ゲシュタルト療法という心理療法をご存知ですか?パールズという人が、精神分析や来談者中心療法、禅などの影響受けて始めたものです。
投影の考え方や、性格に影響の大きい幼児期の体験を再体験する技法などには興味深いものがあります。
この療法では、心の中に複数の自我が含まれると考えます。
自我というは、何を望み、どう感じ、どんな態度や言動をとるかのセットようなものです。
そのセットが私たちの中は、複数あります。
私たちの中には、複数の自我あります。
- 気難しくて起こりやすい自我
- 寛容で楽観的な自我
- 何かにおびえ臆病な自我
などなど、沢山持っています。
普段私たちは、その中で使いやすい特定の自我に同一化して暮らしていて、その同一化しやすい自我をその人特有の性格としてとらえられています。
でも、よくよく考えると、場面によって性格が変わることはよくあります。
会社では強面で通っている人が、子供の前だと優しい温和な人になったりします。
逆に、会社では弱気なのに、家では亭主関白になっている人がいるかもしれません。
複数ある自我は時と場合に適するように作られたもので、無意識のうちにそれを使い分けています。
生きづらいと感じる時、
- 場面に不適切な自我に同一化している
- 自我通しが葛藤している
などが起きています。
このようなことが起きるとき、敵視して抑圧してる自我の存在があります。
自由に生きられていて、生きやすいと感じられるときは、抑圧されている自我がなく、適切な自我へ同一化して、場面が変われば同一化する自我を変えていくことができます。
言い方を変えると、自我を乗り換えられるスキルを習得すると、生きやすくなっていきます。
最近の記事で、被支配からの生きづらさをお話をしました。
このような人は、被支配状態の自我、もしくは支配ている側の自我に同一化しやすくなっています。
モラハラ経験者で苦しんでいるひとは、頻繁に被支配者の自我、支配者の自我に同一化しているということなります。
被支配者に同一化すると自信がもてず、物が決められず、後悔や罪悪感に苦しむ反応が出てきます。
支配者に同一化すると、誰かの不備が気になり、その人を攻撃し、感情を爆発させやすいという反応が出てきます。
同一化している自我から離れるには、まず自分の状態を客観的に気づくことが必要です。
ある自我に無意識に同一化した状態を、意識できるようにするということです。
その一つがマインドフルネス的なスキルです。
自分の感じていることや衝動などを客観的に意識し続けるスキルです。
自分が同一化している自我に気付けると、その自我から離れることができるようになります。
または、「別の自我になりきる」というスキルでも可能になります。
ゲシュタルト療法では、エンプティチェアという技法で葛藤する自我に交互になりきって、何を感じるか?何を話すか?何を考える?かを想像して、それになりきります。
この技法を繰り返すと、自我の葛藤が解消されていったり、適切な自我に移れるようになり、苦しさが解消されます。
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