最初に会ってから付き合うまで、ずっとそんな関係だった。
僕は壱青を「先生」と呼んでいたままだった。
壱青と初めて会った日から1年くらい経っていたかな。
その間1回くらいは会った気がする。(曖昧www
夏だったかな。
僕と壱青の共通の友人であるTが「壱青のことどう思ってるの?」と聞いてきた。
「尊敬している」という回答をした気がする。
何でそんなこと聞いてくるんだと思いよくよく話を聞いてみれば
「壱青と付き合えばいいのに」みたいな内容で。
内心「簡単に言ってくれるな(;´Д`)」と思ったし
第一、壱青が僕なんか相手にするわけないだろwwwとも思っていた。
なのでTには当然「いやどう考えったって無理でしょ」と言った。
「高嶺の花」って言えば分かる?
手が届くわけないんだよ、みたいなことを言った気がするんだ。
そしたらTに「じゃぁもし壱青が”付き合ってほしい”って言ってきたらどうするの?」って聞かれた。
答えは勿論「付き合う」ですよ。
「僕の好みを知っているでしょ? 壱青ドストライクだよ、付き合えるもんなら付き合いたいよ。
だけど無理でしょ、現実的に考えて。
僕なんて相手にされるワケないじゃん。だから今のまんまで充分なんだよ。」
っていうのをひたすらTに言った。
聞いているのかいないのか、終始「付き合えばいいのに」と言われた。←
その後もことあるごとに言われた気がする。
僕としては「壱青に恋をしちゃいけない」と思っていたから、
気持ちがそっちへ行かないようにていた。
「好きになっていい」と言われればリミッターを解除すればいいだけの話だったし
(好きにならない理由はないからねwww)
でもそのリミッターが最後の砦みたいなものだった。
「恋愛感情を向けてはいけない」。
そう思った自分をずっと信じていた。
恋をすることに億劫になりながら、それでも僕は寂しさを埋めたかった。
愛されなければ生きている意味がない思っていて、
そんな時に付き合っている人が居て、それは男だった。
何の役にも立たなかった。
「精神的に助けて欲しい」
それさえ不十分で、愛されているのかさえも疑問だった。
ただ「付き合っている」だけでいいのなら、僕じゃなくてもいいんでしょ?と何度も思った。
もう別れようかと思っていた時だった。
子どもが出来てしまった。
最初は子どもを産むという選択肢が僕にはなかった。
人として未熟な人間が、人間を育てられるワケがない。
そう思っていたから。
それでも産むと決断したのは、死にたがりだった僕から「死ぬ」という選択肢を取り上げる為だった。
子どもを産めば死ねなくなる。
「産んだ責任」を取るために僕は生きるしかなくなる。
だから産まれてもらった。僕の為に。
その決意・結論に至るまでも、壱青と沢山話をした。
なかなか「産む」という選択肢を選べなかった。
それでも「産んだ方がいい」と壱青は言っていた。
Tとも話をした。
他の友達にも話を聞いてもらった。
そうして出た結論が「産む」だった。
素直に
「堕ろす」ことを考えるとものすごいネガティブになった。
「産む」と考えると未来が想像出来た。
だから心は産みたがってるんだと思った。
それが僕の「答え」なんだと思って。
子どもを産むと決めて籍を入れて数ヶ月。
産まれる3ヶ月前の12月頃だった。
お腹はもう大きかった。胎動も勿論ある。
ただ、旦那とはそんなに上手くいってなかった←
元々別れるつもりだったし、気持ちなんて最初からないも同然だったから。
今思えば籍を入れる必要はなかったと思うんだけど、
当時は一人で育てていく自信がなかったから、籍を入れただけである←
旦那と上手くいってなかったのもある。
頼りない人と一緒にいて「自分がしっかりしなくちゃ」と常に思って気を張っていた。
元々しっかりした性格じゃないし、真面目でもない僕にはそれだけで結構しんどかった。
加えて身重。思うように動けない自分自身にも思うように動いてくれない相手にも苛立った。
生きる為に産むと決めたのにその時既に心が折れそうだった。
それでも何度も「その結論に至っては駄目だ」と自分の中の小さな命を感じた。
そんな折り、夢を見た。
壱青が夢に出てきた。
優しく僕を撫でてくれた。
夢の中なのに、現実じゃないのに、幻想のようなものなのに、僕は肩の荷が下りたような感覚で
頑張っている僕を褒めてくれたような気がした。
その夢で胸がいっぱいになった。
それだけのことなのに、僕には自分の気持ちを知るには充分だった。
その夢を見て自覚した。
「僕は壱青が好きだ」
夢はそれだけじゃなくて、その後もよく夢に壱青が出てきた。
メールが来るだけだったり、手を繋ぐだけだったり、一緒に朝を迎えたり。
そんな夢を見た。
嫌でも理解した。
僕が心の奥底で求めているものを。
だけど言えなかった。
「恋をしてはいけない相手」だったから。
だから伝えるつもりもなかった。