映画『エンドレス・ポエトリー』 | 普通人の映画体験―虚心な出会い

普通人の映画体験―虚心な出会い

私という普通の生活人は、ある一本の映画 とたまたま巡り合い、一回性の出会いを生きる。暗がりの中、ひととき何事かをその一本の映画作品と共有する。何事かを胸の内に響かせ、ひとときを終えて、明るい街に出、現実の暮らしに帰っていく…。

2017年12月3日(日)立川シネマシティ(シネマ・ワン:東京都立川市曙町2ー8ー5、アクセス:JR立川駅北口から徒歩5分)で、12:35~鑑賞。

作品データ
原題 POESÍA SIN FIN /ENDLESS POETRY
製作年 2016年
製作国 フランス チリ 日本
配給 アップリンク
上映時間 128分


「エンドレス・ポエトリー」

『エル・トポ』『ホーリー・マウンテン』などでカルト的人気を誇るアレハンドロ・ホドロフスキー監督による自伝的作品『リアリティのダンス』(2013年)の続編。監督自身の人生を反映させ、若き日の両親との葛藤や初恋、その後の人生を左右する数々の出会いが描かれる。前作に引き続き、青年時代のホドロフスキーを監督の末の息子アダン・ホドロフスキーが、その父親を監督の長男ブロンティス・ホドロフスキーが、それぞれ演じる。

ストーリー
故郷トコピージャから首都サンティアゴへ移住したホドロフスキー一家。青年に成長したアレハンドロ(アダン・ホドロフスキー)は、自分の自信のなさと抑圧的な両親との葛藤に悩み、今の環境から抜け出して、自分の道を表現したいと踠(もが)いていた。ある日、アレハンドロは従兄のリカルドに連れられ、芸術家姉妹の家を訪れる。そこでは、古い規則や制約に縛られないダンサーや彫刻家、画家、詩人といった若きアーティストたちが共に暮らしていた。彼らと接する中で、それまで自分が囚われていた檻からやがて解放されるアレハンドロ。エンリケ・リン、ステラ・ディアス・バリン、ニカノール・パラといった、後に世界的な詩人となる人物たちとの出会いや、初めて恋に落ちたステジャ・ディアスとの邂逅によって、アレハンドロの詩的運命は、未知の世界へと開かれていく…。

ドンッ 世界に潜む「マジック・リアリズム」を追い求め続ける、チリの鬼才アレハンドロ・ホドロフスキー(Alejandro Jodorowsky、1929~)の言葉 :
「私は、今、老人だが、6歳の戸惑ってる少年、18歳の怖いもの知らずの青年、30歳の分別がつき世界や映画や恋に生きた中年、50歳くらいの生きることに戸惑いを覚えたり死の不安を認識した初老。それらはすべて過ぎ去ったことではなく僕の身体の中で僕と共に今もいるんだ。」

いて座 詩人・谷川俊太郎の評言 :
「一瞬もじっとしていない人間の内面世界を、ホドロフスキーは時に残酷に時に滑稽に映像化する。無心な幼児と無心を拒む老人が同居する偽善と無縁の多彩な世界、そこにひそむ真実を私たちは発見する。」

▼予告編



メイキング映像&アレハンドロ・ホドロフスキー監督インタビュー