映画『アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場』 | 普通人の映画体験―虚心な出会い

普通人の映画体験―虚心な出会い

私という普通の生活人は、ある一本の映画 とたまたま巡り合い、一回性の出会いを生きる。暗がりの中、ひととき何事かをその一本の映画作品と共有する。何事かを胸の内に響かせ、ひとときを終えて、明るい街に出、現実の暮らしに帰っていく…。

2017年1月26日(木)TOHOシネマズシャンテ(東京都千代田区有楽町1-2-2、JR有楽町駅・日比谷口徒歩5分)で、17:00~ 鑑賞。

作品データ
製作年 2015年
製作国 イギリス
配給 ファントム・フィルム
上映時間 102分


「アイ・イン・ザ・スカイ」

ドローンを使い、戦場から遠く離れた場所で進められる現代の戦争の闇を浮き彫りにした緊迫の軍事サスペンス。罪なき少女を犠牲にしてまでテロリストを殺害すべきかという究極の決断を通し、真の正義やモラルを問い掛ける。オスカー女優ヘレン・ミレンがテロリスト殺害に執念を燃やす指揮官キャサリン役を、2016年1月に他界したアラン・リックマンがベンソン中将役をそれぞれ演じる。『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』『ツォツィ』のギャビン・フッド監督がメガホンをとり、俳優コリン・ファースが製作に参加。

ストーリー
イギリス・ロンドンで、イギリス軍のキャサリン・パウエル大佐(ヘレン・ミレン)は、国防副参謀長のフランク・ベンソン中将(アラン・リックマン)のもと、アメリカ軍のドローン、MQ-9 リーパー偵察攻撃機を使い、英米・ケニアによる合同テロリスト捕獲作戦を指揮していた。
合同チームは、上空2万2千フィートを飛んでいるMQ-9 リーパーと現地の偵察用小型ドローンにより、ケニアの首都ナイロビの隠れ家に潜んでいるアル・シャバブのテロリストたちを確認した。屋内の昆虫型小型ドローンにより、テロリストたちが自爆ベストを着用して犯行予告映像を撮影し、今まさにテロを決行しようとしていることが発覚する。
英米・ケニア合同軍はテロの被害を未然に防ぐべく、捕獲を諦め、テロリストへの攻撃を決定する。アメリカ・ネバダ州の米軍基地では、ドローン・パイロットのスティーブ・ワッツ(アーロン・ポール)が、パウエル大佐からの指令を受け、ミサイルの発射準備に入る。だが、発射準備に入ったその時、目標のそばの路上で、隠れ家の隣に住む少女アリア(アイシャ・タコウ)がパンを売る準備を始める。
予期せぬ民間人の巻き添え被害の可能性が生じたため、内閣府ブリーフィングルーム(コブラ)に詰める軍人や政治家たちの間で議論が勃発する。パウエル大佐は少女を犠牲にしてでもテロリストを殺害することを主張するが、政務次官・閣外大臣は民間人の犠牲を避けようとし、合意には至らない。少女を救うため、司令部は彼女の売るパンを買い上げるよう現地工作員に命令を出すが、失敗に終わりアリアはパンを売り続ける。
最終的に、司令部は巻き添え被害による少女の死亡率を50%以下に下げた地点を選んで攻撃することを選択するが、アリアは爆発に巻き込まれて致命傷を負い、搬送先の病院で亡くなる。作戦終了後、アンジェラ・ノース政務次官(モニカ・ドラン)は「恥ずべき作戦だった」となじるが、これに対しベンソン中将は自身が見てきた“地獄”を語り、そして言う。「軍人に決してそれを言ってはならない。彼が戦争の代償を知らないなどと。」

▼予告編



Trailer



ヘレン・ミレン(Helen Mirren、1945~) インタビュー
【映画・TV・舞台で幅広く活躍するイギリスを代表する国際派女優。20歳の頃から舞台女優としてキャリアをスタートさせる。スクリーンには1960年代後半から登場し、注目を浴びた『長く熱い週末』(80年)に続いて『エクスカリバー』(81年)、『キャル」(84年)に出演。また、人気TV映画『第一容疑者』(91~06年)への出演でも知られている。そして06年、スティーヴン・フリアーズ監督の『クィーン』でダイアナ元皇太子妃の事故死を巡って窮地に陥るエリザベス女王を圧倒的なリアリティと存在感で演じきり大絶賛を浴びる。同年のアカデミー賞主演女優賞ほか数々の賞を受賞。】