今回は、生成AIによる分析のお話をしようと思っていましたが、人間関係の問題を解決するうえで、非常に重要なことを思い出したので、まずはそのお話をします。
その大切なこととは、「他人を変えようとしない」という姿勢です。
交流分析の観点から言えば、「他者を否定しない」ということになります。
以下のイラストの女性は彼に怒りを感じているところですが、これも他人を変えようとしていることと同じです。
例えば、彼女は以下のようなことを考えていることでしょう。
- なんであんなこと言うの?
(もう、言わないで) - なんで、私のことを分かってくれないの?
(私を理解する努力してほしい)
「他人を変えようとしない」は頭では理解していても、実際に実践するのは簡単ではありません。
ここでは、その実践方法についても、少しお話しします。
皆さんは「ニーバーの祈り」をご存知でしょうか。
ーー
神よ、変えることの出来ない事柄については、
それをそのまま受け入れる平静さを、
変えることの出来る事柄については、
それを変える勇気を、
そして、この二つの違いを見定める叡智を、私にお与えください
ーー
この祈りは、他人や状況を無理に変えようとするのではなく、受け入れることの大切さを教えてくれます。
多くの人が、他人を変えようとし、自分の運命を変えようとします。
変えられそうに錯覚してしまいますが、他人も自分の運命も、都合よく変わることもあれば、そうでないこともあります。
つまり、コントロールできないものの一つです。
自分の考えや感情も、都合よく変えられるものではありません。
変えようとしても、なかなか変わらないものです。
考えも感情も、自分の意志とは関係なく勝手に発生するものだからです。
※参考記事【思うようにならない思考】
私たちが本当に変えられるのは、自分の考えや感情にどう向き合うか、影響を受けるか受けないかを変えらるだけなのだと思います。
私がうつから抜け出す際に大きな助けとなったのが、バイロン・ケイティの著書『ザ・ワーク』に書かれていたワークです。
バイロン・ケイティは、もともとキャリアウーマンでしたが、重度のうつを患い、自殺未遂まで経験した人物です。しかし、ある日大きな気づきを得てうつから回復し、その体験から「ザ・ワーク」という手法を生み出しました。
彼女は「戦うな」という言葉で、変えようとする心を戒めています。
- 神と戦うな
(世界や運命を恨んだり、変えようとしない) - 他人と戦うな
(他人を恨んだり、変えようとしない) - 自分と戦うな
(自分の能力に不満を持ったり、変えようとしない)
このように生きることで、気分が楽になり、人生が好転していくという内容です。
また、バイロン・ケイティの気づきは、仏教の思想ともよく似ています。
- 「私」は存在しないという感覚
仏教では「無我」(固定された自分はない)と考えます。 - 苦しみは現実そのものではなく、思考が生み出している
これは般若心経の考え方に通じます。 - 思考を信じなければ、苦しみは存在しない
非同一化・脱フュージョンの考え方に近いです。
私の心の捉え方は、バイロン・ケイティや仏教の思想から大きな影響を受けています。
私はうつだった頃、妻の態度を変えようと方法を模索し、離婚を回避するために必死に調べて考えていました。
変えられないことを変えようとしていたのです。
しかし、その結果、どんどん疲弊していくだけでした。
常に考え事をしていたため、ひどい反芻思考(ぐるぐる思考)に陥り、不安が増し、外出や人との雑談も減っていきました。
交流分析的に考察すると、禁止令・ラケット感情・ドライバー・人生脚本を解除せずに考えても、それらの影響を受けているため、なかなか良い解決策にはたどり着けないということになります。
まずは、他人を「変えよう」としている考えや感情を解消しましょう。
相手を変えようとする、考えというのは例えば、以下のようなものです。
- なんでxxしてくれないの?
- xxしてよ!
相手を変えようとする感情の例は、以下のようなものです。
- 不満
- 怒り
- 嫌悪
- 不信
相手をそのまま受け入れるようになると、苦しさが減っていきます。
そして、禁止令・ラケット感情・ドライバー・人生脚本の影響を受けている自分に気づき、非同一化(脱フュージョン)も重要です。
そうすると、心理的柔軟性が高まり、適切な振る舞いができるようになり、コミュニケーションも改善していきます。

