老人ということで、同居人の存在自体が秘密だった。社会という海の、底を這うように暮らす5人“家族”だが、いつも笑顔が絶えなかった。
ある冬の日、治と祥太は街角のスーパーで万引きを終えた帰り道すがら、団地の1階の廊下で寒さに震えている幼い女の子(佐々木みゆ)を見つける。母親に部屋から閉め出されたらしいのを以前にも見かけていた治は、彼女を家に連れて帰る。信代は「もう少し金の匂いのするもん拾ってきなよ」とボヤきながらも、温かいうどんを出してやり、名前を聞く。「ゆり」と答える女の子の胸の火傷に気づいた初枝がシャツをめくると、お腹にもたくさんの傷や痣があった。深夜、治と信代がゆりを負んぶして団地へ返しに行くが、ゆりの両親が罵り合う声が外まで聞こえる。信代には、「産みたくて産んだわけじゃない」とわめく母親の元に、ゆりを残して帰ることはできなかった。
信代はゆりを娘として育てることにする。「誘拐ではないか」と心配する治に対して、「脅迫も身代金の要求もしていないから、これは誘拐ではなく保護だ」と主張する信代。ゆりは柴田家の6人目の“家族”となった。
生計を立てるため、“家族”ぐるみで軽犯罪を重ねていくうちに、一層強く結ばれていく一家6人。だが、それは社会では許されない<絆>~人と人との結びつき~だった。やがて、ある日、二度と元の家族には戻れなくなる事件が起きる…。

▼予告編



Cannes 2018 - Conférence de Presse



▼ La Palme d'Or est attribuée à "Une affaire de Famille" de Kore-Eda Hirokazu - Cannes 2018



▼是枝裕和監督(1962~)が凱旋会見(2018年5月23日) :



▼是枝監督が日本外国特派員協会で記者会見(2018年6月6日) :



[※追記(2019/05/10):2019年5月8日(水)、本作を目黒シネマで、14:55~再見]