映画『オン・ザ・ミルキー・ロード』 | 普通人の映画体験―虚心な出会い

普通人の映画体験―虚心な出会い

私という普通の生活人は、ある一本の映画 とたまたま巡り合い、一回性の出会いを生きる。暗がりの中、ひととき何事かをその一本の映画作品と共有する。何事かを胸の内に響かせ、ひとときを終えて、明るい街に出、現実の暮らしに帰っていく…。

2017年12月20日(水)下高井戸シネマ(東京都世田谷区松原3-27-26、京王線・東急世田谷線下高井戸駅から徒歩2、3分)で、19:30~鑑賞。



作品データ
原題 ON THE MILKY ROAD
製作年 2016年
製作国 セルビア イギリス アメリカ
配給 ファントム・フィルム
上映時間 125分


『アンダーグラウンド』『黒猫・白猫』のエミール・クストリッツァ監督が自ら主演し、イタリアを代表する女優モニカ・ベルッチをヒロインに迎えて贈る人間ドラマ。戦争が終わることなく続く国を舞台に、前線にミルクを届ける配達人の男と村にやってきた美しい花嫁が繰り広げる愛の逃避行を、エネルギッシュかつファンタジックに描き出す。『アンダーグラウンド』のミキ・マノイロヴィッチらが共演。

ストーリー
隣国と戦争中のとある国で、コスタ(エミール・クストリッツァ)は右肩にハヤブサを乗せ、村から戦争に行った兵士たちにミルクを届けるため、毎日ロバに乗って銃弾をかわしながら前線を渡っている。国境を隔てただけの近場で続く戦争がいつ終わるのか、誰にも分からなかった。そんな死と隣り合わせの状況下でも、村には呑気な暮らしがあり、おんぼろの時計に手を焼く母親と一緒に住んでいるミルク売りの娘ミレナ(スロボダ・ミチャロヴィッチ)は美しく活発で、村の男たちはミレナ目当てでこの家のミルクを注文する。そのミルクの配達係に雇われているのがコスタで、ミレナはコスタに想いを寄せていた。戦争が終わったら兵士である兄ジャガ(ミキ・マノイロヴィッチ)が帰ってきて、この家に花嫁として迎える女性と結婚する。その同じ日に自分もコスタと結婚するという計画を、ミレナは思い描く。しかし、コスタはミレナの求愛に気のない素振りで話をそらすばかりだった。そんな折、家に花嫁(モニカ・ベルッチ)がやってくる。ローマからセルビア人の父を捜しに来て戦争に巻き込まれたというミステリアスな美女である彼女とコスタは、お互いに人生を一変させるほどの重い過去の影があり、初めて会った瞬間から惹かれ合うものを感じる。まもなく、敵国と休戦協定を結んだという報せが舞い込む。久々に訪れた平和に村人たちは、どんちゃん騒ぎを繰り広げる。やがて戦争が終結し、ジャガが帰還する。コスタの気持ちはさて置き、ダブル結婚式の準備は着々と進む。しかし、過去に花嫁を愛した多国籍軍の英国将校が、彼女を連れ去ろうと特殊部隊を村に送り込む。残忍な兵士たちによって村は焼き払われ、村人たちはみんな死んでしまう。村に帰る途中で蛇に引き留められたコスタは運よく生き残り、花嫁を連れて決死の逃避行を開始する。二人きりとなった彼らの愛は燃え上がるが、果たして追手から逃げ切り、幸せをつかむことはできるだろうか…。

▼予告編